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青い鳥は、凍える鳥籠の中  作者: 天津風
2/2

過ち 第2話

こうするって、俺は決めたんだ。

 裏切った背徳感、そして罪悪感。

 その全てが俺の背中を走っていく。怖い、ただ怖いという気持ちしか、俺を支配する気持ちなんてなかった。

 話す気さえも、全部失せていく。

 けれど真実を話さなければ、きっと全員が後悔する結末に、きっと全員が走っていくだけ。さっさと話さないと。


 人を殺した時以上に、全てが怖い。

 捨てられた孤児達全員が、俺を信じてくれた。あの忌々しい思考でさえも、全員が洗脳されたように信じている。

 今なんだ。洗脳を解くワンチャンスは。

 けれどみんなは、裏切った俺をどう見るのだろう? 俺のことは、もう仲間(家族)だとは、二度と思ってくれないのかな。

 それだけが、唯一怖かった。

 死刑執行になるよりも、ずっと怖かった。戻った先に居場所がない。俺を白い目で見てくる事だけが怖い。

 また、背中に背徳感と罪悪感が走る。











「-----大丈夫? あー・・・」

 聞き覚えはないが、どこか懐かしい声が聞こえた。一瞬、少し混乱していた意識が、どこかに吹き飛んでいた。

「惟月、だっけ?」

 灰色の机が見える。上を少し見てみる。

「スゴイぼーっとしてるけど、平気?」

 “なんかいる?”と、誰かに尋ねる声・・・けれど誰も返事をしない。少しの合間、沈黙が流れた後も、尋ねていた。

 飲み物を飲む? と尋ねていた。

「・・・えーと、惟月?」

 俺を呼ぶ取調官・・・水瀬智樹と名乗っていた男性が、なぜか突然俺を呼ぶ。彼を見る。とても困惑している顔だ。

「何か、飲みたいものとかはある・・・?」

 俺の目に視線を合わせて、そう言った。俺は首を横に振った。そして、さっきから尋ねていた意味も分かった。

 そりゃあ・・・困惑する・・・。

「ぼーっとしているみたいだけど・・・平気?」

 なぜだか、相手は俺を心配している。

 危険重要人物と言われているらしい俺に、そんな慈悲はいらないはずだ。けれど、相手は俺に対して、慈悲を見せる。

「・・・平気、別に」

 慈悲を見せて、相手に吐かせる? それが今の警察の方法?

 いや、きっと違う・・・コイツだけが、違うだけだろう。慈悲なんて、こんな場面で見せるようなものじゃない。

 慈悲なんて、こんな奴に与える必要なんてない。








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