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気まぐれ  作者: 鈴木樹蘭
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第6話 危機感漂う王宮と魔女のお部屋

 冷たい川に入った裸のラウナは顔をしかめながら水を被った。

 「ウワワワー、寒い。」

 明るい日差しの中、弾ける水は美しくも銀色に輝いていたが、何しろ、水浴びするには寒すぎた。


 少し離れた位置から見守るレイニャとユーリエは、そんなラウナをよそ目に、狭い川原に座って雑談していた。

 全裸のラウナの後ろ姿をチラリと見たレイニャは吹き付ける風にローブの襟を押さえながら呟いた。

 「しかし、冷たそうだ。ラウナ、だいじょうぶかな?」

舞い散る枯葉を眺めるふりをしながら、ユーリエもラウナの裸体をチラチラと見ていた。まだ、子供で、しかも、やせ細った体はお世辞にも褒められるものではなかったが、女の子は女の子である。

 「あの汚さでは宮殿には入れられませんから、仕方ないですよ。体も髪も綺麗に洗って、この服を着なさいと命じたのはレイニャ様ではありませんか。」

 シューレまでの街道であったが、行き交う人影もなく、ユーリエは少しだけ心配そうに後ろを振り返る。

 後方の土手の上には、剣を身に着けた二人の従者が背中を向けてしっかりと見張っていた。王女であれば、最低限の警備体制である。

 


 綺麗に髪も洗ったラウナはガタガタと震えながら、レイニャに渡された服を身に着け始めた。

 レイニャにとっては、安物の普段着だったが、ラウナにとっては驚くほどに豪華な服である。薄い綿の下地に、絹を重ねたワンピースには、刺繍も施してあった。

 ワンピースを着たラウナを見たレイニャはクスクスと笑い出してしまった。全然、似合わないのだ。

 「おお、なかなかかわいいな。でも、唇が紫色だ。」

 ラウナは冷え切った肩を押さえながら震えていた。

 「こっ、この位、だいじょうぶです。」

 レイニャは震えるラウナをしばらく見つめてから、ユーリエに視線を移した。彼は何となく嫌な予感がする。

 「ユーリエ、温めてやれ。」

 「はあー、しかし、女の子ですよ。」

 「どうせ、彼女を抱いて馬に乗るのだろう。同じようなものだ。ラウナ、温めて貰え。」

 ラウナは顔色も変えずに答えた。

 「はい。レイニャ様。」

 目を伏せながらも、自分の膝に跨ってくるラウナをユーリエは仕方なく胸に抱き寄せてみた。

 「本当に、冷たいな。」

 恥ずかしそうに顔を胸に付けたラウナはフーと体の力を抜いた。

 「暖かいです。」

 濡れた髪に指を通したユーリエは隣に座るレイニャに視線を向ける。何か言いたげな顔である。

 その視線を見たレイニャは自分の髪を束ねていた紐をはずすと、ユーリエに渡した。

 「これで、結んでやれ。」

 二コリとしたユーリエが濡れた髪を結わき始めると、ラウナははっとして目を見開いた。なぜか、異常なほどに心臓がドキドキと高鳴り始めていたのだ。

 そんなラウナの変化に気づかないユーリエは髪を結いながらレイニャに話しかける。

 「しかし、この娘をどうするのですか?言っておきますが、農民の身分では王宮内になど入れませんよ。普通はね。」

 「そんなことは、わかっている。そうだな。私の秘書だ。うん、それがいい。」

 ユーリエは呆れ顔で首を横に振った。

 「何も考えていなかったのですね。しかし、秘書という名目で、宮殿に住まわすのはどうかと思いますよ。農民の秘書など聞いたことがありません。」

 レイニャは困ったように顔をしかめた。

 「うむむ。秘書はだめか。ユーリエ、何か考えてよ。」

 髪を結び終えたユーリエは、少し離れていたラウナの顔を胸に押し付けると冷たい体を押し包むように抱きなおした。

 「全く、手間がかかりますね。秘書ではなく、まずは侍女として宮殿に入れてみてはいかがですか。そうすれば、住み込みの侍女用の部屋を与えることもできます。」

 「でも、侍女は貴族か、有力商人の娘ってことになっていなかったか。」

 「まあ、そうですけど、正式な決まりではありません。王女であるレイニャ様が推挙なされば、なんとかなるかもしれません。少なくとも、秘書よりは可能性があります。」

 「でも、でも、私はラウナを侍女にする気はない。」

 「宮殿に入れてしまえば、レイニャ様がどのように扱おうが、それほど問題はないでしょう。すぐには無理ですが、後ろ盾になってくれる貴族がいれば、養女にするという選択肢もあります。そうなれば、秘書だろうが、側近だろうが、彼女を取り立てることもできると思いますよ。」

 それを聞いたレイニャは、ニッコリと笑った。

 「おお、そうか。ならさ。ユーリエがラウナを養女にしてくれれば解決じゃないか。そうすれば、話は早い。うん、うん、そうだ。それがいい!」

 ユーリエは目を閉じて首を横に振った。

 「結婚もしていない私の養女ですか。お断りします。」

 「私の命に逆らうのか?」

 レイニャは険しい顔を作って睨みつけたが、本気でないことはお見通しである。

 「はい。逆らいます。だいたい、どこの馬の骨かもわからない娘を誰が養女にしますか。そのような無茶は駄目ですよ。もう少し、慎重に物事を進めるようにしてください。」

 レイニャは頬を膨らませてそっぽを向いてしまった。


 二人の話を聞いていたラウナは、まだまだ、ほんの一部ではあったが、王宮というものがどんな所なのかを理解し始めていた。

 そんな所で生きていけるのかもわからない。それでも、彼女の気分は実に爽快だった。柱に縛られた時の絶望感に比べれば、先がどんなに見えなくても悩むようなことではない。命があり、しかも、王女様に買い取って貰ったのである。がんばれば、きっと何とかなるとラウナは思っていた。

 でも、そんなことよりも、今は、こんな精悍で優しい男の人に抱きしめて貰っていることが嬉しくって堪らない。ずっと、こうしていてほしいくらいに最高の気分だった。


 馬に跨ったユーリエが差し出す手を掴んだラウナは馬上に上がった。馬に跨ると後ろから、彼の腕が体を押さえてくれる。

 それだけで、また、幸福感に酔いしれてしまう。こんな気持ちになどなったこともなく、全てがばら色に見える程にいい気分だった。

 彼の体に身を寄せれば、ワンピース一枚でも、少しも寒くはない。それどころか、体が熱くなってしまうくらいである。

 隣を見れば、笑顔のレイニャが馬を駆って走る。ブロンズの髪を揺らす天真爛漫な王女の姿は衝撃的なほどに眩しかった。

 -ああ、まるで、御伽の国に来たみたいだな-


 薄らと笑みを浮かべるラウナに気づいたユーリエは声を掛けた。

 「馬に乗るのは楽しいのかな?」

 「はい。すごく気持ちいいです。」

 「寒くはないかい?」

 「はい。だいじょうぶです。ユーリエ様が傍にいてくださるので、暖かいです。」

 「そうか。」

 振り返ったラウナは馬を駆る青年を恐る恐る見上げた。何もかもが信じられない出来事である。あの醜いヘルナムという男とは大違いの精悍な顔の青年に抱かれ、王女と並んで大平原を駆け抜けるなど、信じられないような展開であった。

 しばらく進むと、左右の平地は黄金の麦で埋め尽くされていく。温暖なサーバスに比べると、この辺りの収穫時期は遅いようだ。

 「凄い、こんなに麦が・・・。」

 ユーリエは、すぐに説明してくれた。

 「この肥沃な平野がシューレを栄えさせているのだよ。ここから、シューレまではずっと麦の畑だ。」

 ラウナの目は、その広大さよりも麦の間隔に注目していた。土地が肥沃なせいなのだろうか。サーバスに比べると、麦と麦の間隔が狭く、同じ面積でも麦の数が違う。これだけの麦が育てられるのなら、年貢に困窮することもないだろう。

 「サーバスに比べると、植えられた麦の間隔が狭くって、数が多いのですね。」

 ラウナに指摘されたユーリエは注意深く麦畑に視線を向けた。今まで、そんな観点で畑を見たことなどなかったのだが、確かに、言われてみればサーバスの畑よりも麦の数が明らかに多く見えた。

 「そうなのか。これでも、今年は不作だと聞いている。例年であれば、もっと多いはずだ。」

 ラウナはショックを受けたように麦を見つめていた。シューレ周辺に比べ、サーバスの麦の量が少ないことなど、彼女も知らなかった。おそらく、ラウナだけではなく、サーバスの農民は誰も知らないだろう。

 これ以上、間隔を狭めて植えると、育ちが悪くなると教えられ、それを守り続けてきただけである。

 ラウナは思わず口の中で呟いてしまう。

 「あの間隔で植えなければならない理由なんて知らない。いや、知ろうともしなかった。情けない程に、愚かだった。」

 ユーリエは馬を駆りながら困惑顔のラウナの言葉を聞いていた。

 「あの村から出たことなんてないのだろう。であれば、知らないのは当たり前だ。そんなに麦の間隔が気になるのか?」

 「はい、気になります。」

 今まで、気にもしていなかったが、麦の植え方にも場所によって違いがあるということを、ユーリエも初めて知った。ラウナが気にする通り、確かに、それは重要なことかもしれないとも思った。


 その夜、ベッドと小さなタンスがある狭い部屋で、ラウナはすやすやと眠った。こんなにも暖かくって柔らかなところで眠ったのは生まれて初めてのことである。

 鳥のさえずりを聞いたラウナは目を覚ますと、慌てて飛び起きた。高い所にある小さな窓から差し込む光の眩しさにはっとしてしまう。

 「ああ、寝すぎたかも。」

 脱ぎ捨ててあったワンピースを被ったラウナは部屋を飛び出すと、すれ違った侍女に挨拶し、裸足で階段を駆け上った。

 すれ違った中年の侍女は見かけない少女に首を傾げた。

 「はて、あんな娘いたかしら?」

 二階のレイニャの部屋の前に立ったラウナは呼吸を整えると、思い切って扉を叩いた。

 「レイニャ様、ラウナです。」

 すぐに、中からレイニャの声が聞こえた。

 「どうぞ。入りなよ。」

 扉を開くと、窓に向かって座るレイニャが侍女に髪を結って貰っているところだった。

 「あの、申し訳あり合線ん。目が覚めなくって。」

 ラウナは咄嗟に床に平伏し、必死に謝罪した。

 家であれば、寝坊などしようものなら父親に殴られるのは必至である。

 しかし、レイニャは何気ない顔で、怒る様子もなかった。

 「ああ、別に気にすることはない。長旅で、疲れただろう。」

 「いいえ、本当に、申し訳ありません。明日は、必ずレイニャ様より先に起きて、仕事を済ませます。」

 「そんなことしなくていいよ。謝るようなことでもない。」

 「はい。ありがとうございます。あの、それで、私は何をすればいいのですか?お掃除、それとも、お洗濯ですか?畑仕事なら、得意です。」

 髪を結い終えたレイニャは笑顔で振り返った。

 「いっしょに遊ぼうって、言いたいところだけど、これから、ヴァルター殿の審議に出席してくるから、この部屋で待っていてよ。戻ってきたら、いっしょに遊ぼう。朝食は、そこに運ばせてあるから、好きなだけ食べるといい。」

 テーブルの上を指さしたレイニャは侍女の前で立ち上がった。それに合わせて、控えていた侍女が肩掛けを乗せる。

 「ああ、紹介しておくね。この三人は、私の専属の侍女達だ。髪を結ってくれていたのが、クラーラ、こちらが、シャルロッテ。それから、一番向こうがゲアリンデ。」

 それぞれと挨拶を交わしたラウナはどうしていいのかわからず立ち竦んでしまった。


 レイニャが出ていった後、一人だけ残ったシャルロッテは、呆然と見送るラウナに優しく微笑む。

 「まずは、朝食をいっしょに食べましょうか。そうするようにと、レイニャ様に言われているの。」

 少し落ち着きを取り戻し、部屋の中を見回したラウナはカルチャーショックで言葉も出なかった。広い部屋には絨毯が敷き詰められ、テーブルの上には見たこともないご馳走が並んでいる。そして、窓辺には見るからに高級そうな椅子と机があり、右手の本棚には見たこともないような立派な背表紙の本が並べられていた。

 更に目を移すと、左手前には扉があり、その隣には大きな鏡の付いた立派な化粧台もあるではないか。

 部屋を見回したラウナは驚きでいっぱいの顔で、テーブルの上に視線を戻した。

 「あの。これを食べていいのですか?」

 「もちろんよ。あなたは、レイニャ様のお客様ですから、遠慮はいらないわ。」

 「お客様・・・。」

 椅子に座ったラウナは壁に飾られた少し子供っぽいレイニャの肖像画と中年男性の絵に視線を向けた。目の前の食事も気にはなったが、それ以上に、見たこともないようなものばかりで、キョロキョロとしてしまった。

 「どうぞ。食べなさい。」

 「あっ、はい。」

 目の前のシャルロッテがフォークとナイフを掴むのを見たラウナはぶっきらぼうにフォークを掴むと目の前の大きな肉を突き刺し、いきなり口に頬張った。大きすぎる肉はなかなか口に納まらず、フォークを放したラウナは両手で肉を押し込もうとした。

 そのあまりの食べ方に、口に手を当てたシャルロッテは目を丸くして驚いてしまう。

 「まあまあ、驚いたわ。肉はナイフで切るものよ。手掴みにするなんて、考えられないわ。」

 口の中が満杯のラウナは必死に肉を噛むのが精いっぱいで、何も答えられなかった。

 「それに、普通は、肉よりも先に、野菜を食べるものよ。」

 レイニャに食べ方を教えるように言われていたシャルロッテだったが、あまりのことにどこから教えていいのかわからなくなりそうだった。

 口を押さえながら、何とか肉を飲み込んだラウナは頷きながら答えた。

 「先に、野菜ですか?」

 「そうよ。」

 そう言ったシャルロッテは、右手にフォークを掴んで野菜を突き刺すラウナに思わず声を上げてしまう。

 「ああ、だめ。」

 立ち上がったシャルロッテは、ラウナの後ろに回り、フォークを取り上げると、右手にナイフを握らせた。

 「こうして、野菜も刻んで、小さくしてから、ゆっくりと口に運ぶ。」

 「野菜も切るのですか。」

 「そうよ。これは、教え甲斐があるわね。」

 レイニャの専属侍女の中で一番若いシャルロッテは二十二歳の下級貴族の四女でだった。


 何とか食事を終えたラウナはしばらく、シャルロッテから宮殿のことについての説明を受けた後、窓辺の椅子に座り書棚にあった本を読み始めた。

 「おなか、苦しいなあ。こんなに食べたのは、生まれて初めてかもしれない。」

 本の字を追うラウナは段々と夢中になってしまった。八歳の時に初めてハンス先生に出会った。彼は農村を回り、学校に行くことのできない子供たちに読み書きを教え、社会のルールや道徳なども教えてくれた。

 字も読めず、自分の家族と畑しか知らなかったラウナはハンスの教えを受け、字を覚え、社会の仕組みや農民や商人、そして貴族の役割も知った。

 未知の世界を知ることは素晴らしいことだった。ハンスの言葉を夢中で聞き、借りた本を夢中で読んだ。眠い目を擦り、暗い部屋の中でも、月の灯りの下でも本を読んだ。

 だから、こうして、こんなにもおもしろい本を読めるようになった。それは、とても幸せなことである。

 実際、字を読めない農民がほとんどなのだ。そんな中で、ハンス先生と出会えたことは、彼女にとっての最初の幸運と言えた。

 そして、こんなにもたくさんの本を持ち、十分な食事を与えてくれる王女に出会えたことは、更なる幸運と言うほかはない。


 本を置いたラウナは窓を開き、外を眺めた。秋風は冷たく冬の到来を告げている。

 「未来というのは、どうなるのか、わからないものだな。もしかしたら、私の人生はもう終わっていたかもしれない。でも、ここで、今、私は生きていて、こんなにも美味しい朝食をお腹いっぱいに食べることができた。もっと、もっと、生きたい。そして、もっと、もっと、いろいろなことを知りたい。私に何ができるのだろう。レイニャ様は、何をしてほしいと思うのだろう。」


 そこに、レイニャが戻ってきた。

 彼女は勢いよく扉を開けると、肩掛けを外し床に投げつけた。

 「もう、頭に来るな。」

 彼女の後ろからは、頭を掻きながらユーリエも入ってきた。背の高い彼は頭が敷居に当たりそうなくらいである。

 「レイニャ様、そんなにカッカとなされないでください。思惑通りに、ヴァルター殿は無罪放免になったではありませんか。これで、レイニャ様の存在感も増しましたし、目出度し目出度しです。」

 振り返ったレイニャは腰に手を当てて言い返す。

 「何が、めでたしだ。私達がシューレの街を出た後、すぐに、コーレ・ヘルナムは何者かに殺害され、全部、奴一人の犯行ということになってしまった。殺したのは、ヨーランに決まっているのに、誰も調べようともしてくれない。」

 部屋の奥まで入ってきたユーリエは、キョトンとした顔のラウナの傍まで来ると、頭を軽く撫でながらほほ笑んだ。

 「昨夜は、ゆっくりと眠れたかい。」

 激怒するレイニャから、優しい笑みを浮かべるユーリエに視線を向けたラウナの頬は赤く染まっていた。

 「あっ、はい。暖かい寝床の中は気持ち良すぎて、寝坊してしまいました。」

 優しげなユーリエに見下ろされたラウナは目を逸らしてはにかんだ。そんな様子を見ていたレイニャは足でコツコツと床を鳴らす。

 「もう、ユーリエ、ラウナにチョッカイなんか出していないで、ちゃんと聞いてよ。」

 「はいはい。しかし、これで良かったのですよ。ヨーラン殿を陥れるには、この程度では無理です。下手なことをすれば、逆にレイニャ様が失脚します。そんなことになれば、私もただでは済まないのですから、よくよく、お考えになって行動してください。幾ら王女といえども、権力ではヨーランの足元にも及ばないということだけは、忘れないでくださいよ。」

 レイニャは頬を膨らませると、ラウナに近づき手を掴んだ。

 「そんなこと、わかっているよ。もう、いいや。ラウナ、遊びに行こう。秘密基地を見せてあげるわ。」

 手を引っ張られたラウナは訳が分からないまま、部屋の外に連れ出されてしまった。

 美味しい食事に、暖かく柔らかい布団。まるで天国のような王宮ではあったが、何やら難しい世界でもあるようだ。

 廊下に飛び出し階段を下ったレイニャは一階の廊下を駆け抜けると、厨房の中に飛び込んだ。

 「これ、貰っていくよ。」

 「あっ、レイニャ王女様。それは、持っていかないでください。」

 恰幅のいい厨房職人が手を伸ばすよりも先に、皿の上のパンを手にしたレイニャは裏手の扉から、外に飛び出した。


 宮殿の裏手には、大きな木があった。その枯れ行く葉は秋の光を受けて美しく輝いている。、

 何をするのかと思っていたラウナはびっくりである。

 裸足のままのラウナは引きずられるように裏庭に走り、前を行くレイニャに追従した。

 速度を落としたレイニャは宮殿のはずれにある壊れかけの小さな建物を指さしてニッコリと笑った。

 「ヘヘヘッ、あれが私の秘密基地だ。」

 煉瓦造り小屋の壁にはコケや植物が纏わりつき、屋根は落ち葉で埋まっていた。

 「秘密基地ですか?」

 手に持ったパンを少しちぎったレイニャは、それを口に入れ、残りをラウナに渡した。

 「あっ、ありがとうございます。でも、こんなに貰っていいのですか?」

 「いいよ。おまえ、ガリガリじゃないか。たくさん食べなよ。」

 その言葉だけでも胸が詰まりそうになるほどラウナは嬉しかった。雲の上の存在であるはずの王女がこんなにも傍にいて、自分のことを気遣ってくれる。まるで、地獄から天国に連れてこられたような気分だった。


 ポケットから鍵を出したレイニャは小屋の扉を開くと中に入った。

 小さな小屋だったが、壁には多くの額や植物の実などが飾られ、布を敷き詰めた棚の上もビンや陶器でいっぱいだった。

 机の上に並べられたちょっと不気味な人形達に手を伸ばしたラウナは感心して呟いた。

 「凄い部屋ですね。まるで、魔女のお部屋のようです。」

 「へーえ、魔女のお部屋と来るか。おまえは、魔女の部屋を見たことがあるのか?」

 「随分前に、古い絵本で見ました。」

 「おお、なるほどな。」

 彫刻を施された古びた椅子に座ったレイニャはしんみりとした顔で、斜め前の椅子を指さした。

 「そこに、座りなよ。」

 「はい。」

 埃を払ったラウナは椅子に座ると辺りを見回した。壁の鏡にはレイニャの横顔が映り、視線を変えると高い天井は蜘蛛の巣でいっぱいだった。

 「この部屋に入れてやったのは、おまえで三人目だ。」

 手に持ったパンを少しだけ千切って口に入れたラウナは、まだ、辺りを見回していた。もう、あまりにもたくさんのものがあり、そのひとつひとつが小さな宝物のようで、驚いていたのだ。

 「このお部屋、楽しいですね。三人目に選ばれて、光栄です。」

 「おまえ、ずいぶんと淑やかに食べているな。てっきり、全部口に押し込むのかと思っていた。」

 「シャルロッテさんに、食事の仕方を教えて貰いました。そして、今朝、おなかいっぱいに食べたので、今は、飢えた家畜ではありません。」

 レイニャはクスクスと笑うと椅子に深く座り直して壁を見つめる。

 「時々、ひとりになりたくなるんだ。そんな時は、ここにしばらく籠っている。私の周りは気が利くものばかりだから、誰も邪魔しには来ない。」

 ラウナはパンを千切り口に入れると、鏡に映ったレイニャの横顔を見つめた。

 「私が居ても良いのですか。」

 「フフフ、だめだと思うのか?」

 「ああ、いいえ。ダメなら、連れ来ないと思います。」

 「おまえが、私を買ってくれって言った時にさ。なんか、ピピピッって感じるものがあったんだ。運命的な出会いって奴かな。」

 パンをゆっくりと噛むラウナはレイニャの表情を見ながら答えた。

 「ただ、おもしろそうなペットだと思ったのではないのですか?」

 「おお、お。なんか、ユーリエみたいな言い草だな。」

 「でも、それでも、十分に幸せです。」

 パンの味を噛みしめるラウナは壁に飾られている女性の肖像画に目を向けた。彼女よりもだいぶ年上の女性であるが、レイニャと同じ情熱的なオレンジの瞳をした女性だった。

 「この絵、もしかしたら、お母様ですか?」

 「ああ、よくわかったな。宮殿には飾りにくいからさ。ここに飾ってあるんだ。」

 「なぜ、飾りにくいのですか?」

 「まあ、いろいろあってさ。」

 あまり言いたくなさそうなレイニャだったので、ラウナは追及するのは止めておいた。

 

 椅子に座ったレイニャは目を閉じ、その内、寝息を立てて眠ってしまった。遠い街まで出かけ、朝から審議にも参加し、きっと疲れていたのであろう。

 ラウナはきちんと畳まれて置かれていた肩掛けを広げると、レイニャの体に掛けた。

 「運命的な出会いか。何をしたらいいのか、わからないけど、何とかして、少しくらいは恩返しをしなくっちゃな。」


 その後、レイニャとお風呂にまで一緒に入ることになってしまった。

 裸になったラウナは、暖かい湯船に驚いていた。

 「水ではなく、暖かいのですね。」

 「ああ、薪を燃やして沸かすんだ。」

 二人入ればいっぱいくらいの石の湯船に浸かったラウナは洗い場のレイニャに視線を向けていた。侍女のゲアリンデに体を洗って貰っているレイニャの体は驚くほどに綺麗だった。

 まだ、大人になりかけではあるが、ウエストが細く締まり女性らしい丸みを帯びた体はセクシーで美しく見えた。それに比べると、栄養不足で下腹が出っ張り、くびれも膨らみもない骨ばった自分の体は悲しくなるほどに酷かった。

 更には、下着姿のゲアリンデの豊満な体型を見てしまうと、ガッカリ度は限りなく大きかった。

 「はい。ラウナ、交代よ。」

 「わーい。次はラウナだぞ。」

 体を洗い終えたレイニャは、はしゃぐように湯船に飛び込んできた。飛び散るお湯に顔を背けながらも、ラウナは返答した。

 「あの、自分で洗いますので、だいじょうぶです。」

 他人に体を洗われることに抵抗のあるラウナは断ったのだが、ゲアリンデは腕を掴むと、ラウナを無理にでも引き上げようとした。

 「体にオイルを塗って、それから、髪の毛も梳かさないとね。」

 「あああー、ワッ。」

 観念したラウナは台の上にうつ伏せになった。

 オイルを塗り始めたゲアリンデは驚いたように呟く。背中から見ても、肋骨が出っ張り、肩甲骨も張り出してしまっていたのだ。

 「本当、骨と皮ね。肌もカサカサで垢だらけ、これは、やり甲斐があるわ。」

 体を触られて、ピクンピクン反応するラウナを見ていたレイニャは思わず笑い出してしまった。

 「すごい、すごい、もしかして、ラウナ、感じちゃっているの?」

 顔を赤らめたラウナは必死に弁解する。

 「いいえ、くすぐったいだけです。レイニャ様みたいに、慣れていないのですよ。アッアーン。」

 「おお、それにしては怪しい声だ。」

 オイルを塗った後、櫛を出して髪を梳きはじめたゲアリンデはすぐに音をあげてしまった。

 「これは、ダメですね。櫛が通りません。」

 湯船の淵に腕を乗せるレイニャは軽く言った。

 「じゃあ、切っちゃえば。」

 「そうですね。ばっさりと、いきますか。」

 立ち上がったゲアリンデはナイフを手にして戻って来た。

 それを見たラウナは涙目で訴える。

 「えー、本当に、切るのですか?」

 「だいじょうぶ。痛くしないからね。」

 ちょっとしたショックを受けたラウナだったが、すぐに諦めて体の力を抜いた。もう、どうとでもなれという気分である。


 背中まであった髪をショートカットにしてしまったラウナは三階のラウンジから夕陽を見つめていた。

 そんなラウナを見つけたユーリエは、後ろから近づくと、そっと頭を撫でた。

 「あっ。」

 驚いて振り返ったラウナに、ユーリエはニッコリと笑いかけてきた。それだけで、彼女はドキドキである。

 「髪の毛、切ったのだね。ちょっと、男の子みたいだけど、かわいいよ。」

 「えーと、ゲアリンデさんに、ボロボロすぎてどうしようもないって言われて、切ってもらいました。」

 ユーリエは手を伸ばして、彼女の髪に触れると優しく微笑んだ。

 「確かに、バサバサだね。でも、ここに居れば、すぐにレイニャのような綺麗な髪になる。それより、あのヘルナムが殺されたと聞いてどうなんだ。憎き男が死んでスッキリしたか?」

 ラウナは首を横に振った。

 「いいえ、私の目の前で惨めにのたうち回るところを見たので、もう、それで十分でした。殺されてしまったのは少しだけショックです。」

 もう一度、ユーリエは頭を撫でる。

 「偉いな。憎しみなんてものは、引きずらない方がいい。もう、あの男のことは忘れるといい。」

 「はい。そうします。」

 ラウナは眩しそうにユーリエを見上げながら尋ねてみた。

 「あの、ユーリエ様。」

 「何だ?」

 「レイニャ様のお母様というのはどんな方だったのですか?」

 「ふーん、聞きたいのか?」

 「はい。是非、教えていただきたいです。」

 ラウナの肩を抱いたユーリエはラウンジの椅子に座らせると、自分も正面の椅子に座った。

 「彼女の母親はとても情熱的で魅力的な人だったと聞いているよ。レイニャのことを知りたいのであれば、まず、現王であるギルギール様のことを少し話しておかなくてはいけないな。」

 ラウナはまっすぐにユーリエを見ながら、ドキドキした気分で話を聞き始めた。

 「功旺は、とても律儀な方だった。その妻であったサーラとヨハンナの母親は、ヨハンナを産むとすぐに亡くなってしまっている。王は一途に深く愛していたようで、その時の王の落胆は大きく、もう、国政など手に付かない有様だったそうだ。その頃から、国政の多くを宰相ヨーランに任せるようになっていったらしい。王の失意の大きさに危機感を持った貴族達は後妻としてレイニャの母であるアンを推挙した。とても情熱的で天真爛漫な女性だったと聞いている。王は彼女を受け入れ、翌年にはレイニャ王女が生まれた。しかし、アンは、優柔不断で気概のないギルギール王では満足できなかったのだろう。その三年後の雪の日、当時の軍部高官だった男と駆け落ちしてしまった。」

 「はあ、駆け落ちですか。お妃様であれば、何の不自由もなかったはずなのに、信じられません。」

 無垢な少女を見つめるユーリエは、自分が話す内容よりも、この不思議な農民の娘に興味を引かれていた。

 今まで出会った農民とは、明らかに、彼女は違う。おそらく、レイニャも、それを見抜いているのだろう。

 「大人になって恋をすれば、おまえにもわかるよ。」

 「そういうものですか?」

 深く頷いたユーリエは話を続ける。

 「だから、レイニャの後ろ盾になろうなどという、もの好きな貴族などはいやしない。王を裏切った女の子供だからな。そう言う訳で、サーラとヨハンナに対して、レイニャは三女というだけでなく、少しかけ離れた存在なのだ。しかし、あいつは上手くやっている。腹違いのサーラにもヨハンナにもかわいがられ、やんちゃで無邪気な王女として、今のところ邪魔にはされていない。」

 「複雑なのですね。でも、ユーリエ様は、その、もの好きな貴族なのですか?」

 「いやいや、できれば、私だって、ヨハンナ王女かサーラ王女に付きたかったさ。しかし、誰かがレイニャの御付きにならなければいけなかった。一番若造で下端の私に、その役が回ってきてしまったというだけのことだ。やんちゃな王女のお相手は骨が折れるだけで、先の期待もない最低の役回りだ。」

 「ああ、そうなのですか。その上、こんな私の相手もさせられてしまい、踏んだり蹴ったりですね。」

 「そんなことはないよ。おまえのようなかわいい女の子と話すのは楽しい。王女と違って、気楽に話せるからね。」

 ユーリエに見据えられたラウナの胸は張り裂ける程にドキドキとしてしまい、耐えきれずに目を逸らしてしまった。

 そんなラウナを観察したユーリエは、軽く頭を撫でると立上った。

 「もうすぐ、夕飯だ。たくさん食べるといい。昨日よりも顔色も良くなって、かわいくなったよ。しっかり食べれば、もっと、かわいくなれる。」

 ラウナは下を向いたまま、小さな声で答えるのがやっとだった。

 「はい、たくさん食べます。」


 夕飯はレイニャと二人での食事だった。

 彼女の部屋に運ばれてきた二人分の食事がテーブルの上に並べられていく。

 緊張気味のラウナはレイニャに習って、ナイフとフォークを持つと、野菜を小さく刻み口の中に入れてみた。

 そして、できるだけゆっくりと噛みしめてみる。

 そうしてみると、今まで味わったことのないような甘さが口の中に広がった。ラウナはなるほどと納得した。このようにすることで、より深い味わいを得られるのだ。

 しかし、飢えた人間には、そんな必要ない。極限までお腹が空けば、何を、どのように食べても美味しいのだ。

 ラウナは落ち着いて考えていた。

 -ここに居れば、きっと、こうして味わうと言うことも必要になる-


 慣れた手つきで品よく食べるレイニャはラウナを観察しながら話しかけた。

 「明日の午前中は勉強なの。グーデリアン先生が来るから、おまえもいっしょに勉強しよう。」

 「はい。でも、私、難しいことはわかりません。お邪魔になってしまうかもしれません。」

 「そんなことは気にしないでもいい。読み書きができるのだから、それで十分だ。」

 「はい。」

 王女の勉強など、きっと、とても難しいに決まっている。全然、ついていけずに恥ずかしい思いをするのだろうとラウナは思った。でも、そんなことくらいは、どうということもない。相手は王女なのだから、卑下する必要もありはしない。それよりも、先生に教えて貰えることの方がずっと楽しみだった。

 知らないことを知る喜びが格別なのは十分わかっていた。

 

 グーデリアンは初老の髭を蓄えた先生だった。温厚そうな顔に眼鏡をかけた男は熱弁する。

 「それは、今から二百年前のことだ。現王から遡ること七代の昔、フリューゲン家初代当主は乱れる国を束ね北方のクルーシェを北の山の向こうまで押し出した。レイニャ王女様、この時の戦いを何と言いますか?」

 ペンを片手に、窓を見ていたレイニャは慌てて答える。

 「えーと、何だったけなあ?確か、えーと。」

 グーデリアンはやる気のない生徒に溜息をつくと、後方で聞いていたラウナに視線を向けた。

 「ラウナ、わかるか?」

 「はい。北の台地の戦いです。」

 頷いたグーデリアンはふてくされ気味のレイニャに視線を戻した。

 「王女様よりも、農民の娘の方が優秀なようですな。レイニャ様は、頭もいい上に運動神経も抜群。しかし、思慮深さや忍耐力に欠けるところがございます。常に先を考え、何が大切なのかを考慮し、くれぐれも短慮に走しらぬようにお願いいたします。それでは、本日は、この辺にしておきましょう。」

 開放されたレイニャは大きく伸びをした。

 「ああ、やっと終わった。ねぇねぇ、ラウナ、午後は何して遊ぼうか?」

 目を輝かすレイニャに、本を片づけ始めていたグーデリアンは苦笑するしかなかった。

 ラウナの方は、グーデリアンの持っている分厚い本が気になって仕方ないようである。

 「あの、グーデリアン先生、一晩でもいいので、その本をお貸し願えないでしょうか?」

 「ほう。この本に興味があるのか。とても読みにくく、難しい本だぞ。」

 「いいえ、構いません。どうか、お願いいたします。」

 片づけ掛けた本を出したグーデリアンは快くラウナに差し出した。

 「知識を求めるものは尊きものだ。おまえは、農民だったと聞いたが、どこで、それだけの知識を得たのだ。」

 「はい。サーバスの街にある女学院に通っていました。」

 「ふむ。農民の身分で女学院か。珍しいな。さぞかし、家は裕福だったのだろうな。」

 「いいえ、そんなでも、ありません。」

 横で聞いていたレイニャはケラケラと笑い出してしまう。

 「いやいや、こいつの家は極貧だよ。もう、食うものもまともに食えずに、酷い暮らしをしていたみたいだ。」

 グーデリアンは意外そうな顔をした。

 「それで、よくも女学院に行けたものだ。」

 「はい。ハンス先生が特待生で入れるように計らってくれました。制服も靴も買ってくれたのです。いつか、絶対に、その御恩返しはするつもりです。」

 「おお、そうか。ハンスは元気でやっているのだな。」

 「えっ、ハンス先生をご存じなのですか?」

 「ああ、知っているとも。昔、シューレにある学校で共に教師をしていたからな。もう、十年も前に、あの男は自分の理想を目指すために、学校を辞めて地方を巡る教育者になったのだよ。農民の中に、おまえのような知識を持った者が現れるということは、ハンスのやったことも無駄ではなかったということかもしれんな。」

 そう言い残したグーデリアンは部屋を出て行った。


 ラウナは分厚い本を胸に抱え、深く頭を下げて見送った。民を束ねるための政治学が記された本である。これを読めば、王女であるレイニャのために何かできるかもしれないとラウナは考えていた。

 しかし、目をキラキラと輝かせているレイニャはラウナの腕を掴んで引っ張た。

 「ねぇ、何して遊ぶ?」

 「レイニャ様、私、この本を読みたいです。」

 「そんなの、後でいいよ。そうだ。時計台に登ろう。中から、上まで行けるんだ。本なんて、いつでも読めるだろう。」

 腕を引っ張るレイニャにラウナは微笑んだ。

 「そうですね。本は後にしてご一緒させていただきます。」

 「じゃあ、急いでランチを済ませて出発だ。」

 レイニャに従いながら、ラウナは思う。

 -少しでも多くの勉強をして、レイニャ様の役に立てるようにならなくてはいけない-

 ーそうしなければ、自分の居場所など、すぐになくなってしまう-

 王宮というのは、そのような危機感を無意識に感じさせるような場所でもあった。


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