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異世界で都市開発 ~はぐれ島での新生活~  作者: 里下里山
第二章 異国の開拓地編
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太陽にも照らさない場所がある

 馬車で移動してどれくらいの時間がたっただろうか。

 カイゼが魔王が来るという記事を見つけてから、やってきたのはかなり後だったし遠いところにあるとは思っていた。

 ディジャバーンさんにちょっとだけ聞いてみる。


 「本当に無知で申し訳ないんだけどさ、オルフィス大陸ってどこにあるの?」

 「ヒューマ大陸の更に北側にあるぞ。」


 はぐれ島は、ヒューマ大陸の南側に位置している。

 っていうことは少なくともヒューマ大陸の端から端までを移動してることになるのか。

 大きい大陸一つ分、そりゃ来るのにも時間がかかるわけだ。

 それにこの馬車目立つからな、速報が入った理由にも納得がいく。


 「もしかして途中でヒューマ大陸に降りたりとかします?」

 「まあな、ご飯なんかもあったりするからな。」


 そっかミミリってヒューマ大陸に入ること自体を禁止されているんだった。

 最近、町まで行ってたけどあれも特例だったもんな。

 ディジャバーンさんに事情を話す。


 「ふーむ、それは困った。

  馬車の中なら見られることはないと思うが…。」

 「すいません、馬車の中にいてもいいですか?」


 寂しいと思ってミミリを連れてきたのは失敗だったかな。

 ディジャバーンさんもいたんだから俺一人でもよかったよな。


 「ミミリ、本当にごめん。」

 「私がついていきたかっただけですから気にしないでください。」

 「ふーむ、ほかに手段はないものかな。」


 とはいっても夜が来てしまうと馬車の移動はどうしても危険なため降りる。

 魔王とはいえディジャバーンさんは見た目はイケおじって感じの普通の人間だ。

 普段、ヒューマ大陸に来ることは滅多にないためその姿は魔王とは認識されない。

 隠す必要がある場合はそのオーラも消せるため、普通に宿に泊まることが出来るらしい。


 今夜も、ミミリを馬車の中に置いて二人で買い物へと向かった。

 夜以外の食事は馬車で済ますためだ。


 「そうだ、ミミリとやらの所に夜食を運んでやらなければな。

  私も疲れている、コウイチにお願いしてもいいか。」

 「それはもちろん、任せといて。」

 「そうそう、私も最近皆で食事を食べることが多かったからな。

  久しぶりに一人でゆったり食事が取りたい。

  お前もミミリと食事をしてこい。」


 この人は本当に気が使える人なんだな。

 俺も、もしかしたら悲しい表情を見せてしまっていたのかもしれない。

 

 「ごめん、じゃあ届けてくるね。」

 「おいおい、そういう時は?」

 「ありがとう!行ってくる!」


 俺は急いでミミリのいる馬車まで向かった。

 

 「ディジャバーンさんが気を利かしてくれてさ、一緒に食べよ。」

 「ご厚意は受け取らないといけませんね。」


 こうして俺たちは、久しぶりに二人きりで話をした。


 さて、多少の問題はあったりしたがなんとか目的地が見えてくる。

 魔物が支配する大陸、オルフィス大陸。

 その実態は紫の空に、枯れ果てた大地、暴れ狂う魔物たち…。

 なんてことはなく、むしろヒューマ大陸よりも発達してると言える近代都市だった。


 「これがオルフィス大陸、すごいな。」

 

 イメージと違いすぎてついつい思ったままの言葉が出る。

 そうなってしまう程発展していると言えた。

 だからこそ、思ったことをディジャバーンさんに問いかける。


 「こんな都市に俺の家って必要なの?」

 「確かに、大陸全体を見渡すと、そう思ってしまうのも無理はない。」


 そういうと、ディジャバーンさんは続きを言わず歩き始める。

 俺たちも遅れて歩き出した。

 だが、目の前に大きな影が現れる。

 その体だけを見れば人間だが、頭はワニのような見た目をしている。


 「おい、何だこいつら人間かあ?

  お前みたいに弱そうなやつがこの島に入る意味が分かってんのか?」


 ワニ男は片手に持っていた斧を勢いよく振り下ろした。

 その標的はまさしく俺。

 俺は咄嗟に腕を前に出してガードをする。

 だが、その斧を受け止めていたのは前を歩いていたはずのディジャバーンさんだった。


 「え!?魔王様、どうしてこんなところに!?」

 「私の客人だ、手荒な真似はよしていただこう。」


 ワニ男は逃げるようにその場を去る。

 それを見送ったディジャバーンさんが振り返って話し始めた。


 「さっきの話の続きをしよう。

  私の大陸は急速に発達を続けている、それは事実だ。

  だが早いというのは決して完全にプラスということではない。

  知識や能力が足りない魔物や人間は瞬く間に地位を失った。

  そして働き手を失い、今もなおビルに囲まれて見えなくなった荒地で家もなく生活をしている。

  だからこそ、君の力が必要だ。」


 どんなに頑張っても、どこまで完璧に近づけても落とし穴が存在する。

 物事が発達する、進化するということはその進化前は捨てられてしまう。

 そんな恐ろしくもどうしようもない現実はどんなに避けても、見えてきてしまう。

 魔法やスキルが存在する夢のせかいでもそれは例外ではなかった。


 「ここは、希望と絶望が満ち溢れるオルフィス大陸。

  ここの王として、そして友として君たちにお願いしよう。

  陰に落ちてしまった、見えなくなってしまった私の大事な仲間たちを救ってくれ。」


 どうやら、ここからは楽な道ではないらしい。

 ミミリが俺の背中をグッと押し、勇気をくれる。

 俺も、もう旅気分は終わりだ。


 「魔王ディジャバーン様、あなたにぜひ協力させてください。」

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