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異世界で都市開発 ~はぐれ島での新生活~  作者: 里下里山
第二章 異国の開拓地編
39/64

歪に絡まる因果関係

 さて、あの壮絶な戦いがあってからどれくらいの時間が経っただろうか。

 俺たちは、色々な処理を終えていた。


 今回の事件では、ほとんどが生存していた。

 そのため、魔法使いに現場まで来てもらって、事後処理をお願いする。

 もちろん、キョウスケとチーフの死体も運ばれていく。

 セイファはキョウスケの手を取って何度も泣いていた。

 俺たちも悲しみに暮れていたが、ここで泣くのは違うと思った。


 そうして、何人も気絶していた奴らが連れていかれる。

 ほとんどが、チーフのスキルで強化されていたため抵抗することはしなかった。


 もちろん、バイバンさんも自分から連れていかれる。

 スパーダと色々話をしていたようだ。

 バイバンさんは驚いたような、困ったような表情を見せていた。

 それでも最後には強くなったなと親子で笑いあっていた。


 そして、問題はミミリに移る。

 大陸内に入ってはいけないというルールを破ってしまったため王国へ呼ばれていた。

 実際の所は、ミミリが自分から来たというよりは連れてこられてしまっただけなため処罰はないだろう。

 

 俺も、王国には来てみたいという気持ちもあった。

 全員で、王国に入れてもらう。

 ミミリも流石に緊張しているし、色々と不安もあったようだった。


 王の間はすさまじい雰囲気を放っている。

 その原因はその中心にいる人物、多分王だろう。

 流石に全員、飲まれそうになってしまう。


 「久しぶりだな、ミミリ。」

 「はい、ご無沙汰しております。」


 王は、そこから話をすることなく数秒経った。

 そして、頭を下げていた。


 「今回の件、我々の国では早急に解決することが出来なかった。

  その結果、怖い思いをさせてしまったし仲間の中から死人を出してしまった。

  我々からは何をやっても償うことのできない見落としをしてしまった。

  本当に、すまなかった。」


 その王にはたくさんの経験や色んな意味での強さを感じた。

 そんな人が頭を下げている、これも一つの強さだ。

 ミミリも、そんな王の誠意を受け取れるように言葉を返す。


 「どうか、頭をお上げください。

  もう、終わったことですから。」


 王はゆっくりと頭を上げた。

 そして、また語りだす。


 「君たちの悲しみに値する償いは出来ないだろう。

  それでも、君たちが困っていたら我々は協力を惜しまない。」


 そこで、俺はお願いをする。


 「では一つだけ、ミミリが大陸に上陸することを許可して頂きませんか?」

 「それはもちろん、元々悪気なく禁止スキルを使っていたことも知っていた。

  許可を出そう。」

 「ありがとうございます。」


 王は俺たちをゆっくりと見回す。

 誰も、この国自体が悪いと思っていない。

 だから、それ以上の要求が出ることはなかった。


 「そういえば、ミミリ。

  お前に会いたいという奴が来ているぞ。」

 「私にですか?」


 扉が開いて、二人入ってくる。

 その内の一人がミミリに向かって一直線で突っ込んできた。


 「ミミリー!!」

 「レナード? ヒーズ?」

 「もう数年も会えなくて、寂しかったよー!」


 現れたのは、ミミリの魔法使い時代の親友である二人だった。

 二人との再会にミミリもとても嬉しそうな表情を見せた。

 そこで、王様が宣言する。


 「ここで、我々の危機を救ってくれた英雄のために食事を振舞わせてくれ。

  今日だけは、楽しんでいってくれ。」


 ああ、本当にまた一つ終わったんだな。

 急に賑やかな雰囲気に変わり、俺は平和が戻ってきたことを確信する。

 それぞれが一様に楽しんでいた。


 セイファやカイゼは中央国の知り合いと歓談しているようだし、ヒーナはミミリやレナードと混ざって食事を楽しんでいる。

 俺も色々、話をしていた。

 ようやく一人になるチャンスが出来て、静かに皆の様子を楽しんでいた。


 そんな俺の所にやってきたのは、スパーダだった。


 「スパーダ、楽しめてる?」

 「うん、こんなに美味しいご飯を食べたのは初めてだ。」

 「スパーダも含めて皆、本当に頑張ったんだよな。」

 「いや、オイラは全然だった。」

 「え?」


 スパーダは悔しそうに自分の実力の無さを嘆いていた。


 「地下水道の時さ、ずっとコウイチにおんぶしてもらってた。

  剣の状態だった時以外は足手まといだった。」

 「いや、そんなこと」

 「オイラ、別に慰めてほしくて言ってるわけじゃないよ。」


 スパーダは俺の正面に立った。


 「オイラも、はぐれ島に行きたい。

  でも、まずは魔王様の所で修行してくるよ。

  そうやって、オイラたちがもっと強くなってまた会ったらその時は最高の相棒だ。」


 スパーダは泣きそうな顔をしていたが、涙をこぼすことはなかった。

 もちろん、本気だって俺も分かった。

 だからこそ、ちゃんと言ってやらなくちゃ。


 「待ってるよ、相棒。」


 今回の旅でも色んな出会いがあって色んな仲間が出来た。

 そんな中でディジャバーンさんの言葉を思い出す。

 「お前は王に向かない」本当にそうだな。

 仲間との別れは俺には辛すぎるよ。

 俺は、あまりにも人間だったようだ。


 俺たちは、そんな一日を過ごした。

 盛り上がりも段々と、落ち着いていく。

 夜になって、皆それぞれ部屋に招待された。

 

 スパーダは、夜のうちにオルフィス大陸へと出発した。

 俺以外にも行っていたようで、部屋から全員で手を振った。

 頭の中にある感情がぐちゃぐちゃになって分からなくなりながら眠りについた。


 翌日、俺たちも島へ帰る準備をしていた。

 国は盛り上がりが収まるどころか更に勢いを増していた。


 「今日も、何かあるんですか?」


 適当にそこら辺の人に話しかける。


 「何って、勇者様が帰ってくるんだよ!」

 「え、勇者!?」


 勇者ってあの勇者?

 何度も、色んな人の話に出てくるもんだから俺も会ってみたい!

 急に歓声が更に強くなる。

 俺の視界にも数人がゆったりと歩いているのが見えた。

 その先頭の人物に俺は見覚えがあった。


 「あー!」


 俺は、空気を読まずにその人の前に飛び出していた。


 「玲奈さん、久しぶりじゃないですか。」


 その人は、お兄ちゃんの同級生であり俺のことも弟のように可愛がってくれていた玲奈さんだった。


 「幸一君?」


 俺を見て、玲奈さんは膝から崩れ落ちる。

 喜んでくれると思ったんだけど。


 「よく、よく聞いて。」


 玲奈さんは青ざめた顔で言う。


ーーーーーーーー


 玲奈はファミレスでふと、スマホを見る。

 ふと、同級性の間でメッセージが飛び交っていた。

 その中にあったURLをタッチしてみる。


 【速報】○○市に在住の松尾幸一…


 玲奈はいつの間にか走り出していた。


ーーーーーーーー


 何とか、落ち着いた表情で言葉を発する玲奈さん。

 それは俺に、身に覚えのない恐怖を与えた。


 「あなたは、現実世界で何者かに殺害されたの。」


 ー3章に続く

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