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異世界で都市開発 ~はぐれ島での新生活~  作者: 里下里山
第二章 異国の開拓地編
32/64

中央国からの近況

 ここは中央国、ミドレア。

 人間が多く住むヒューマ大陸の中でも、最も栄えた場所である。

 ただ、そういった場所にはどうしても事件がつきものでミドレアで暮らしていれば悪い側面は意外と簡単に目にすることが出来てしまうだろう。


 今、まさしくミドレアではそういう事態が起こっていた。

 戦闘を走る二人の男女、それを追いかけるガタイのいい男数人。

 それらが多くの人間の波に逆らいながらずっと進んでいく。


 いずれ先頭の二人は見えた裏道に転がり込んだ。

 なるべく音を出さないように追いかけてきた男たちが真っ直ぐ走っていくのを見送る。

 それでもなお、なるべく声を殺しながら最低限のボリュームで話始めた。


 「…もう話しても大丈夫よね。」

 「ええ、おそらく。」


 二人はふーっと深いため息をつく。

 こんな裏道に座り込むのはかなり目に付くが、それほど長時間の追いかけっこがあった。

 それも、何回も。


 「何で、私たちこんな追いかけ回されなきゃいけないのよ。」

 「オークションとかでいい値段が付くんじゃないですか?」

 「何それ、ちょっと怖いんだけど。」


 二人は西の国の関係者だった。

 というか、女に関してはそこの次期女王であった。

 反乱を起こされ、国を離れることになってからはミドレアで平穏に暮らしていたのだが。


 「急にこんなことになっちゃうなんてね。」

 「そろそろ中央国から出た方がよろしいかもしれませんね。」

 「それは駄目よ、ここには魔法使いが多く存在しているのよ。

  中央国からでたら逆に簡単に捕まっちゃう。」


 最近、ミドレア内は誘拐騒ぎで持ちきりだった。

 これまで被害を受けた人数は、3桁に届きそうなほどである。

 相談数も目撃数も急増しており、今はお手上げ状態らしい。

 この二人も、その中の被害者であった。


 「もう一回、国で匿ってもらえないか聞いてみましょう。」

 「うーん、難しい気がしますね。

  私たちはもはや一般人ですからね。」

 「はー、やっぱり国を出た方がいいのかしらね。」


 その時、裏道に足音が鳴り響く。

 二人は静かに視線をそちらに向けてみる。

 だが、そこにいたのは先程の男たちではなかった。


 「ここが宿までの近道になっているんだ。」

 「ふーん、カイゼ物知り!」

 「まあな、ここにも長らく滞在していた時期があったんだ。」


 そういって横切る二人の視線は一度こちらを見たが、体の異常などではなさそうだったため再び前を見る。


 「ちょっと待って。」


 不安もあったのかもしれない、女は歩いていく二人をつい呼び止めてしまう。

 そのままの勢いで話を進める。


 「私たち、ちょっと困っているの。

  あなたたちの宿で匿ってもらえないかな。」

 「困っているだと?

  詳しく聞かせてみろ。」

 「最近の誘拐騒ぎあるじゃない。

  何だか私たち、追われてるみたいなの。」

 「誘拐騒ぎ、確かに聞いたことがあるな。

  いいだろう、ここなら確かに見つかりづらい。

  少しまっていろ、何かあったら逃げてもいい。」


 そういって二人は走り出してしまった。

 少しの不安もあったが、ものの数分で男だけだがまた姿を現す。

 その腕には、ローブが抱えられていた。


 「姿がバレているんだろう、ならばこれを着ろ。

  行動は早いに越したことはない、急いで移動するぞ。」


 そうして宿まで急いで移動した。

 ローブは旅人などが良く着るもののため、意外と目立たない。

 

 宿では、男は常連らしく店主と会釈を交わし部屋の階段を上っていく。

 部屋では、さっきの少女が待っていた。


 「本当にありがとう、ここが危険になったら私たちすぐに出ていくから。」

 「いや、俺も馬鹿じゃない。

  誘拐騒ぎについてちょっと気になっていたからお前らを助けたんだ。

  俺たちも、そこまで弱くはない。

  だから、素直にここに身を潜めていろ。」

 「本当は普通にいい奴なだけ。

  カイゼ、素直じゃない。」


 少女の言葉にカイゼと呼ばれた男は戸惑いの表情を見せる。


 「コホン、ただここに無関係な奴がいるというのはどうも落ち着かない。

  ただ、昔から俺はコミニケーションがどうも苦手でな。

  ちょっと、俺の仲間のやり方を参考にするか。」


 そう言って男は自己紹介を始める。


 「俺の名前はカイゼだ。

  ほんでこっちにいるちんちくりんがヒーナ。」

 「ちんちくりんは余計。」

 「ふふっ、私の名前はセイファ。

  そしてこの頭の固そうな男がキョウスケよ。」

 「対抗しなくていいです!」


 急に和やかな空気が流れる。

 カイゼは驚いているようだ。


 「やっぱりあいつは凄いんだな。

  ちょっと待ってろ、茶でも淹れよう。」


 そうしてカイゼはキッチンの方に消える。

 その隙に、ヒーナはセイファに耳打ちする。


 「やっぱりカイゼはいい奴。」

 「ええ。」


 そして、ヒーナもカイゼの後を追いかけていった。


 「どうやら、とてもいい人達に拾えてもらったみたいですね。」

 「うん、あの人たちに危険な目は遭わせられない。

  私たちでも対策を考えなくちゃ。」


 二人は色々と調査しているらしく、ティータイムが終わると本を漁りだしていた。

 カイゼとキョウスケは何か話しているようだし、ヒーナも本の整理で忙しそうだ。

 セイファはもう疲れて眠ってしまった。


 そんな、時間が流れていたのだが。


 「カイゼ、通信機にコウイチから連絡が入った。」

 「分かったーおう、コウイチ久しぶりだな。」


ーーーーーーーー


 「キョウスケ、ちょっといいか。」

 「ええ、なんでしょう。」

 「これからコウイチという終えた血の仲間がこの国に来る。

  その上で俺たちも誘拐の騒ぎに大きく関わる気がするんだ。

  もしかしたら、逆にお前らを危険な目に遭わすかもしれない。」

 「私の意思としましては、むしろ協力させていただきたいです。

  根本的にこの事件が終わらないと、私たちに真の安全はないですから。」

 「分かった、じゃあお前の方からセイファに伝えておけ。」


 それから数日間、カイゼたちは誘拐騒ぎについての情報収集を始めていた。

 その間、表立って何か事件が起きることはなかったがそれは逆にこれから何かが起こることを告げている。

 そしてそんな予感の前コウイチとスパーダを乗せた馬車は中央国ミドレアに到着しようとしていた。


 

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