水流
聞き込みはいまだに続いていた。
魔法使いや国の偉い人、探偵まで色んなところを周った。
しかし、そのほとんどが何も教えてくれはしなかった。
いや、何もわかっていないの方が正しいかもしれない。
実はこの事件はそろそろ終わりを迎えようとしている。
その理由は、誘拐騒ぎがパタリと止んだことにあった。
実際の所、誘拐犯をその場で捕まえて聞き込みをするのが一番なのだが俺たちが到着した途端全く姿を見せなくなったのだった。
カイゼの調べによって分かったことなのだが、被害が発生した時期や地域には波があるという。
そのせいで、魔法使いもどのように動けばいいのか分からずいまだに一人も捕まえられていない。
結局敵の隠れ場所を見つけないことにはどうにもならないのだ。
そんなこんなで今日も全く成果はなし。
だんだんと、世間の目は誘拐騒ぎから外されていく。
そのせいで、情報が時間が経つにつれて減っていってしまう。
本当に途方に暮れる状態だ。
ここに来てからどれくらいの時間が経っただろうか。
一週間行ってないくらいかもしれない。
それでもミドレアに行きつけの店が出来ていた。
そこはうどん屋だった。
最初はこっちの世界にもうどんなんてあるんだという、驚きと興味本位で入ったが今では常連といえるところまできている。
中に入ると、店には2~3人くらいしかいない。
結構おいしいと思うんだが、どうにも人気があるというわけではないらしい。
「悲しそうな表情して、また収穫なしかい。」
そう言って話しかけてきたのは、うどん屋の店主だった。
俺は出会う人には必ず、誘拐騒ぎのことを聞いているからこの人ももちろん知っている。
「もう事件はなかったことになっちゃいそうなんですよ。」
「まあ、国内の魔法使いが総力を挙げて見つからなかったんだ。
もう皆お手上げさ。」
「そうですよねー、魔法使いはどんな風に探したんでしょうか?」
「まあ、地上から空からあらゆるところに無数の目があったと思うけどね。
たぶん、国外に潜んでいるんじゃないかな。」
そうか、そこら辺を考えてみれば答えは見えてくるかもしれないな。
「相談に乗ってくれてありがとうございます。
すっきりしました。」
「そりゃよかった。」
そうしてご飯を食べた俺は宿まで戻り考えをまとめる。
いったい、敵の隠れ家はどこにあるのか。
まずは、この国に普通に住んでいるというのはどうだろうか。
…これは難しいだろうな。
セイファたちを追いかけていた男は覆面とかをつけていなかったらしい。
この国はかなりの魔法使いの数が存在する。
少なくとも、その国の中でのほほんと暮らすのは難しいだろう。
じゃあうどん屋の店主が言っていた国外にいるというのは?
これもかなり厳しいような気がする。
普段に比べてかなり検問が厳しいらしい。
そんな中を往復しているだけでも多少は怪しまれるはずだ。
なんて、何個か案を出してみるけどしっくりこない。
スキルかなんかの類だったらそれこそ本当に俺ではどうしようもない。
頭を冷やすために洗面所で顔を洗う。
キュッと、水道管を締めた瞬間俺は一つの答えにたどり着いた。
その日の内に皆を集めて俺の考えを話してみる。
「まず一つ聞きたいんだけど、水道管から水が出てるのとかはスキルじゃないよね。」
「まあ、そうとも言い切れないがほとんどは違うだろうな。」
「だったらこの国にもあると思うんだよね、下水道。」
そう、俺が考えたのはこの国の地下だった。
ミドレアでは水車などを見かけることが多々あった。
それは、生活の中の結構なことを水が賄っているという事だ。
つまり、水が流れている地下通路、下水道が存在するのではないか。
これなら空や地上からでは見つけられない。
もしかしたらその事実を知識として持たない人も多いのかもしれない。
俺たち転生者からしたらどこにでも下水道はある物だけど。
「なるほどな、魔法使いがそこを見ていないわけないとは思うが。」
「多少入っていたとしても、誘拐騒ぎによってごっちゃになったかもしれませんね。」
「まあ、とりあえず情報もないんだし行ってみる価値はあるんじゃない。」
「ヒーナ、狭いところ役に立たない。」
「オイラとコウイチのコンビがいれば大丈夫だぜ。」
もう、皆行く気満々だ。
そりゃそうか、これしか賭けれる可能性はないんだから。
そして、日が明けて俺たちは動き出した。
最初は手分けして入り口を見つけることにしたがこれは案外簡単に見つかる。
地下水道は歩けるようになっていて、俺の推理の可能性を上げてくれていた。
そのジメジメとした空気や、強烈なにおいは不安を煽る。
それでも、俺たちは目的のために歩き出す。
「そういえば、セイファとキョウスケは何でついてきてくれたんだ?」
「まあ、取り残される方が怖いっていうのもあるけど…。
私たちもう友達だから、あなたたちの仲間を助けたいの。」
「そっか、ありがとな。」
「そういえば、いつの間にか距離間近くなってたわよね。」
「コウイチはそういう奴だ、許せ。」
なんて、気を紛らわすように歩いていたわけだが、俺たちは遂に確証を得る。
「なんだ、ここはあんたたちが来ていい場所じゃねえぞ。」
「死にたくなかったら、抵抗せずついてこい。」
そこにはガタイのいい男が二人待ち構えていた。
キョウスケが剣を抜く、スパーダも剣に変わって俺の手元まで来る。
「どうやら、ビンゴみたいだな。」
「ええ、ならば進むまでですね。」
男たちが覆いかぶさるような形で襲い掛かってくるが、ひらりと身をかわす。そしてそのまま剣で足を切り裂く。
男はそのまま体制を崩し、水の中に落ちていった。
どうやら、キョウスケも終わったようだ。
カイゼが駆け寄ってくる。
「ここまでの対格差をスキルなしで倒してしまうとは…。
どうやら力をつけたようだなコウイチ。」
「そうだろ、どうやら頼れる仲間も増えたみたいだしね。
このまま一気に終わらせるぞ!」
全員が頷く、そしてまた歩き出す。
得た確証は俺たちを奮い立たせてくれていた。
ミミリ、バイバンさん。
二人とも絶対に救って見せる。




