嫁入り後の学校
第2章 通学の困難
1、嫁入り後の学校
望月アグリと申します。
皆様いかがお過ごしでしょうか。
まだ学生さん?それともお仕事でお忙しいですか?
私の人生は学生、お仕事その一色と言ってもいいかもしれませんね。
祝言は望月の家の関係の方が呼ばれたので、女学校の友達は呼ぶことができませんでした。
翌日、学校に行ったら友人が取り巻いてくるのです。
「ねえ、アグリ。どう?ご主人、あの美青年、望月様なんでしょ?」
「え?ご存じなの?」
「東京のいい中学に通っていて、それは見目麗しい男性だってみんな騒いでたのよ。」
「でも、なんだかぷかぷか浮かぶ風船みたいな人でしたよ。」
「そんなこと言って。昨日は寝かせてもらえなかったんじゃないの?」
「え?寝かせる?」
「あなた、初夜だったんじゃないの?」
「ああ、1人で寝ました。」
「ええええ?」
周りの友人たちが騒がしくなった。
「なになに?」「え?まだなの?」
何が悪いんでしょうか?
だって、嫁に入ったというというよりは養女に来たみたいに考えていいって言われていたんですよ。
子供ができたら、学校も通えないし、結婚して学校に通うのも特例ということらしいので。
「ねえ、アグリ、今日から河野じゃなくて、望月さんなの?」
「うん、そうなりますね。」
「もう、いけずー。」
「ご主人様が帰ったら、それはそれは。。。。」
騒ぐ同窓生をなんだか悲しい気持ちで見ておりました。
なぜ、彼女たちはそういうのか。
私は私で何も変わっていないのに。
でも、わかりました。望月の家に入ったということは、河村の家には帰れないということを。
娘ではなくて嫁なのだということを。
友人たちは先に嫁入りした私を羨ましがりましたが、私はどんどんホームシックになってしまいました。
ということで、本日はこのくらいで。お粗末さまでした。