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望月アグリと申します  作者: 有住葉月
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学校から帰って

2、学校から帰って

望月アグリと申します。

ああ、女学校に行った初日の話がまだ終わってなかったですね。

14時くらいでしょうか。学校から帰ると、お姑さんから呼ばれたんですね。

なんだか、空気が重いです。



「アグリ、昨日、主人から話があったと思うんだけど、ヨウスケを群馬で暮らすようにしてほしいの。」

「でも、昨日帰ってらっしゃらなかったですよ。」

「まだ、駅前旅館にいるというのは聞いているから、今日は駅前旅館から連れてきてほしいのよ。」

「家にいないというのは、何かご用があるんじゃないですか?」

「ええから、連れてきてほしいん。」

「わかりました。」


なんで?と思いました。だって、連れ合いって言ったって、私とあの人、全然他人ですもの。

駅前旅館に行く時、ちょっと嫌な予感がしました。


駅前旅館の受付に行きました。

「あの、望月ヨウスケを迎えにきた妻なんですが。」

「あれ?望月の坊っちゃん、奥さん連れてきたんじゃが。人違いかの?」

「ん?どういうことですか?」

「昨日、お二人でお見えになっとりますがね。」

「お部屋に行かせてください。」


私は、旅館の番頭を振り払って、帳簿に書いてあるヨウスケさんがいる3階の部屋をめざしました。


「お嬢さん、辞めたほうがいい!」


下から番頭さんのお声がします。でも、私は部屋を開けました。


そこにはくつろいだ、2人の男女がおりました。

あ、服はちゃんと着てましたよ。


「やあ、たぬきちゃん。」

「たぬきって?」

「君、猛禽類ぽいじゃない?」

「猛禽類?」

「あ、たぬきは猛禽類じゃないか。」


この人は、人を馬鹿にしてるんですか?

「ねえ、ヨウスケさん、こちらのお嬢さん、妹さん?」


「ああ、そんなもんだね。」

「初めまして、恋人の笹川」

「ちょっと待ってください!私が妻です!これって失礼すぎます!」


ヨウスケはニヤニヤしている。


それがどうも私としてはいけすかなかったんです。特にこの人の奥さんでいたいわけじゃなくて、私の序列を乱されたような、なんとも言えない気持ち。

みなさんお分かりでしょう?

姑に言われて、駅前まで来てこんな目にあって。


「もう、いいです!ご勝手に!」

怒鳴って出てきてしまいました。


望月の家に1人で帰ったら、母から怒られました。

でも、煮えたぎる怒りは姑にもわかったのか、夕飯は無言でたべました。

もちろん、今日もヨウスケさん、帰ってきませんでしたよ。

はい、風船も恋愛するんですね。


ということで、今日はこの辺で。ああ、昔のことだからちょっと感情的になりました。

お粗末さまでした。


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