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異世界で都市開発 ~はぐれ島での新生活~  作者: 里下里山
第二章 異国の開拓地編
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集大成

 部屋に戻るとスパーダがいた。

 興奮した状態で話しかけてくる。


 「今日お父さんと会ったんだろ!」

 「うん、会ったよ。

  とっても優しいお父さんだね。」

 「そうだぜ、オイラの自慢のお父さんさ!」


 バイバンさんは自分の息子であるスパーダをとても大切に思っていた。

 本当に忙しい中で会えたのは奇跡だと思っていたがスパーダと過ごしている俺の様子を聞きたかったんだろう。

 そういう意味ではある意味スパーダにも感謝だ。


 「あーあ、オイラもお父さんと遊びたいなー。」

 「本当に忙しそうだもんね。」

 「部屋も散らかってるし、危ないからって入れてくれないんだ。

  だから、ご飯を一緒に食べる時くらいしか話す時間がないんだよな。」


 スパーダは相棒探しなんて言っていたが、本当は寂しいんだよな。

 ここの大陸にいる間位は一緒にいてあげよう。


 さて、こうして作業は一気に終盤を迎えていた。

 家をたくさん作りたくさん感謝をされる。

 ワニ男のように種族的な差別をしている魔物は意外と少なく俺は大陸でもそこそこの有名人になっていた。

 さらに魔王との繋がりも認知していたため都心部も安全に歩くことが出来るようになっていた。

 今日は早めに仕事が終わったが、何かお礼をさせてくれたと言われたのでこの都心を案内してもらっている。


 「へー、何度見ても発展したところだな。」

 「これが、数年でできたんだから本当に驚きですよ。」

 「数年か、その前はどんな感じだったの?」

 「酷いものでしたよ、皆お金がなくてね。

  ヒューマ大陸の中央国に出稼ぎに行ったりしてましたよ。」


 戦争は起きなくとも、それぞれの大陸間で交流は普通にあるんだな。

 ここにいる人間も、ヒューマ大陸から来た人たちなのかな。


 「まあ、そこで酷い扱いを受けた者も多かったらしいです。

  だから人間を嫌う魔物が今もいるんですけどね。」


 それが原因なのか。

 でも、人間を嫌う奴は少数派なんだな。

 それについてもちょっと聞いてみる。


 「まあ、そういった扱いを全員が受けたわけではないですしね。

  それに、バイバンさんも中央国の建築を参考にしているそうですよ。」

 「バイバンさんも中央国に出稼ぎに行ってたんだ。」

 「そうみたいです。

  帰ってきてからは大陸で凄い活躍をしてくれています。」


 なるほど、ミミリも色々気になることがあるみたいだしこの情報は共有しておいた方がいいかもな。

 なんだかんだこの時間はかなりの収穫だった。


 俺はそろそろ、この大陸を後にしなければならない。

 家を建てる仕事が終わったら、住民を引き受けるための準備をするために早急に島に戻りたい。

 だからこそ、ディジャバーンさんとの修行も集中して受けなければいけない。


 「どうやら、明日には建築が終わりそうだな。」

 「うん、だからこの修行で色々と持ち帰らせてもらうよ。」

 「ならば、最後は実践形式でやろうか。」


 ディジャバーンさんが投げた剣が俺の目の前の地面に突き刺さる。

 そう、いろんな技を教えてくれたが最終的にたどり着いたのは剣術だった。

 この世界には当たり前にスキルがあり、魔物がいる。

 そういったものに立ち向かうには武器をもつ他ない。


 そしてその剣術の最終試練ということらしい。

 でも…。


 「ディジャバーンさん、今くれた剣って本物じゃん。」

 「ああそうだ、何か問題があるか?」

 「いや、これで万が一にでもケガさせちゃったり最悪死んじゃったり…。」


 ディジャバーンさんは体勢を整えながら言う。


 「あまり、私を侮らない方がいいぞ。

  私に傷をつけれるものならお前の下にでもつくわ。

  さあ、お前からかかってこい!」


 どうやらディジャバーンさんは本気らしい、仕方がない。

 俺は剣を手にしてディジャバーンさんに向けた。

 こうなったらとことんやってやる。


 「それじゃ、行くよ!」


 俺は猛ダッシュで少しあった距離を詰める。

 それでも冷静に剣のリーチギリギリの距離で剣を振り上げた。

 ディジャバーンさんは振り上げた剣の面に蹴りをを繰り出して攻撃を弾いた。

 何でそんな冷静な判断ができるんだ。


 そうして俺は攻撃を弾かれ続けた。

 そこでようやく自分の過ちに気付く。


 やばい、体力がもうなくなりそうだ。

 剣にも種類はあれど多少の重量がある。

 更に俺は攻め続けていたため動き続けていた。

 体が思うように動かない。


 でも、このタイミングで気づけて良かった。

 疲れを見せてしまっては、ディジャバーンさんが攻撃するタイミングを作ってしまう。

 ディジャバーンさんはさすがにスキルは使わない。

 そのため、隙をみせない限り剣を持っている俺が有利なはずだ。


 俺は、じりじりとディジャバーンさんと一定の距離を開けながら考える。

 このままにらみ合いを続けてるわけにはいかない。

 でも、攻めが失敗すれば負けるという実感がある。

 だからこそ、相手の意表を突く。


 俺はもう一度、ディジャバーンさんに切りかかった。

 そして、攻撃を弾くためにディジャバーンさんが手を伸ばしたそのギリギリ。

 俺は剣の角度を変える。

 これで、この攻撃は通る!


 瞬間、ディジャバーンさんは手を急速に引っ込めて剣の内側に潜り込む。

 そして、そのまま俺の腹めがけて一撃思い拳を放った。


 「がああああああ。」


 やば、マジで痛い。

 この人強すぎる、もう降参します。


 「参りました。」


 そう言って俺はその場に倒れこんだ。

 さて、痛みが落ち着くまで数分の間はあったもののディジャバーンさんは俺を褒めてくれた。


 「うむ、どうやらしっかりと剣が身に着いたようだな。」

 「ほんとに?」

 「ああ、間合いの管理そして土壇場でのアクション。

  姿勢だったり教えたこともしっかりと出ていたぞ。」


 この人、本来は結構甘い人だから心からの評価か分からない。


 「ちゃんと、誉め言葉として受け取っていいんだよね。」

 「もちろんだ、俺は友に嘘をつくことなどない。

  この成果はいずれ必ずどこかで出るぞ。」


 ここまで言われて、俺もようやく達成感に襲われる。

 これで、自分の身くらい守れるようになったよな。

 昔は本当に勉強ばかりしてきた。

 それも、もちろん悪いことではないしむしろ凄いことだと自分でも思う。

 でも、こっちの世界に来てからは本当に知らなかった自分やその成長が感じられる。

 この大陸で得た物、見た物は本当に大きかったな。


 「ディジャバーンさん、そろそろ俺もこの大陸を出るよ。」

 「ああ、出発の日に改めてお礼を言わせてくれ。」


 さて、そろそろここでの生活も終わる。

 俺には、最後にやらなくちゃいけないことがあった。



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