32話 足取り軽く
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ふたりの様子にルディは腕輪を気に入らなかったのだと謝りだした
「申し訳ございません、揃いの物になりますと今フランチェスカ様にお見せ出来る物はこれだけでして」
「そうですか、出来ればもう少し安い物が欲しかったのですが…」
「安い物でよろしいのですか⁉︎」
「ええ、実は今日持って来た魔石は私達へと王子からいただいたのですが、私達ふたりでは分けられないので買い取り額で代わりの物をお揃いで持つと約束したのです」
「そうだったのですね、これは気が利かずに申し訳ございません
これよりも価格が低い物でしたらいくつか用意がございますので、少々お待ちください」
再び、部屋から出て行くルディ
部屋の扉が閉まった瞬間ふたりは喋りだした
「ヤバ…焦りましたね」
「こんなに高いとは思いませんでしたわね」
「確かに、こんな高級店ならそうなりますよね
でも、安い物もあるみたいで安心しました」
「ルディのさっきの言い方なら、魔石の買取価格より高い物は持ってこないでしょうしね」
ふたりが言った通り、次に戻ってきたルディは2つで40〜10万Mの腕輪を数セット持って来た
ついでに中型魔石の買い取り額を一緒に持って来てくれたのだが、50万Mあると思った買い取り額は40万Mしか無かったのだ
「こちらの中型魔石は販売価格50万M程の物と査定させていただきましたので、買い取り額は40万Mでございます
問題なければこちらにサインをお願いいたします」
50万M相当とは販売価格での事だったようだ、買い取りになると価格が2割ほど引かれていたが前世基準ならかなり良い方だろう
「ええ、それでかまわないわ
腕輪はコレを」
「かしこまりました」
サインをして買い取りをしてもらい、40万Mを手に入れたふたりは一番安い腕輪を購入して帰ることにした
「本日は当店のご利用ありがとうございました
また、いつでもお越しください」
ーーー
ふたりはルディに見送られ店を後にする
まだ時間もあるため、直ぐに馬車で帰らずに、少し街を見てまわる事にした
ルディの店が有る周辺は高級そうな店が並ぶエリアだったが、そこからしばらく歩くと街の様子が変わって来た
「いらっしゃい!今日は良いの入ってるよ!」
「ネズミ肉3つあるかしら?」
「おーい!こっちに酒2つ追加!」
「いい匂いだなー!一本貰おうかな?」
「あーあ、今日の戦果はダメだなあ」
道には露店が並び、食材や武器など様々な物が売られている
少し横に外れた場所には料理を座って食べれるスペースが用意されていた
ここで、露店で購入したものを飲食出来るようでビアガーデンのような光景が広がっていた
「こんなに活気がある街、初めて見ました」
「我が国の王都ですからね
私も自分の目で見るのは初めてですが」
「そりゃそうですよねー、お嬢様ですし」
「これからは、もっとこういう所に行きたいですわね」
「はい!行きましょう!」
求めていたのは貴族院よりも、ここのような雰囲気なのかもしれない、ふたりはそう思った
ルディの店から歩きっぱなしだったが、ふたりの足取りは軽くなっていく
「おい、あれって…」
「…な、…かなり…」
「…あ……美じ…たか…いくしか…」
しかし悠は何か嫌な予感がした
こちらを伺い舐めまわす様な視線、会話は途切れ途切れだが、良からぬことを相談している様な気がする
その事に玲は気づくそぶりは無い、なら動くのは自分しかいない
建物の角が来たタイミングで急に曲がり悠は玲の腕をグイッと掴んで引き寄せ死角に入り小さな声で唱える
「『アバタールーム』」
角を曲がった勢いそのままに出てきた扉を開けて突っ込んでいく
無事、誰にも見られる事なくふたりは『アバタールーム』の中に入ることが出来た
「へ?どこ?『アバタールーム』?なんで?」
何が起きたか分かっていない玲はマヌケな声をあげていた
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