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始まりは噂だった


「おい、知ってるか?」


「何だよ突然?」


「いやな?何でもここ最近、武器に関する変な噂が流れてるんだよ。」


「何だよ噂がって。」


そんな他愛もない会話が、ある街のギルド併設の酒場で交わされていた。


「魔剣…いや呪剣じゅけんが最近出回っている…ていう話さ。」


「はぁ?呪剣…ってようは呪われた剣の事だろ?何でまた今更。そんなもんよく出回ってるだろ。」


この世界には呪われた武器が数多存在する。それは形にとらわれず多種多様の形状や呪いの内容でだ。そして聞き手の男が言うように特に珍しいものでもない。国としては規制しているが、裏路地・・・の武器屋にでも行けば、大なり小なりお目にかかれるレベルのものだ。


「いやいや違う。呪剣は呪われた・・・・剣じゃない、呪う・・剣って話だ。」


「…?何処が違うんだよ、結局呪うんじゃ?」


「何でも持ち手を呪うんじゃなく、相手を呪うんだとよ。まぁ眉唾ものだがな。」


「どっちにしろ物騒な話だが…まぁ確かにそんなもんがあるわけないな、ははっ。」


呪われた剣と呪う剣ではその呪う対象が違う。呪われた剣というのはその剣自体に呪いが介在し、持ち手及びその周りに影響を与えるもの。こちらは現在、裏で流通しているものの大半がそうだ。


そして呪う剣とはその対象がその刃に触れた対象が…という事になる。言葉遊びに近いが違いは明確で有用性は明らかに後者のほうが高い。


しかし男たちも長年冒険者をやって来て高ランクまで上り詰めたベテランだ。そんな武器には未だ嘗て出会ったことないし、所有している者も見たことがない。


そもそも呪われた武器というのは、既存の武器に何かしらの呪詛要素が加わり、後天的に出来た武器のこと。この考え方からするならば呪う武器は鍛冶の段階からその呪詛要素を練り込みながら鍛えたという事になる。


「それに武器に対する誇りが高い職人たちがそんなことやるはずもないしな。よし、明日に備えてこれ飲んだら帰ろうぜ。」


そのため男たちも所詮噂の独り歩きだろうと酒の肴にする程度だ。










「え…櫛灘?って…あのマッドサイエンティスト鍛冶師集団?」


そんなパワーワードがタクミの口から嫌そうな声色とともに紡ぎ出された。


「まぁその鍛冶師集団…というか一族じゃな。」


「そりゃまぁ…あっちでの俺の仕事道具・・・・もお世話にはなってたけど。それがどうしたの?」


「うむ。その一族、若しくはその誰かしらがこの世界に来ている可能性がある。」


「…その心は?」


「宰相殿からの情報提供があってなぁ、いま巷ではある噂が流れとるらしくての。嘘か真か不明だが【秘剣】と似た特徴の刀剣が出回っとるらしい。」


「え、マジ?」


「マジ、じゃ。」


それっきり黙りきる二人の間には何とも言えない雰囲気が漂う。櫛灘という一族、それにこの世界に来たという推測、秘剣と呼ばれる刀剣の噂…そして自分たちがこの世界に転生したという事実。否定するには材料が揃いすぎていた。


「はぁ…一難去ってまた一難とは…ジュウゲン、その噂の出処は?」


「うむ、この国の北側にあるサクトゥール領、ザンクスという街じゃ。この件が事実ならば早急にコンタクトを取らねばな。まぁ櫛灘の誰が来たのか、何人来たのか分からぬが一人いるだけで面倒事には変わりないわい…流石に儂らみたいに一族丸ごととかは無かろう…ないよな?」


「いや、俺に聞かれても。」


一瞬ジュウゲンらしくない声色で不安そうにタクミに問いかける。それほどに厄介な一族なのだ。しかし別に敵対しているというわけでもない、寧ろ協力的ではあるのだが、根本的にそりがある種合わないのだ。


かくして新たな波乱の狼煙は、噂から始まるのだった。



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