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異世界で都市開発 ~はぐれ島での新生活~  作者: 里下里山
第三章 異世界への扉編
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鬼は外

 俺たちは、中央国、ミドレアまでやってきていた。

 来たのはかなり最近だったのに、国中の雰囲気がだいぶ変わっているのが分かる。

 それだけ、あの誘拐騒ぎがもたらした影響は凄かったのだろう。

 チーフの能力は、オペラードの比にならないほどの脅威だったからな。


 さて、俺たちがミドレアにやってきたのもその事件に関することだろうとセイファは話す。

 チーフは能力によって感情を奪ったり活力を奪うことが出来た。

 もちろん何か条件は必要だったようだが。

 ヴェラル様はそれは恐怖による感情の支配なのではないかという。

 今となっては、分からないし知る必要もない話だった。


 城に到着すると、たくさんの人が並んでいた。

 さっきの話の続きにはなるがチーフが死亡した後、全ては本人のところに返された。

 そのため、気づいたら周りが全て変わってしまって住居がないという人はざらじゃない。

 そういった人たちが助けを求めて、城に押しかけているようだった。


 つまり、そういった人たちの引受先としてまだ土地に余裕があるはぐれ島はピッタリなのだ。

 それが今回呼ばれた理由なのだろう。

 セイファが城につくと、俺たちにこれからの行動を伝える。


 「ここからは、まあまあ長い話になるからそろそろ別行動しましょう。」

 「じゃあ、東の国に行きたい人はいる?」


 俺は、これから東の国に行くためメンバーを募ってみる。

 ちなみに、島に残っているのはヴェラル様とミミリだけだった。

 真っ先に、フィーロさんが手を挙げた。


 「僕も、転生者ギルドは少し気になっているんだ。」


 フィーロさんは昔勇者とつながりがあったようだ。

 そういった関わりから転生者について気になっていることがあるのだろう。

 そういえば、俺と初めてあったときも、いろいろ言ってたな。


 続いて、グラハさんとカイゼが名乗りを上げる。

 だが、カイゼの方は何故かセイファに止められてしまった。

 

 「カイゼは一応残って。」

 「…まあ、別にどっちに行ってもいいからな。

  俺も残るとしようか。」


 こうして、俺と同行するメンバーはフィーロさんとグラハさんになった。

 中央から東の国まで、馬車で向かうと日が暮れるころには着くことが出来る。

 俺たちが着いたのも予定通りで、太陽はほぼ見えなくなってきている時間帯だった。

 

 国の中では人の気配が全くなく、異様な感覚を覚える。

 宿屋の中に入ろうとすると、鍵がかかっていた。


 「すいません、泊めていただきたいんですけど。」


 鍵がゆっくりと開き、店主らしき男が顔を出す。

 相当緊迫した空気を放っている。


 「きみたちは冒険者か?危なかったね。

  早く中に入りなさい。」


 俺たちは何が何だか分からず、疑問を投げかける。


 「無知でごめんなさい、一体これから何が起こるんですか?」

 「後でいくらでも話してやる、とりあえず中に…!」


 バンッと店主が勢いよくドアを閉める。

 閉まる直前の鬼気迫る表情で、異変が起きたことが分かる。

 その異変は店主の視線の先、つまり俺たちの背後で起こったことになる。

 後ろを振り返るとそこには…「鬼」がいた。


 実際には鬼かどうかは分からない。

 でも、そう思ったのは赤い体の色に二本の角、掲げているでかいこん棒。

 その全てが俺が聞いたことのある鬼に一致したからだ。


 「全員、距離を取れ!」


 フィーロさんの言葉で俺たちは鬼から視線を逸らさぬまま全力で後ろに後退する。

 そのすぐ後には、俺たちの元居た場所にこん棒が振り下ろされていた。

 自分たちの敗北を想像してゾッとする。


 「コウイチ君、剣を構えなさい。

  いい?、倒すことじゃなくて勝つことに全てをかけて。」


 俺たちの勝利条件はとりあえず全員生存。

 かつ、連れていかれることや怪我することもないようにしたい。

 グラハさんの言葉から、彼女も大体同じことを考えているだろうと予測する。


 大きいこん棒を握った鬼は一振りでは疲れた様子を見せず、次の攻撃を構える。

 振り自体が遅いのが、唯一の救いだろうか。

 一度当たれば、即死なため全然ラッキーとは言えないが。


 俺が真っ先に近づいていく。

 こん棒の攻撃に頼ってるということは逆に内側に入られることに弱い。

 と、なると俺の方を先に対処してこようとするはずだ。

 その隙に、グラハさんが死角から斬撃を入れていく。


 これが人数有利の利点だ。

 相手の方が戦闘力が高い場合でも避けることに徹していれば無理なことはない。

 どっちかの対処を急げば、もう片方から攻撃を受ける。

 この理不尽な繰り返しにより、ダメージを蓄積させていく。

 フィーロさんは遠くから客観的に見て、指示を出してくれている。

 

 ついに、痛みに耐えきれず鬼はこん棒をたまらず落とす。

 武器を一瞬でも失ったことは生物にとって危機を表す。

 自分の命を優先した鬼は堪らず逃げ出してしまった。


 「追う事は絶対にするなよ。」


 グラハさんの言葉に冷静に頷く。

 俺たちは初めてといえるほど完璧に勝負を制した。

 これは自分自身の進化を感じることが出来ていた。


 いつの間にか朝を迎えていた。

 閉じ切っていた、カーテンが開き人が少しずつ様子を眺める。

 そして、ガチャリガチャリとドアが開いていき瞬く間に国中が賑わっていく。

 最初の静けさとのギャップに特にそう感じるのかもしれない。


 「本当に、申し訳ないことをしてしまった。」


 昨晩の店主も顔を出す。

 実際悪かったのは俺たちのほうだったため、すぐに言葉を返す。


 「いえ、すぐに入らなかった俺たちの方が悪かったので。」

 「まあ、とりあえず宿に入んなさい。

  君たちが見た、あの化け物について聞きたいこともあるだろう。」

 「その前に、少し休ませてもらってもいいですか。」


 昨晩の疲れを落とすために俺たちは宿に入っていく。

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