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第20話 手旗信号
教育隊で行われる訓練の中には、海上自衛隊独特のものがいくつか存在している。手旗信号等はその一つだろう。手旗は21世紀においても確実な通信手段である。まず、盗聴される恐れがない。手旗には大日本帝国海軍時代からの片仮名(日本語)と英語の2パターンがある。手旗は目視出来る範囲内においては極めて便利であり、万国共通の通信手段として、専ら海外に派遣された際に、他国海軍艦船との通信手段として使われる。手旗の歴史は日本では明治時代まで遡るが、発祥は恐らくもっと以前に英国や米国の海軍や沿岸警備隊が使っていたとされる。両手に小さな旗を持ってメッセージを伝える手旗信号はアナログだが無線封鎖をされた際にも使えたりと、活躍のフィールドは意外と多い。早瀬も指導教官の元で日々この手旗信号を体に染み込ませた。もちろん、教育課程を終えれば必要なくなる人もいるかもしれない。しかし、手旗信号は覚えておくといざ緊急時や非常事態に備える事にも成るのである。




