2話 はじめまして、久しぶりですね
ニヤリッ
『『勝った』』
ーー貴族院の庭園
ふたりは心の中でガッツポーズをした
令嬢としてあるまじき表情のふたりは、まるで鏡写しのようにニヤついた悪い顔をしている。
次の瞬間、その表情には見覚えがあることを 思い出す。
ズキッと鈍い痛みが頭に走る
あれは……そうだ!
アイツだ!アイツがゲームに勝ったと慢心した時の表情
ふたりは思い出した
この世界ではない別の世界で生きていたということを
自分がトラックに轢かれてから先の記憶がないことを
そしてその直前まで一緒に居た幼なじみのことを
「えっ?…悠?」
「……玲?」
驚きの表情で互いを見る
目の前にとても美しい女性がいるのにその人はどうやら幼なじみらしい
「嘘やろ?」
「ぇ?転生した?女に?」
「なんで?」
「いや、知らん!知らん!」
お互いに混乱しているが、どうやら幼なじみで間違いないだろう
令嬢にこんな喋り方が出来るわけがない
「「…アハハハハ!!」」
俺たちは取り敢えず、ふたりで笑いあった
落ち着きを取り戻すまでー
「で?」
「でー?」
「でー?じゃなくて!何!どうすんの?女だよ⁉︎しかも俺王子と婚約させられそうなんやけど⁉︎」
「あ、それは僕もそう!どうしようか?」
「えっ?悠も婚約者?じゃあやっぱり探してたヤツはお前かよ⁉︎
せっかく王子押しつけてやろうと思ったのによー」
「え⁉︎玲も押しつける気だったのか?」
「当たり前だろ?男だぞ?」
「今は女だろ?」
「体はな?そういうなら、悠に王子譲ってやるよ」
「えーヤダ」
「だろうね!!俺もだよ!!」
久しぶりの会話だったはずだが、互いのノリは昔のままでふたりは心地良く感じた
「取り敢えず今の状況を整理しようか?玲は王子の婚約者になったの?」
「いや、まだなってはない
打診はあったけど」
「僕も同じ!けど、僕はスキルのせいだから囲いたいだけだと思う」
「何?悠は良いスキル持ってんの?
羨ましぃ!まさかチート転生なんか?」
「精霊対話ってスキルだけど、えっ⁉︎もしかして僕チートかな?この国潰して逃げれるかな?」
「いや!物騒!それはまだ待とうよ!最終手段ってことでさあ」
「そもそも、このスキル何が出来るか分かってないんだけどね。」
「えっ?精霊と対話じゃないの?」
「アハハ!文字通りだなぁ!でも多分そうだろうね」
「てかさー精霊ってなんぞ?」
「知らないよ!」
ふたりは放課後の時間が許す限り今までのことを話し合ったのだが情報が少なすぎるうえに時間も少なく何も進展は無いままこの日は解散することになった
ーーー
ふたりが再会した今日は貴族院の入学式
これから貴族院に通う間は基本的に寮生活になる、また話すことは出来るだろう
寮に戻り食事をとり、自由時間があった後は自室に戻り消灯だ
今日はいろいろあった
ゆっくり1人で考えれば何か気づくこともあるかも知れない
転生していることが分かった瞬間は不安が押し寄せたのだが幼なじみのアイツが一緒だと思うと自然と不安が消えていることに気づいた
まぁ根拠なんて無いのだが、ふたりは3日ぶりにゆっくりと眠りについた。
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