66話 君には内緒
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『アバタールーム』に入り、とりあえず玲のクリエイトの制作メニューを見てみたが、流石に現代のスマホ並みの通信機は無さそうだった
「うーん、流石に今回は無理か…
トランシーバー的な物は作れそうなんだけどなあ」
「やっぱり、スマホ並みの性能が欲しいよね!」
「そうだよ…な!!」
「どうしたの、玲⁉︎」
「スマホあるじゃん⁉︎ほら、あの〜ガチャ!!何かのガチャで出て、気になるだろうけど後にしてって言ってた、アレ!!」
「あー、そんな事もあったね!僕達、ガチャで引いた物忘れがちだからね〜!」
「アレ使えねーか?」
「どうだろうね?この世界にスマホは不釣り合いな気がするから見た目だけかもよ?」
「確かにその線もあるな
とりあえずクローゼットから出して確認するか!」
「そうだね」
クローゼットを探すと、前世で出回っていたスマホと見た目だけなら変わらない品物が出てきた
そして玲は、すぐさま電源を入れてみる
すると、スマホの画面は黒い画面からハープのような音がなり白く光り出す
「いけたんじゃないか⁉︎」
「電源入ったね!」
画面にハート型のマークが出ると、メニュー画面を表示した
この画面、ふたりは見覚えがあった
ステータスオープンした時と同じ表示内容である
「コレって…」
「ステータスオープン!」
「同じだ!」
「なんだ、ステータスが見れるだけか⁉︎」
「でも、コレ通信機としてはダメかもだけど、普通に便利なんじゃない?」
「え?何で?」
「ナビリィ!」
「はいなのです!ご主人様!」
「ナビリィ、スマホについて教えてもらえる?何が出来るかとか教えてほしいんだけど」
「お安い御用なのです!
スマホは『アバタールーム』の外でもステータスが見れるのです!
後は、写真を撮ったり図鑑を見たりクローゼットから物も取り出せるのです!」
唖然とする玲に、ドヤ顔の悠
「なんだよ!その顔は!」
「便利だと僕は言ってたからね!」
「そんな多機能だと誰が分かるんだよ!ナビリィ使ってズルしたくせによ!」
「ナビリィに説明お願いするのはズルじゃかいでしょ⁉︎別に勝負でもないしね!」
「ドヤ顔した人間が何言ってんだよ⁉︎」
「アハハハ!それにしても、聞き捨てならない機能あったね!クローゼットから物を取り出せるの便利じゃない?」
「話しの逸らし方、何⁉︎峠攻めてんの⁉︎急ハンドルきるやん!まあ、乗るんだけどさー、あー、確かに便利だろうな
いちいち取りにくるの面倒だったからな!」
「フフッ写真とかも良いよね!この世界には無いし」
「な!」
「いいな〜僕も欲しい!スマホ!」
「ご主人様、」
「どうしたの?」
「ご主人様も持ってるのです」
「…」
今度は逆に、玲がドヤ顔をして悠の方を見る
「何?」
「いや〜別に?」
「そっか、それじゃあ、玲〜早速、写真撮ろうよ!」
「えー、スルー力高っ⁉︎」
「何でもないんでしょ?」
「何でもないです!」
「なら、写真撮ろうよ!」
「え〜、しゃーねーな!」
悠も自分のスマホをクローゼットから引っ張り出し、電源を入れた
「ほら、悪役令嬢っぽいポーズして!」
「悪役令嬢っぽいポーズって何⁉︎こうか⁉︎」
玲は片手を反らすようにして口元に当てた
まるで高笑いをしているかのように見えるポーズだ
「良いね!そのままちょっと上から目線にしてみようか!」
「こんくらいか?」
「バッチリ!撮るよ!」
悠がスマホのカメラのシャッターを切るとハープのような音がポロロンッと鳴った
ふたりには違和感があったが、写真は上手く撮れたようだった
「何か釈然としない音だな」
「僕達の前世の記憶と違うからでしょ?」
「そうだろうな、でも撮れたみたいだな!」
悠はスマホを操作して今撮れた写真を開いてみようと試みるが、どこに保存されたのか分からず、スマホ内をタップしてまわる
すると、ようやく保存を探しだした
なんと図鑑に写真が保存されているではないか
玲の写真をタップしてみると、今は1枚しかないが玲の写真一覧とステータスが悠のスマホに表示される
その中の一文を見て悠は少し焦る
「どうだった撮れてたか?」
「うん!撮れてたよ!大丈夫!」
「そうか!じゃあ俺も!悠〜こっちむ「玲!大変だ!目的を見失ってるよ!」
「ん?ヤベッ!そうだった、皆んなへ渡す通信機を探してたんだった」
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悠は上手く玲の気を逸らすことに成功し、ふたりは元々の目的を思い出した
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