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異世界で都市開発 ~はぐれ島での新生活~  作者: 里下里山
第二章 異国の開拓地編
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二つの剣

「あーあ。まさかここが見つかっちゃうなんてなあ。」


 その少女は不機嫌そうに一定の範囲内を歩き回る。

 そしてぴったりと動きを止めた。


 「だったらかくれんぼはもう終了だね。

  次は鬼ごっこでもしようかな。」


 少女はまた期限を取り戻し、通信機を手に取った。


 「ネズミさんたちが入ってきちゃったみたいだから、ちゃんと駆除しておいてね。

  私を守ってくれないと、分かってる?」


 こうして、地下水道での鬼ごっこが始まった。

 入り組んだ道と、数々の敵との戦いがあるハードモードだが。

 少女は余裕そうにスキップでその場を後にした。


 ーーーーーーーー


 「はあ、はあ。」

 

 もうどれくらい歩いたのか覚えていない。

 しかし、国中に広がる地下水道は体力をどんどんと奪っていく。

 ようやく少し広いところに出れて、皆で視線を送りあいそこに少し座り込む。


 「これは、どうすればいいのか分からないな。」

 「もしかしたら、同じ場所を何度も通っているかもしれない。

  景色が変わらない分、恐ろしいところだ。」


 もちろん、体力的にもきついのだけれどこう暗くてジメジメした場所だと、精神的にも滅入ってしまう。

 早くここから抜け出したいのが、本音だった。


 「でしたら、手分けしませんか?

  正直、危険で賭けにはなると思いますが…。

  ここで成果を上げられないのは問題な気がします。」


 皆、その意見にはかなり抵抗があったものの最終的には同意する。

 結果的に、俺はスパーダとキョウスケと組むことになった。

 というわけで、別れ道を見つけてそこから別々に行動を開始する。


 スパーダはまだ子供だ。

 こういった長旅には耐え切れず、俺の背中で眠っていた。

 それでもついてきたのは、もちろんお父さんに会いたい気持ちだろう。

 相棒がいないと、俺も戦えないからありがたいけど。


 正直たまに敵が出てきて、キョウスケが処理してくれているだけでほとんどは歩いている時間なため話をしていないとかなりきつい。

 俺たちは、同じ異世界転生者だから元の世界の話をたくさんした。

 住んでいた場所、何が流行っていたか、どれくらいの時代に転生したか。

 キョウスケの話も聞くことが出来た。


 「とはいえ、私は体が弱かったものですからほとんど外出とかはできませんでした。」

 「そっか、それは凄く辛いよなあ。」

 「ええ、本当に。

  異世界転生したタイミングも病気で命が燃え尽きたタイミングだったと思います。」


 キョウスケにも色々あったんだな。

 今はこうして、健康に生きていること自体がキョウスケにとって最大の奇跡だという。


 「私は、西の国の外れに落ちましてね。

  こんな怪しい人間は普通皆無視しますよね。」


 それは、生きているうえで仕方ないことだと思う。

 関係のない他人なんて注目して見なきゃ見えないのと同じだから。


 「でも、セイファは私を見つけてくれたんです。

  何もないなら全力で私を守って見せなさいって。」


 キョウスケは優しい顔になる。


 「言い方はきついときもありますがセイファは本当に優しい人なんです。

  病気になった時も、泣いてくれましたしね。」

 「それって、奇跡のスキルで直したっていう。」

 「ええ、こっちの世界では強く生きたいという願いがかなったのでしょう。

  素晴らしいスキルを手に入れたものです。」


 二人は本当に心から信頼しあっているのが分かる。

 だがそれと同等に俺たちも信頼してもらっているんだ。

 セイファをカイゼに任せたくらいだしな。


 「よし、さっさと目的を達成して合流しよう。」

 「ええ、そうですね。」


 そこからは、お互い喋ることは少なくなった。

 それは、喋ることが尽きたのではなく集中しているからだ。

 お互いの話をして、目的を早く達成したいとお互いに思ったからだ。

 

 ものの数分もせずに扉を見つける。

 お互い息を飲んだ。

 地下水道にこんな扉なんて普通ないからだ。

 ここには必ず何かがある。


 念のため、スパーダを起こす。

 そしてゆっくりと扉を開けると、鉄格子が見えた。


 「ふう、また来たんですか。

  あなたも本当に暇ですね。」


 その声に聞き覚えがあった。


 「もしかして、ミミリか?」

 「コウイチですか?」


 会うのはいつぶりだろうか、とりあえず無事だったのが嬉しくて仕方ない。

 

 「助けに来たよ。

  あ、俺たちじゃこの鉄格子を破壊する手段がない。

  ミミリは破壊できないの?」

 「それが、私のスキルは盗まれてしまったみたいで。」


 スキルが盗まれるってどういうことだ?


 「少しおしゃべりが過ぎるようだ。」


 その声に、俺たちは振り返る。

 どうやら声か何かで気づかれてしまったようだ。

 

 「私の名前は、ルケイン。

  君たちはどうやらここで終わりのようだな。」


 堂々と名乗った男の特徴といえば、とにかくでかい。

 今までとはガタイの良さもレベルが違った。

 そんな男が取る行動は、もちろん直進。

 だが、あまりの速度に反応できずおれは突き飛ばされる。


 その隙にキョウスケが一撃を入れようとするが簡単に弾き飛ばされてしまった。

 スパーダの剣を手にし、俺たちは躱せない最高火力を放つ。


 「フレイムスラッシュ!」


 その炎はあっという間に、ルケインを包む。

 だが、炎から出てきたルケインはダメージを受けている様子がなかった。

 

 「俺の適正も炎なんだ。

  炎をため込み力に変える、俺はまさしく火山。」


 何でも言ってくれるルケインだが相性はあまりに悪い。

 俺と、スパーダでは勝ち目がない。


 キョウスケは、予備と思っていた剣をもう片方の手にも持つ。

 そして、呼吸を整えた。


 「どうやら、久しぶりに本気を出すしかなさそうだ。」


 二刀流になったキョウスケはルケインの足元に一太刀いれる。

 その斬撃はあまりに早い。

 ルケインは捕まえようと必死だが、体のでかさが仇となる。


 「くそー!この状況どうすることもできない!」

 「助言、ありがとうございます。」


 結局どうすることもできずルケインは遂に耐え切れずその場に倒れこんだ。

 キョウスケの圧倒的な強さに俺は衝撃を受ける。


 「ありがとう、キョウスケがいなかったら俺もう終わってたよ。」

 「ええ、そんなことよりこれ。」


 鍵の束を手渡される。


 「この男が持っていたものです。

  もしかしたら、ミミリさんの牢の鍵もあるかもしれません。」


 驚異的な強さを見せつけてくれたキョウスケ。

 同じ転生者でありながらスキルなしでこれほどの強さを見せる彼に、俺自身もまだ可能性があると知ることが出来た。

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