9話 思考が鶏肉をジャマする
ー悠視点ー
僕は鶏肉を1羽分持ってキッチンに立つ
まずはこのキッチンに調理道具がどのくらいあるかの確認からして行こう
調味料はもちろん包丁やフライパンなど調理する為にはいろいろと必要になってくるからね
探してみた結果、調理道具は結構な種類が用意されていた
ソーセージを詰めてくマシンとか低温調理器具なんかもあって幅広い調理が可能そうだ
調味料に関しては、残念ながら塩もなかった
『この状態では素材の味を楽しむ以外に方法がないなあ』
せめて、塩だけでもあればなんとかなりそうなんだけどなあ、今日は諦めた方がいいのかな?いやいや、ガチャで出た物のチェックという意味でもとりあえずこのままで焼くのもありかな?
決してお腹が空いて仕方ない訳ではないからね!知的好奇心だから!
チラリと玲の方を見るとピンクのリボンと鉄っぽい塊を持って「うーんうーん」と唸っていたのでちょっと茶化しておいた
玲はいろいろ考えるより、直感的に動いてる方が性に合ってると思うんだよね
そんな玲が僕は好きだし、好感が持てる。
鶏肉を見つめながら考えているとリボンを着けた玲に呼ばれた
「うわー玲はピンクあんまり似合わないね」
リボンが似合わないとかではなく色が似合っていない
クールな美人である今の玲にはもう少し落ち着いた色の方が似合うだろう
さて、そろそろ鶏肉の処理に取り掛かろうか!
「じゃあ、コレはお前が着けてろや!」
再び鶏肉と睨み合ったっていたら玲にリボンを着けられた
「…悠はピンク似合ってるな」
どうやら今のフレイアとしての僕はピンクが似合う見た目らしい、鏡で見てはいたが人に言われるとやはり乙女ゲームのヒロインだしそれなりに見た目はいいだろうと実感する
そもそも、乙女ゲームの知識も妹にもっと聞いておけばよかったなあ
妹が自主的に口に出した名前ぐらいしか知らないし
まあ今更、悔やんでも仕方ない
こんな状況になるって知らない僕が妹に乙女ゲーム情報を聞き出すビジョンが見えてこないしね
さてさて、鶏肉に集中しよう
見る感じ丸どりだね、ガチャで鶏肉が出ると丸々1羽分が貰えるってことかな?結構お得では?
とりあえず、お腹の中とか洗ってカットしてみようかな
丸ごとで焼くには時間がかかるしね
まあ、アバタールームに来てからだいぶ時間が経ってるはずだから今更かもしれないけどね
『明日は寝不足になりそうだな』
でも、今は鶏肉を前にワクワクしてる
「おーい!俺ちょっと庭にタネ埋めてくるわ」
玲が庭に出て行った
玲のアバタールームは僕のよりいろいろと付属されてるんだよね
庭も僕には無かったし、これもフランチェスカには必要だったってことなのかな?
フランチェスカは身分の高い公爵令嬢なのに牧場のような広い庭(多分コレがファームだろうな)と工作用の部屋クリエイトルームがスキルって、お嬢様に使いこなせてたのかな?
ゲーム内ではどんな風に過ごしていたのか気になるなあ
さてさてさて、つい思考を巡らせてしまったが鶏肉に集中しよう!
さっきお腹の中を洗って気づいたのだが、なんと内臓系も一緒に入っていたのだ!しかも処理済み!これは嬉しい!僕内蔵も好きなんだよねー!
見る感じかなり鮮度は高いと思うが、今日のところは肉と一緒に焼いてみるのが良さそうだね
材料が揃ってきたら、煮込みにしてもいいし揚げてみるのもいいね!鮮度もいいみたいだから軽く炙ってタタキのようにしてもいいかな?でも寄生虫とか食中毒が怖いからしっかり火を通すようにしようかな、この世界の医療じゃどうなるか分からないし
考えながら、各部位を切っていく
丸どりはまず、モモの付け根に包丁を入れて関節を外しカットしていく、この部分がクリスマスなどによく見る骨付きの鶏肉だよ
次は胸肉をカットしていくがその前にぼんじりだけカットしておこう、ここはお尻の肉で旨味が強くとてもジューシーだよ
胸肉だが、手羽を先に落としてしまってもいいが僕は先に胸肉をカットして手羽先、手羽元をカットする派だ
カットする時に大事なのは包丁は最低限にとどめることだよ、実は綺麗に手とかで取れるような箇所があるからそこを包丁でアシストしてあげる感じでカットすると上手くいきやすいよ
次はササミ…
っとここで玲が庭から戻ってきた
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