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異世界で都市開発 ~はぐれ島での新生活~  作者: 里下里山
第三章 異世界への扉編
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能ある鷹は爪を隠す

 国の入り口からずっと進んだ先、俺たちの目指す施設はようやく顔を出す。

 その道に見える建物は昔ながらの和風な建物、逆に現代チックなアーティスティックな建物。

 この国には色々な文化が流れていることが分かる。

 その中でも、一際目立つ大きな建物は一本道の終点に存在した。


 転生者ギルド。

 掛けられた看板に記されたその文字は俺たちの目的地を再認識される。

 もっと、厳重に警備がいるイメージだったのだがむしろここまで手薄なのは自信の裏返しに感じる。

 俺たちは、何とも言えない空気の中扉を叩く。


 「おや~、きたきた。

  どうぞ~、入ってもいいよ。」


 俺たちが扉を開けると、ゆったりとしたソファに一人男が座っている。

 他の部屋に人の気配はあるが、警戒されている様子は全くなかった。

 目の前にいる男はあくびをしながら、話を始める。


 「やあ、幸一。

  僕も君に会ってみたかったんだよ。

  わざわざこんな所に来たという事は僕たちに会いに来てくれたんだろ?」


 男は立ち上がって、冷蔵庫からジュースのペットボトルを取り出す。

 それをぐびぐびと喉を鳴らしながら一気に流し込む。

 どうやら、俺の返答を待っているようだ。


 「うん、実は色々と聞いてみたいことがあってさ。」


 男は平手を押し出して、話を遮る。


 「そういう話はもっと親交を深めてからにしようよ。

  そうそう、自己紹介しないといけないよね。

  僕の名前はトモヒサ。

  あー、君には今泉知久っていった方がいいかな。」

 「俺の名前は松尾幸一だ。」

 「へえ、松尾っていうんだ。」


 なんか、知久は凄いやつだ。

 話をしているうちにいつの間にかリードされてしまっている感覚。

 カリスマ性がある、という言葉が似合うだろうか。

 

 「そうそう、聞きたいことがあるって言ってたよね。

  それなら僕も条件を出してもいい?」

 「条件?聞いてから決めても大丈夫か?」

 「もちろん、ただ鬼を倒すのに協力してほしいってだけさ。」


 鬼ってのはこの前の夜に追い返した奴のことだろう。

 一応振り返って二人の意思も確認する。


 「正直、僕は戦力にならないと思うよ。

  それでもいいなら、コウイチに任せる。」

 「次も逃げられてしまう可能性はあるかもしれないけど殺されることはないはず。

  ここは乗ってみようか。」


 二人とも、全然問題なさそうだ。

 俺も意思は固まったが、とりあえず質問から始める。


 「協力ってことは、転生者ギルドも一緒に戦うの?」

 「もちろん、というかメインは僕たちが戦うからちょっと協力してほしいって感じだね。」

 「なるほど、決行はいつ?」

 「今夜に奴らが来るからそこを叩こう、夢で見たし。」


 今夜とはなかなかハードなスケジュールといえる。

 とはいえ、いつ来るのかも分からないから早めに叩いておこうということなのだろう。

 っていうか未来予知の能力は知久のものだったのか。

 色々と聞きたいことはあるけれど、それは協力してからということか。

 どちにしろ、俺たちの意思は決まっていた。


 夜、またあの日と同じような静かな時間が訪れる。

 転生者ギルドの指示によって、住民たちは家の中に避難し俺たちは国の入り口まで降りてきていた。

 転生者ギルドからは知久も含めて、4人のメンバーが来ている。


 「さて、そろそろかな。」


 知久がそう言った瞬間全員が武器を構える。

 見えない暗闇の中からは独特のオーラが迫っている気がした。

 そしてついにそれは姿を現した。

 知久が気づいたように言う。


 「そういえば、今回は三体いるよ。」


 現れたのは、赤・青・黄の信号機みたいなカラーリングの鬼だった。

 忘れるな、そんな大事なこと!


 「亜矢!」


 知久の声によって、ギルドの女の子が地面に手を当てる。

 青鬼の周りから生えた、触手は一気に動きを拘束する。

 焦った青鬼はこん棒を振り下ろす。


 「健太!」


 次に現れたガタイのいい男が直接その攻撃を受け止める。

 その瞬間、こん棒がその場から消滅してしまった。


 姿勢を崩した青鬼は首の位置が低くなる。

 その首に向かって、グラハの一撃がクリーンヒットした。

 青鬼の首が飛んでいくのが見えた。


 他の鬼たちが呆気に取られている内にフィーロさんがスナイパーライフルを打ち込む。

 それは、黄鬼の足に刺さり麻痺が回って崩れ落ちる。

 

 「裕也!」


 そこで、走ってきた背の低い男はその手にハンマーを持っていた。

 そのハンマーを黄鬼の頭に向かって振り下ろす。

 そのハンマーが急に口を開き、黄鬼のことを捕食してしまった。

 赤鬼は怒りに震えている様子を見せた。


 「じゃあ、僕たちも行こうか。」


 和久の言葉に、俺も一気に飛び出した。

 とんでもないスピードで赤鬼は攻撃を仕掛けてくるが、怒りのあまり攻撃が単調になっている。

 避けること自体は難しくない。

 

 「皆~みてみて~。」


 いつの間にか、知久は赤鬼の頭の上に立っていた。

 そのまま、首に向けて強烈な蹴りを繰り出す。

 変な方向に曲がってしまったその様子は、死を告げている。


 「幸一、ありがとね~。」


 一瞬で決まってしまったその勝負は、転生者ギルドの圧倒的な強さを表していた。

 さて、これから色々と聞かないといけないことがあるな。

 俺は頭の中を整理しながら、帰路を辿った。


 

 

 

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