40歳童貞の事件簿
隣人が、おっぱいを、見せつけてくるのである。
もちろん裸体ではない。きちんと洋服を着ている。そんなことをすれば公然わいせつであり、いかに美しい2次元を具現化したような女性であろうとも逮捕は免れない。
おっと自己紹介が遅れていた。
俺は40歳の童貞のしがないサラリーマンである。
自己紹介はここまで十分であろう。きっと俺の全てが伝わったはずだ。
さて本題に入る。
隣人がおっぱいを見せつけてくる件である。
状況を整理する。大事なのは5W1H。社会人の基本である。
Why (何のため)
What (何をするのか)
Who (誰が、誰のために)
When (時期・頻度・長さ)
Where (どこで)
How (どんなやり方で)
このフォーマットに当てはめていこう。
Why なぞである。
What 乳を見せつけてくる
Who 隣人の2次元のような美しい女性
When 朝・出勤前
Where 玄関を出る時に
How 揺らす
なるほど。これだけなら痴女にしか見えない。もしかしたら痴女なのかもしれない。
彼女と俺は話したことはない。すれ違う際に挨拶を交わしたことはある。ただそれだけの関係である。俺は彼女のストーカーではないので、何時に出勤して何時に帰ってくるかなんてしるよしもない。
彼女が後から入居し、隣人への挨拶は特になかった。彼女の人間性に問題がある訳ではない。このご時世、どんな隣人がいるか分からない。危機管理として当然の選択だ。
俺は電気を消し、ベットに潜り込んだ。頭の中が悶々とする。
おっぱいを見せつけてきた朝の出来事をもう一度思い返す。
「おはようございます」
会釈をする彼女。揺れるおっぱい。
なるほど、考えれば考えるほど明らかに見せつけに感じる。
挨拶一つでそこまでおっぱい揺らす必要があるだろうか? いやない。
やはり見せつけである。女性が無防備におっぱいを揺らすことなどない。男性には常に警戒心を持って接するはずである。
俺は優秀な仕事仲間であり、友である鈴木にLINEをした。
異常事態だ。おっぱいを見せつけてくる隣人がいるぞ、と。
彼の返信は早かった。
「頭ん中が中学生か。あったかくなって薄着になっただけだろ。お前が胸をジロジロ見てるのバレてるぞ」
なるほど……。流石既婚者……。女性を熟知している。確かに俺は目線を強いられていた。
「ありがとう」
俺は鈴木に返信をし、ゆっくりと目をつむった。
翌日、隣人の女性とすれ違った際、かなり冷たい目線で見られたのは言うまでもない。
いかがだったでしょうか? 気楽に楽しんでいただけたなら幸いです。