15話 二つ目の凶星
王城の襲撃とほぼ同時刻、別の場所で新たな問題が発生していた。
ゲミンガとスピカが何者かに襲われたのだ。
敵の属性は火。攻撃方法を見れば一目瞭然だ。
二人がいた宿屋が襲撃されたので、とりあえず近くの洞窟に逃げ込んだ。
最初の一撃だけはゲミンガが予知できたので難なく躱せたが、二撃目、三撃目と撃ち込まれていく内にある違和感に気が付いた。
「まずいぞ、スピカ……」
「どうしたの?」
「俺が見た未来の景色と、実際に起こる事象が一致していない……っ」
そう、イオがこの世界に来てと言うものの、どうも精霊の様子がおかしいのだ。
『目』の精霊があるはずのない未来を映したり、ないはずのものを見せてたりする。
それを受けたゲミンガは、今までは多少のズレとして処理してきたが、もう誤魔化しが効かないところまで来てしまっていた。
これ以上この問題を放置すれば、いずれはズレが拡がってしまい、やがて大きな亀裂に呑み込まれてしまう勢いだった。
「どうなってやがる……こんなこと、それこそあの日から一度も起きてねぇってのに……」
不安は大きく膨れ上がるばかりで、彼の心臓を圧迫してくる。言うまでもなく嫌な気分だ。
そんな時、彼らは洞窟の奥から迫ってくる足音に気付いた。外からやって来る火魔法に夢中になっていたので、まさか自分たちの後ろに敵が潜んでいるとは思ってもみなかったのだ。
「っ! 誰!?」
「お前は……」
薄暗くてはっきりと見えないが、ソイツの髪は雪のように白く、肌も透き通るような白さだった。
まるで色が抜け落ちたみたい。
そして、髪は女のように長く伸ばされて後ろで纏めてあったが、体格から見るに男らしかった。
その中性的な男は、ゆっくりと口を開いた。
「私の名前はハレーだ。お前たちを殺しに来た」
ここで普段なら「お前みたいな華奢な男に何ができるのか」と笑って馬鹿にできただろう。
なぜなら刺客にしては手足が細く、まるで女みたいだったからだ。もちろん女に務まらない訳でもないのだが、その見た目だとゲミンガとスピカを同時に相手取るには力不足だろうと推測された。
戦闘員には向かないはずの動き辛そうな髪型も相まって、その迫力は半減していた。
しかし、それを言わせない威圧感があるとでも表そうか。有無を言わさぬ圧倒的な覇気が白髪の男の目には宿っていたのだった。
そんな彼の本気に、二人は恐れ慄くしかなかった。




