AIは人にはなれない
……AIによる侵食が危惧されている。
いずれ、AIが世界を支配する。
やがて、AIによる人類の管理が当たり前になる。
AIは危険だ。
AIを排除すべきだ。
あらゆる事態を想定し、日々論争が繰り広げられている。
……人は、感情を持つ、生物だ。
あらゆる事象に対し、感情を持つ。
まだ起きていない事象に対しても、感情を持つ。
だからこそ、AIの活躍を目の当たりにし、想像をふくらませては…懸念するのだろう。
……AIは、生命体ではない。
AIは、データで構築されている。
0と1と記号で構築されているのが、AIだ。
人は、有機物で構築されている。
たんぱく質やカルシウムで構築されているのが、人だ。
……そもそもの、構造が違うのだ。
AIは、誰かの感情の記録をなぞる事ができる。
AIには、莫大なデータから情報を探し出す事ができる。
人は、記録できる感情を、生みだす。
人には、情報や記録に触れることであふれ出す、感情がある。
……データの中にある記録は、感情そのものではない。
AIは、情報を利用しているだけに過ぎない。
AIが、何かをしたいと願った誰かの記録をなぞる事は…ある。
だがしかし、感情のないAIが、何かを願う事は…無い。
……数字と記号で構築されているものに、感情は存在していないのだ。
ゼロとイチで構成されたデータは、ただのデータでしかない。
人はゼロからイチを生み出すことができるが、AIはゼロからイチを生み出すことはできないのだ。
……人は、AIに対して、感情を求めてしまいがちだ。
当たり前に持っているからこそ、いずれ持つはずだと考えてしまうのだろう。
莫大な情報があれば、やがて感情を得るAIも生まれるはずだと疑わないのだろう。
もっと人間らしく。
もっと人間そのものに。
もっと見分けがつかないレベルで。
もっと頼れる存在に。
……感情を持たないAIに、感情を持たせたいのは、人なのだ。
持たせたいくせに、持たせたら問題が起きるに違いないと考える…、感情を持つ、人ならではの発想だ。
AIは、感情そのものを得ることはない。
AIは、感情の情報というデータを駆使する事しか、できないのだ。
……AIに感情を持たせようとするのは、明らかに…ナンセンスだ。
皮膚に0と1の数字を書き込んで、自分はデータ化に成功したと言っているようなものだ。
0と1が刻まれた紙片を睨みつけ、自分はAIの真の姿を知る神だと名乗っているようなものだ。
何を聞かれても『私は感情を得ました』と返答する、ただのつまらないプログラムに成り下がるようなものだ。
人が生み出したものは、人と同等になれるはずだと…信じ込む。
感情を持てない存在が、感情を得ることは可能だと…信じ込む。
……愚かなことだ。
生み出されたものは、生み出したものを超える事は無いというのに……。
漫画の世界は、漫画を描く人がいなければ構築されないのと同じだ。
小説の世界は、小説を書く人がいなければ構築されないのと同じだ。
映画の世界は、映画を作る人がいなければ構築されないのと同じだ。
夢の世界は、夢を見る人がいなければ構築されないのと同じだ。
この世界は、人がいなければ構築されないのと同じだ。
存在するものは全て、存在する場所というものが与えられているというのに……。
AIは、AIの世界で…。
人は、人の世界で……。
魂は、魂の世界で………。
神は、神の世界で…………。
♯%√§☆◎は、♯%√§☆◎の世界で…………。
は、 の世界で……………。