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A lot of stars  作者: 赤秋の寒天男
第三章 無限の彼方
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10話 精霊による調査

 ここはリオ国内の僻地、そこにある鉱山の麓の洞窟である。ゲミンガとスピカはその洞窟の入り口に立ち尽くしていた。


 周囲を見てみれば、鉱山街であった頃の名残がひしひしと伝わってくるようだった。

 まず洞窟内には木枠で形作られた支柱なんかがあり、そこから外に目を向けると木々を伐採して建設された巨大な道路にぶつかる。

 遠くには白煙を吐き出している巨大な煙突があったり、茶色の屋根瓦が目立つ趣深い廃屋があったりと、リブラでは見られないものがたくさん見られた。


 ここは王城からかなり離れているが、移動時間は精霊の力で抹消した。やはり精霊の超次元的は力があれば大抵の問題はどうにでもなるらしい。

 ちなみにだが、スピカの魔力の回復にはリオ特産の魔鉱石を使用された。


「スピカ、照らしてくれ」

「はいよ!」


 数年前まではきちんと整備されていたようだが、今となってはその面影もない。

 と言うのも、とある事件をきっかけにこの鉱山は廃坑になったからだ。二人はその事件の原因と顛末を調査するために呼ばれたのだ。


「洞窟の奥まで一気に照らしていいぞ。こっちは目を瞑っとくから」

「はいはい! 三、二、一、フラッシュ!」


 スピカが照らして、ゲミンガが見る。

 一見すると簡単そうだが、本来はかなりの人員と労力が必要とされる作業だ。もちろん安全性だって確保できない。

 しかし、この二人なら入り口から短時間で中の様子を完璧に調べられる。


「『目』がどんな場所でも見られるんなら、俺一人で良かったんだがなぁ」

「そんな冷たいこと言わない~」


 彼の言うように精霊も万能ではない。精霊術を行使するには魔力が必要だし、そもそもできないことだってたくさんある。

 例えばゲミンガの『千里眼』がそうだ。

 遠い場所や隠れた場所、はたまた過去や未来を見通すことができる千里眼であっても、暗い場所や霧がかかった場所は見られない。

 あくまで視点を飛ばして、そこから人並みに見渡せるだけ。

 だからこの性質のせいで、例の事件の犯人を特定することは叶わなかった。


「……って、そう言った矢先に……洞窟の奥に靄で見えねぇ場所があるな」

「ふーん、アタシが行こっか?」

「は? それでお前が怪我したらどうすんだよ」

「しないよ」

「いーや、するだろ。絶対な。大人しくしてろ。レグルス……様に報告して終わりにするぞ」

「『様』って、ふふっ」

「どうでもいいだろ、帰るぞ」

「うん……あ」

「どうした?」


 スピカは顔を真っ青に染めた。忘れ物に気付いた子供みたいな表情をしていたので、ゲミンガは何となく察したのだった。


「また帰りの魔力が足りないかも……ごめん」

「……それならどっかその辺に泊まるか。報告用の言い訳を今の内に考えとけよ」

「え、怒らないの!? 珍しい~!」

「怒り疲れただけだよ、ったく」


 いつも怒っているようで肝心な時にしっかり怒れないのが彼の優しい点であり、ダメな点でもある。

 ゲミンガは心底呆れた顔で炎の弾を空高く打ち上げた。

 実は出発前に、何かあった時のためにイオに伝えたのだ、「空をよく見ておけ」と。

 信号弾を確認した彼の声が耳に飛び込んで来た。


『ゲミンガさん、どうかしたんですか?』

『精霊ってすげぇな―――あぁ、今日は外泊するからシロンとよろしくやっといてくれ』

『え? あ、あぁ、分かりました』


 しどろもどろになりながらも、イオは報告を聞き届けてくれた。他でもない精霊の力によって。

 これは『耳』の応用であり、対象者の聴覚を過敏に働かせることによって、遠距離での会話が可能になるというものだ。

 もう少し頑張って力を込めれば、それこそ心に念じるだけでも意思疎通はできるのだが。現在のイオの実力では不可能なのである。


 そんな感じで『耳』の精霊術で連絡を済ませたゲミンガは何となしに歩き出した。そしてスピカもそれに続いた。

 いつの間にか日は傾き、廃れかけの鉱山街に影を落としている。

 二人の歩みはそんな中でも途切れることなく、真っ直ぐと宿場の方へ伸びていくのだった。

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