8話 とりあえず、埋めるか
ー玲視点ー
さて、確かガチャで出たのは何かのインゴットと何かのタネと…後何だっけ?
クローゼットの中を探すとボトルに入った精製水とピンク色のリボンがあったのでこれだろう
『何かを作る材料ではあるんだろうが俺レシピとか分かんねーしなあ』
リボンやインゴットを手に取ってみたが今はどうにも出来そうになかった
すると、キッチンから悠が
「リボン着けてみたら?」
なんて言いやがった
「男にリボンとかやめてくれよ…」
「体は女の子なんだから似合うんじゃない?それに時代はジェンダーレスだよ!性別関係なく似合う物を身に着ければいいじゃない?」
「いや、でもなんか抵抗感あるわ」
「じゃあ、僕着けようかな?」
「お前、この状況を意外に楽しんでるよな?」
「まあね、なかなか体験出来ないしさー、玲もいっそ楽しんじゃいなよ」
やっぱり悠は図太いなあ、コイツがこんなだからこの状況も大丈夫な気がしてくる
俺は開き直ってリボンを頭に巻いてみた
「それもそうか、どうだ似合うか?」
鶏肉から一瞬、視線をこちらにむける悠
「うわー玲はピンクあんまり似合わないね」
「あん?お前が着けてみろって言ったんだろうが⁉︎」
「アハハ、着けるまでは似合うか分からなかったからさー玲はピンクより青とか緑とか似合いそうだね」
「じゃあ、コレはお前が着けてろや!」
再び鶏肉と睨み合った悠の頭にピンクのリボンを巻いてやった
「…悠はピンク似合ってるな」
「マジ?」
「マジ!」
「可愛い?」
「見た目だけなら可愛い」
こんなどうでもいい会話をしていて、当初の目的を忘れるところだったが、クローゼットに戻り俺は思った
『そもそも俺は何を作りたかったんだっけ?やっぱり武器とか作ってみてーな!インゴットは武器作りには使えそうだな!リボンとか結局、頭に巻くぐらいしか使い道分かんねーし』
頭に作り方とか浮かんできたりしないかと思ったが無理そうだ
とりあえず、今の俺でも出来そうなのはタネ埋めるくらいか
デカい畑もあったし丁度いい!
キッチンを見ると悠は鶏肉を水で洗っていた
とても、ワクワクしてるのが伝わってくる
『悠は鶏肉に夢中だなあ、俺1人で行くか』
「おーい!俺ちょっと庭にタネ埋めてくるわ」
「了解!」
デカい窓を開けて庭に出る
植物を育てたことなんてないが、とりあえず埋めて水かけとけば育つだろう!
スコップもないので素手で畑に適当な穴を掘り1つだけあるタネを埋めて、ちょっと離れた場所に3つあるタネも埋めた
土は柔らかく手で楽々掘れたので助かった
さて次は水だが、どこにあるだろう?
まさかキッチンまで取りに行かなきゃならんのか?
トボトボと水を探していると小屋の側に水汲み場を見つけたので土で汚れた手を洗い水を汲もうとして今度はジョウロが無いことに気づいた
「しまった!何も考えずにタネ埋めちまった!」
仕方ない、一度掘り起こすか?
クルリとタネを埋めた辺りを見ると様子がおかしい
なんか生えてる?
俺は走って戻る
3つタネを埋めた辺りから白色の花が咲いていた
『えー!育つの早すぎじゃね?植物ってこんな早く育つのか⁉︎いやいや、さすがにこの速度はおかしい!』
悠は料理中だしなあ、俺だけじゃ何も分からんし、とりあえず見せに行くか
俺は白色の花を1本抜いてキッチンに向かった
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