3話 乙女ゲーム?えっ?死ぬ?
次の日ー
ふたりは、ビックリするくらいよく眠れていた
「こういうのって、寝れなくなって目の下にクマつくるもんじゃないんだ…」
ーー教室
「ご機嫌よう」
「…ご機嫌よう、皆さま」
昨日までは何の違和感もなかった挨拶も記憶が戻った今、お嬢様かよと度肝を抜かれた
実際、ここにいる皆んなお嬢様だけども…
ーーー
ちなみに貴族院とは貴族の子供達専用の学校である。
ここを卒業すると正式に貴族の仲間入りになるので周りはお嬢様&お坊っちゃんしか居ない
ー玲視点ー
教室の中を見渡すと悠が居た
よく眠れたのか、目の下にクマもなくお肌ツヤツヤだった
てゆうか、
『同じクラスだったのかよ!』
昨日探し回った苦労を返してほしい。
そっと近づき囁いてた
「また、放課後に」
「了解」
グッと親指を立てて笑顔で返された
「アホか!令嬢が親指を立てるな!」
「あ、そうだった、玲と居るとついウッカリしちゃうなあ」
「バレないようにちゃんと令嬢になりきれよ」
俺はヒヤヒヤしながら放課後になるのを待った
ーーー
前世の記憶を取り戻しても考え方や現世の記憶、知識などは消えなかったおかげでふたりは周りに上手く溶け込めているようだ
ーー放課後の庭園
昨日はあまり発展のない会話しか出来なかったが今日はしっかりと状況を把握していきたい
授業中にこの世界での記憶をいろいろ整理してみたので、ふたりで話し合えば何か分かるかもしれない
「玲は何か思い出した?」
「授業中ずっと考えてたよ。多分やけど、ここ異世界だよな?スキルあるみたいやし」
「僕も授業中ちょっと思い出してみたんだけど、嫌な予感がする」
「は?どういうこと?」
悠はちょっと青ざめた表情で続けた
「…ここ『ラブミー・ドゥ』の世界だ」
「何?『ラブミー・ドゥ』?ゲーム?」
「ゴリゴリの乙女ゲーム」
「乙女ゲーム?あのイケメンおとしてくやつ?」
「そうそれ…妹がさ、やってた乙女ゲームなんだけど、王子の名前と僕の名前が一致してるんだよね…」
「僕の名前って?」
「僕の今の名前フレイア・ランドルフっていうんだけど、主人公のヒロインの名前なんだよね…」
「えっ?マジ?悠ヒロインなん⁉︎
お疲れ!!!」
玲は笑いが止まらないようだった
「いやいや!笑ってるけどさ、玲の方が深刻な状態だからね⁉︎」
「え?どうゆうこと?」
笑いが止まった玲はちょっと緊張しながら悠の次の言葉を待つ
「僕も詳しくないから確実ではないけど、玲は悪役令嬢でしょ?」
「……ハァ?
えっ何?俺、悪役令嬢なん?えっ?死ぬやつやん!えっ?えっ?マジ⁉︎」
「玲、落ち着いて!」
「転生早々に死ねかもしれねーのに落ち着けるか⁉︎」
「状況的に悪役令嬢だと思うけど、まだ死ぬとは限らないよ!悪役令嬢が死ぬのは大体がヒロイン虐めるからだし!」
「あ、そっか悠のこと虐めなければ解決か!いやでも、それだけじゃ安心できねーわ!」
「アハハハハ」
「人の不幸を笑うなや!」
「…おなか痛い」
「そこまで笑う⁉︎俺死ぬって言ってんのに⁉︎」
「…でもさ、大丈夫でしょ?僕がヒロインなら悠のこと庇えるし、守ってあげるよ。」
「キュン!」
「…見た目クールな美女なのに中身が玲だと思うと気持ち悪いよ!」
「いや、守るとか言われると嬉しいじゃん!ときめいちゃったわ」
「「アハハハハ」」
ノリはいつも同じだったが、少しずつこの世界のことが分かっていった
ここは乙女ゲーム『ラブミー・ドゥ』の世界
悠がヒロインのフレイア・ランドルフ
玲がおそらく悪役令嬢のフランチェスカ・レッドフォード
危機的なのは、玲が死ねかもしれないことと王子との婚約だろう
このあたりは何とか回避しなければならない
今のところ救いなのはスキルがあることだろう
これだけは男の子としてワクワクしてしまった
ちなみにスキルの確認は今は出来ていない、ふたりで「「ステータスオープン!!!」」と唱えたが何もなかったからだ
ふたり揃ってしょんぼりしてしまった
この転生、神様の嫌がらせとしか思えない。
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