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異世界で都市開発 ~はぐれ島での新生活~  作者: 里下里山
第一章 はぐれ島転生編
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不思議な不思議なクラス

 あれから何日たったでしょうか?

 少なくとも一週間は立ったと思います。

 山の頂上にあるその大きな学校が、私を迎えてくれました。

 

 あの夜からいろいろな街を転々としながら、学園のありかを探し続けました。

 しかし、思っていたより学園の情報は知れ渡っていませんでした。

 中央国を避けるように進んでいたのも原因の一つかもしれません。

 何とか情報を入手した私は、開拓が進んでいない山奥へと歩みを進めました。


 だからこそ学園の規模と華やかさには驚きました。

 一瞬、その圧に困惑はあったものの、ここで引くわけにも行きません。

 固唾を飲みながら、学園へ入りました。

 

 「おや?可愛い小娘だね、学園の扉へお入り!」


 急に、頭の中を言葉が支配します。

 これも、スキルの一つなのでしょうか。

 今まで勉強した中でも、こんなスキルは出てきたことがありません。

 この時点で、もう力の差を感じてしまいます。

 声の通りに私は、扉を開きました。


 見たことも聞いたこともない道具の数々。

 すべてが記されていると錯覚する程の厚い書物。

 そして真ん中に座って背を向ける異様な雰囲気を放つ女性。

 でも驚いたのは、その部屋には私が入った所以外に扉がないことです。

 ここが入り口なら玄関くらいはあるはずです。

 私はそんな違和感に不安を抱きました。


 「あんたいい洞察力だ。空間転移であんた自体を移動させたんだよ。」


 まるで考えを読まれたように、扉がない解答を教えられました。


 「あたしの名前はアーミラ・プラツマ、この学園の最高責任者さ。」


 これが私の二人目の母である、アーミラ先生との出会いでした。

 椅子を回転させ、こちらを振り向いた彼女は気品や美という言葉がピッタリです。

 宇宙やオーロラを彷彿とさせるその髪の色が美しさを更に引き立てます。


 「この髪の色は特殊でね、適性のスキルが希少な空間なのさ。」


 また思考を読まれてしまいました。

 まだ一言も発していないのに、何故か会話ができてしまいます。


 「それより、ほら名前。」

 「あ、私はミミリ・アクス」

 「おっと、それ以上はいらないよ。ミミリ、ここに来たからにはあんたもプラツマさ。」


 そう言って彼女は快活に笑いました。

 

 「あんたもここに来たってことは、入学希望だろ。歓迎さ。」

 「え、もうちょっとどこから来たとか」

 「目を見りゃわかる、あんたは真面目で誠実な子だよミミリ。」


 ゆっくり立ちあがった彼女は会話を続けます。

 

 「ただね、能力を見るためにテストは受けてもらう必要がある。

 あたしもあんたの能力を知りたいしね。」


 そういって、テストの用紙を渡してきます。

 客用の席である、ゆったりとしたソファに座ります。

 どうやらまずは、筆記テストのようです。

 内容は簡単から難しいものまで様々ありました。

 自分の勉強時間の足りなさを悔やむほどです。


 「そこまで!さあ、次は実技さ!レナード、相手をしておやり!」

 「了解です!」


 扉から少女が一人入ってきて、アーミラ先生の呼びかけに答えます。

 

 何度私は、アーミラ先生のスキルに驚くのでしょう。

 扉の先にはまさしく何もないと呼べるような荒れ地でした。

 

 レナードと呼ばれた少女と私は向かい合います。

 つまりは一対一の実践訓練ということなのでしょう。

 レナード側から、声をかけてきます。


「アーミラ先生のスキル、すごいでしょー!」

「ええ、私もまだ知らないことがたくさんありますね。」

「アーミラ先生はあなたのことを気に入っているみたいだから、何かを見出したんだろうね。」

「そう思っていただけたなら、光栄です。」

「もしかしたらアーミラクラスになれるかもね。」


 アーミラ先生はあげていた腕を振り下ろそうとしています。

 その瞬間にレナードの目がぎらついたのが分かりました。

 レナードが言い放ちます。


 「私に勝つことができたらだけどね!」

 「はじめ!」


 まずは、お互い様子見から始まります。

 レナードは飛び掛かりそうな勢いでしたが、意外と冷静なようです。

 彼女の髪の色は黄色、光や雷のスキルに適正があります。

 動きやすそうな格好から見るに、近接戦で一気に攻めてくるタイプでしょう。

 そのためにはまずはこちらから動くのが有効でしょう。


 「メガ・ウェーブ!」


 大きな波を起こし、レナードに向けます。

 彼女はようやく動き出しました。


 「チェンジ・レオパルド!」


 一瞬で豹に変化した彼女は高速で背後に回ります。

 しかしそれを読んでいた私はスキルを重ねます。


 「アイス・ウォール!」


 飛び掛かってきた彼女は、氷の壁に飛びついていきました。


 「っ、冷たっ!」


 一瞬、手が緩んだ彼女の後ろに波を回して気づいたときには飲まれてしまいました。

 決着です。

 アーミラ先生が声を上げます。


 「そこまで!勝者はミミリ!すごいじゃないか。」

 「ああ、本当にお強いようだ。」


 アーミラ先生の後に続く低い声で、私は振り向きました。


 「おっとこれは失礼、僕はヒーズ。アーミラクラスの生徒です。」


 そう自己紹介をしながら、レナードに近づきます。

 そして彼女に光を当てると、ついていた傷がみるみる治っていきました。


 「変身に回復、面白いスキルだろう?」


 アーミラ先生が声をかけてくれました。


 「さっきのテスト、面白いものを見せてもらったよ。

 2問間違いの196点、筆記得点は歴代最高。

 そして、髪の色とは違う水・氷のスキルにも適正ありときた。」


 あれ?なんか心なしか目が輝いているような気が…。


 「レナード、ヒーズ、こっちにおいで!」


 二人が駆け寄ってきます。

 アーミラ先生は高らかに宣言しました。


 「ミミリ、あんたはアーミラクラス三人目の生徒だ!他の二人も仲良くするんだよ!」

 「あ、えと、よろしくお願いします!」

 「あらら、アーミラ先生にきにいられちゃったね!」

 「この人は知識欲が原動力だからね。

  君程頭も良く、珍しいスキルをもつ人はそうそういない。」


 これが私の人生に大きく関わることとなる三人との出会いでした。

 

 「さて、続きはまた今度にしましょうか。」


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