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第21話 内火艇訓練
内火艇いわゆるカッターと呼ばれる小型船舶は、エンジン等はついておらず手動でオールを漕いで進むと言う原始的な船舶であったが、緊急脱出用に大型の観戦には必ず備え付けられているものであった。地獄の様なカッター訓練は海上自衛隊伝統であり、大日本帝国海軍の時代からある名物訓練であった。ただ、キツいだけではなく、全員参加の事で万が一艦船が沈む様な事になっても、それに伴って助けを待つと言う能力を全員で共有する事は必要であった。教えている教官も幹部候補生時代にみっちりとカッター訓練を施されており、これが嫌で仕方ないと言う人もそれなりにいた。早瀬も体力に自信があると言う訳ではなかった為、かなり内火艇訓練(カッター訓練)はきつくてしんどかったと思う。いずれにしろ、この訓練は海上自衛官にとって必要なものである。カッターのほとんどは木製でオールも木製であり、漕ぐのは楽ではない。とは言え緊急時にはきつくても漕ぎ続けねば進まない。




