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A lot of stars  作者: 赤秋の寒天男
第一章 夕闇の先
24/465

24話 魔法の練習

やっとこさ500PV達成しました

 ドロフによる捜査が行われた次の日。

 イオはシロンに連れられて、管理局の中庭に来ていた。職員たちは仕事場に滞在しているため、そこにあまり人はいなかった。中庭は吹き抜けになっていて風通しが良く、昨晩ずっと襲撃に怯えながら起きていたイオにとって、この場所はとても居心地が良かった。


「じゃあ早速……俺に魔法の使い方を教えてくれ!」

「一体どうしたのさ」

「いや、襲われた時に魔法が使えたら便利かなって」

「ふーん、まあ良いけど」


 イオは既に二度も死んでいる。普通の人間ならとっくにゲームオーバーだ。

 つまり何が言いたいのかというと、イオは力を付ける必要があるのだ。自衛しなければ、また死んでしまう。

 そこで注目したのが魔法。この世界に存在する力だ。

 イオはなぜか失われた魔法属性を扱えるので、それらを利用しない手はない。せっかくなら限界まで利用してやろう。

 しかし、簡単に進む話でもないのが厄介だ。


「でも、イオ君と同じ魔法を使える人はいないよ? 誰が教えるの?」


 そう、失われたが故に失伝魔法を教えられる人間が一人もいないのだ。様々な属性を操るアークトゥルスであっても、木属性と土属性に関しては素人レベルに留まる。


「いいからいいから! 仕上げは自分でやるからさ! きっかけだけでも教えてくれよ! なぁ?」


 スタートラインに立つことを諦めるようであれば、まず刺客の餌食になることからは逃れられない。

 つまり、イオには諦めるという選択肢が用意されていないのだ。どうしても魔法を使えるようにならなければならない。

 だからこそ、今こうして、仕事を休止してシロンに教えを請いている。


「……しょうがないなぁ。まあ、そこまで言うならボクもやれるだけやってみるよ」

「ホントか!? よっしゃあっ!」

「じゃあ始めに、自分の体の内側に意識を集中させてみて。それが基本だから」

「こ、こうか……?」


 イオは言われるがままに、腹部に力を入れてみた。

 しかし、特に何も感じない。代わりに何かが出てきそう。やり方が悪かったか。


「クソ……コツが掴めねぇや」

「そう? もう一回腹筋に力を込める感じでやってみて、ほら!」


 そう言って、急にシロンはイオの腹に触った。

 突然のボディタッチにイオは狼狽した。


「ふっ!? きゅ、急に触わらないでくれますー?」

「はいはい力入れるー。ほらほら」

「ぐっ……」


 どうやっても魔法を使えるイメージが湧かない。やはりイオにはセンスがないのだろうか。彼は無性に悲しくなってきた。いくらイオが凡庸な人間だからと言っても、魔法くらいはスムーズに使えても良いではないか。そう思った。

 そうやってイオが四苦八苦していたところ、シロンがある提案をしてきた。


「うーん、これはあんまりやりたくなかったんだけど……イオ君、自分が初めて魔法を使った時のことを覚えてる? それを再現しようと思うんだ」

「それって、ウミウシに追われてた時か?」

「そうだよ。イオ君がボクを助けてくれた時だね。それで、人は危険な状況に陥ったら、防御反応から無意識の内に魔法を使えるようになるんだ。まあ、イオ君の場合はその……死んだ後に発動する場合が多いんだろうけど……」

「もう一回危ない目に遭遇してこいってか? 俺は嫌だぞ。他の方法はないのか?」

「そうするしかないよ。で、提案なんだけど――――」


 シロンが申し訳なさそうにイオを見た。もじもじと上半身を揺らし、可愛らしげに振る舞って見せた。

 それで提案とは何なのだろうか。痛くなければ良いのだが。

 そんなことを考えている時、彼女は予想外の行動を取ってきた。


「ねえ、ボクの炎を防いでみてよ。イオ君って土魔法を使えるんだよね? 君の防御本能を刺激してあげる!」


 そう言って、シロンはイオから数歩だけ離れた。そして、両手から真っ赤に燃え盛る炎を繰り出して、大きな火球を作って見せた。

 やばい、普通に死ぬのだが。


「嘘だろ!? 無理だぞこんなの!」

「やってみなきゃ……分かんないでしょ!」


 火球の熱はその勢いを落とすことなく、ゆっくりとイオいる方向へ襲来したのだった。

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