外界からの変革
「うわー、ちょっと見ない間にどんどん景色が変わってくね。」
グラハさんは、目を輝かせて拠点までの道を歩いていく。
何とか脅威から救われた俺は、グラハさんの案内のため結局セイファの所へ向かっていた。
流石に城は完成していないため、前と同じく食堂にいる。
「まだ色々と整ってなくて、本当は城とか見せたかったんだけど。」
「ん、まあ後でいくらでも見れるしね。」
グラハさんはオルフィス大陸とはぐれ島の外交官的な役割なんだろう。
これからも定期的に島に来てくれるのかな?
俺のせいといえば俺のせいなんだが、グラハが来るのが遅れたのを気にしたのだろう。
ヴェラル様が、拠点付近で待っていた。
「ようやく来たか、建築屋と一緒とはな。」
グラハさんは勢いよくヴェラル様に抱き着く。
「ヴェラル、久しぶり~。
本当に寂しかったんだから~。」
「はいはい、それじゃ行くぞ。」
こうして、グラハはヴェラルに引っ張られていく。
前会ったときはもっとクールな人だったんだけどな。
ヴェラル様とも仲良くなってるし、俺たちが島の外にいる間何かあったのかな。
さて、そこからは円滑に話が進んだようで新しい島民がどんどん入ってくる。
魔物も連れていかれているようで、浮いている檻に入れられていく様子は衝撃だった。
俺は、島民の家を決めていく。
「ここがあなたのお家です、お名前お聞きしてもいいですか?」
「アオンです。」
「ありがとうございます、今日からお願いします。」
上の立場の風格を見せろ、とかヴェラル様に言われたけど結局初対面相手だとこうなっちゃう。
よし、次は気合を入れていこう。
「じゃあ、次の人はここに住んでね。」
「はい。」
「名前教えて。」
「グラハです。」
「グラハ…ね、え?」
顔を見上げると、本当にグラハさんがいる。
「何の冗談ですか?」
「あたしも本当にここに住むの!」
正直今日一番の衝撃だった。
どうやら、グラハさんはディジャバーンさんからの命令でオルフィス大陸から来た人たちのまとめ役としてはぐれ島に派遣されてきたらしい。
「私からお願いした部分もあるんだけどね。」
「なるほど、じゃあこれからお願いしますね。」
「うん、そういえば私も剣を嗜んでるんだけど。
魔王様によろしく言われてるから、コウイチ君よろしくね。」
「あー、最近ちょっと城づくりで忙しくて。」
「5時。」
「了解です!」
はあ、これからやらないといけないことがまた一つ増えたな。
こうして、グラハさんを含むオルフィス大陸の人たちが島にやってきた。
それから一月たった頃、オルフィス大陸の人たちも仕事を始めていた。
元の住民との関係性も悪くなく、皆それなりには楽しい生活を送れているようだ。
セイファの指示は驚異的で、道の整備またその周辺の街灯やベンチなどの配置。
それにより生活が明らかに豊かになっているのを感じる。
そして、俺も。
「うわー!すごいじゃなーい!」
ついに城が完成した。
セイファも興奮してぴょんぴょん飛び跳ねている。
かなり時間はかかったがなかなかいいものが出来たと言えるだろう。
城の中に入る。
「本当に中も綺麗ね。」
「新しいってのもあるけど、やっぱり気合い入れたからね。」
「うーん、この広さだったら数人掃除をしてもらう必要があるわよね。」
セイファはすぐに城での島民の役割などについて考えていた。
彼女のこういう所は素直に尊敬する。
こうして、下見を終えて人が入れるようになった。
セイファの側近にはヴェラル様がついてくれるようだ。
魔物が島からいなくなったことで、ヴェラル様ほどの強さがなくても安全が保障されるようになった。
そのヴェラル様が、セイファの一番近くにいてくれることは本当に心強い。
そうして、城の一件もひと段落着いたところでセイファに言われる。
「そういえばコウイチ、今度中央国に行くんだけど一緒に来ない?」
「あー、もちろんいいけど何で?」
「掘り返していいのか分からないけど、コウイチって転生について気になってるっぽいじゃん。
それだったらついでに東の国に行ってみない?」
東の国、本で一度読んだんだけど色んな種族から構成されている国らしい。
確かに、そこなら転生者に会えないこともないかもしれないけど…。
「転生者ってそんなにいるもんなのかな。」
「うーん、それは分かんないんだけど。
東の国には転生者ギルドがあるんだよ。」
転生者ギルド?
つまり転生者が集まって形成されているグループがあるってことか。
なるほど、それなら行く価値はあるかもしれない。
「わかった、じゃあ俺からお願いするよ。
俺も、連れて行ってくれ。」
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東の国、ソーエアスト。
そこに大きな一軒家が建っている。
扉の掛け看板には「転生者ギルド」と記されていた。
それまで、昨日からずっと寝続けていた男がゆっくりと体を起こす。
もう一人いた男もその様子に気付いたようだった。
「おい、何が見えた。
俺は次にどこに向かえばいい。」
「いや、ここにずっといればいいよ。
あの時、魔王に殺されることはなかったんだね。」
「魔王?まさかまたあの男の夢か?」
「あの男なんてやめてよ、コウイチって立派な名前があるんだからさ。」
重たい体を何とか持ち上げて、気怠そうに男は窓を開ける。
いろんな見た目をしている町の人々を数えるように見始めた。
「さて、殺されてしまった僕たちがいるここは天国かな。
それとも、僕が大好きな夢かな。」
二人は颯爽とコートを上着を着込み街に繰り出す。
「これから面白いことが始まるよ。
僕は生粋のエンターテイナーだからね。」
その笑顔は純粋無垢な笑顔、止まっていた歯車が動き出すことを告げる。




