第43話 とさ流のしごき(4)
護衛艦とさでの艦艇勤務も板についてきた頃の事であった。対馬沖の領海内に北朝鮮兵?か武装漁民か区別のつかない人間6人を乗せた不審船が漂流していると言う通報が海上保安庁からあった。いつもならばこうした案件は海上保安庁の管轄なのだが、6人はロケット砲や機関銃で武装しているとの事で海上自衛隊に声がかかったのである。海上自衛隊トップの海上幕僚長は現場に近い佐世保地方隊に対して護衛艦2隻を派遣する事を決定。その内の1隻がとさであった。もちろん早瀬もその中の一員である。海上警備行動発令には充分過ぎるケースであった為、防衛大臣は海上警備行動発令を内閣総理大臣に要請し、これにより護衛艦とさを含む2隻は武器の使用が現場判断の下で行われる事になった。弾道ミサイル以外の事案で海上警備行動が発令されたのは、1999年の能登半島沖の不審船事案以来2度目の事であった。航空自衛隊のスクランブル発進とまではいかないが、早急に準備を整え2隻の護衛艦は現場に向かい現状を詳しく把握する事になった。




