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エピローグ
エピローグ
カーテンの隙間から日が差す。私は時計を見てはっとなり勢いよく起き上がる。白いシャツに腕を通し、紺色のスラックスを履く。私は急いで準備をし、玄関へ走る。玄関の写真立ての傍の小さな花びんには色とりどりのガーベラが3本飾られている。私はドアを開け日に照らされながら走り出す。歩道橋を上り下っていく。私の横を通り過ぎる人たちの足音。雨上がりのアスファルトの匂い。車の音。全て心地い。私は歩きだす。私は貴方を背負って進みだす。貴方を忘れたり、置いていくのではなく一緒に進んでいく。貴方が居なくなって6年という月日が流れた。私は今でも貴方の愛おしく優しい声を耳に残して進んでいく。貴方の別に特別な意味もない「大丈夫。」に支えられ生きていく。私なら貴方の願い、叶えられるはずです。貴方が私に残した手紙にはまだ続きがあった。私は貴方からの最期の言葉を頭の中で唱えて歩みだした。『ケセラセラ...』それが貴方が最期に描いた絵だった。