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望月アグリと申します  作者: 有住葉月
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ようこそ望月家

2、ようこそ望月家

私、望月アグリと申します。私が望月家にきてもう10年以上経ちますので、記憶を掘り起こしてお話しします。

と言っても、皆様が面白いと思うかどうかわかりませんが、私もちょっと変わった夫婦でございまして。


夫婦。その出会いも勘違いからでした。

嫁入りが決まって、望月の家に挨拶に行きました。

玄関で群馬一中の制服を着た青年に会った時、もう胸がドキドキして。

この方と一生を共にすれ違いざまに思いましたよ。


挨拶に行くと、姑になる方、お母様がいらっしゃいました。

「うちには娘がいないから、お嫁に来るって言うより、娘になるって思ってもらっていいのよ。長女はいたんだけどもう嫁に行ってなかなか帰らないからね。」


小姑問題も、姑問題もなさそうで結婚するには良さそうです。

さてさて、16で結婚はちょっと早いかなって思っていましたが、このお家なら大丈夫と感じたものです。


早いほうがいい(お母様が決めたのかもしれないけれど)と言うことで、1ヶ月後に嫁入りとなりました。

と言っても我が家はすっからかん。

お母様の昔の着物がちょっとある程度で嫁入り道具を揃えるなんてと思っていたら、望月のお母様がお見えになって、高崎の百貨店まで連れて行ってくれたのでした。


「アグリさん、いや、これからはアグリでいい?」

「はい、お母様。もちろんです。でも、私の嫁入り道具、百貨店で買っていただくなんてそんな。」

「望月の嫁なんだからそれくらいしてもばち当たらんでしょ。アグリはきっちり家を守ってもらうんだからね。」


その時、家を守るって言う意味、全然わかってなかったんです。

世嗣の嫁になるくらいにしか。

その後に私が、待ち受ける荒波の数々。


と言うことで、色々準備も整い、祝言の日になりました。

望月のお母様は白打ち掛けがいいと言いましたが、河野の母が自分の1番上等な着物を着せたいと言ったので、それで祝言となりました。

今思うと、とてもハイカラな柄だったと思います。

写真を見返してもそう思いますから、私の服への欲望というのはここが原点かもしれません。


で、みなさん着席なさって、望月の客間のはじまでお客様がいっぱいになりました。


しかし、私、中々呼ばれないんです。

どうしたのかしら、と思ったら、群馬一中の制服を着た男性が入ってくるじゃないですか。


「アグリさん、いやお姉さん、兄貴がちょっと遅れててすみません。」


え!!!!!!あなたじゃないの!!!!!

もうびっくりです。こうなったら、その兄貴様がいい男性なのを祈るしかありません。

私は頭がひっくり返りそうなのを堪えてその時を過ごしました。


主人との出会いは次のお楽しみということで。お粗末様でした。


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