表裏一体
ある日、俺が持っていた全てを奪われる。
そんなことに恐怖心を覚える。
小さい頃は家族が全てで、帰りが遅かったりするとよく涙を流した。
それだけ、人間は何かに依存していないと生きていけない。
だから、俺もこの島と仲間を…。
島に戻ってきた次の日、昨日は何だかんだ色々あったなと思う。
今日、というかここ最近は特に何かがあるわけではないので久々に羽を伸ばそう。
そう思って、思いっ切り伸びをする。
でも、そう思っている日ほどイベントが続く。
ヴェラル様が俺の元にやってくる。
「おい、この島に巨大な船が近づいてきているようだぞ。
どうせお前の知り合いの誰かだろ。」
ヴェラル様は今日も島の外を監視してきた後のようだった。
多分、転生者ギルドなんじゃないかと予想しつつそれならギルティについてだろうと気を引き締める。
一応、仲間に一通り声をかけておいた。
島民全体からしても客人が来ることは珍しいことであり浮き足立った空気が流れている。
多分、そんなに明るい話ではないんだけどな。
朝ごはんを食べて少しすると、本格的に島中がざわめき始める。
ようやく、誰かが来たようだった。
「コウイチ、行きましょう。」
「うん、今行く。」
食堂を出てすぐ、俺はその客人の正体を知る。
確かに、俺の知り合いではあったんだけど。
「やっほ~、久しぶりだね幸一。」
うん、予想通り知久がそこにはいたんだけど。
後ろに魔王と勇者を連れている。
「お、おう。
ディジャバーンさんと玲奈さんまで連れて、何か分かったってことでいいんだよな。」
「まあ、そういうこと。
簡単に言えば、ギルティの拠点がある場所が分かったよ。」
「本当か?流石知久だな!」
遂に、ギルティの拠点を突き止めた。
それは、俺たちの目標であり異世界転生についても何かのヒントになる。
一つ、希望の糸が繋がったというわけだ。
こんなに強いメンバーを集結させた理由もわかる。
「じゃあ、俺たちの島の中からも精鋭を集めるよ。
少しでも助力させてくれ。」
「まあまあ落ち着いてよ幸一。
まずは拠点のある場所を共有しよう。」
「あ、ああ。
そうだったな、一体どこ…。」
知久の指は真下を指していた。
それは、俺たちからすればあり得ない結論。
だって、つまりギルティの拠点がある場所は。
「そう、ここはぐれ島さ。」
知久が俺の思考を読んだように答える。
それは聞きたくないような答えではあったが。
「何で…。」
「それに関しては私から答えさせてもらおう。」
後ろにいたディジャバーンさんが前に出る。
「お前たちはギルティの特徴が分かるか?」
「…分からない。」
「それは、必ずメンバーを各地に散りばめていたことだ。
操られていたり、騙されていたりしたパターンもあったがな。」
確かに、俺たちが行ったところでもオペラード、バイバンさん、チーフ。
ギルティにかかわる人間が所属していた。
ディジャバーンさんは続ける。
「お前たちがオルフィス大陸へ来た時のことを覚えているか?
あの時、バイバンとチーフは通信機により連絡を取り合っていたようだ。
ギルティは、各地ごとに近況を報告して監視していた可能性が高い。」
頭が混乱していて、話をどれほど理解できているか自分でも分からない。
とにかく、結論を待つしかなかった。
「それほどまでに慎重で姿が見えてこないギルティ。
そんな奴らに、うってつけの場所があった。」
「それが、はぐれ島…。」
ようやく声がでて、それでもありきたりな言葉しか出てこない。
「まあ、大鬼の島も候補にはあった。
ヒューマ大陸ではここ二つは危険な場所と言われていた。
第一線級の魔法使いを閉じ込める場所として選ばれるほどにだ。」
ディジャバーンさんは追及をやめることはしない。
「それに、この通信機の技術。
これは、フィーロあなたが作ったものと一致している。」
ここで、また知久が言う。
「もちろん、ここにいる全員とは言わない。
それでもギルティにかかわっている人間がいるとは考える。
これは、悪夢を終わらせるための戦いだ。
善人すら滅ぼす覚悟を、僕は決めてきてしまったよ。」
後ろから、大量の人が急に現れる。
各地から集められた精鋭であろうその人たちからは異様なオーラを覚える。
平和だった一日はあっさりと崩壊する。
これから始まるのは、はぐれ島と世界の戦い。
俺は仲間を疑うことはできないまま、覚悟も決めれないまま戦いに臨むしかなかった。




