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集大成だった(前)


【報。対象個体名ダンク・ブリックスの一なる生物への受肉を確認。遠隔にて解析(アナライズ)系統魔法を自動構築し、複数放ちましたが全てレジストされました】


「…そうか。」


雷鬼…タクミはそうゆっくりと呟き仮面を外した。もはや戦争での暗躍という枠組みから大きく外れ、姿を偽る意味を無くしたからだ。


「中佐、リアンヌの様子はどうだ?」


「…幸か不幸か生きてはいる。が、一向に目を覚ます気配がないのはやはりダンクの影響だろうな。」


中佐の腕に抱かれているリアンヌは、まるで眠っているかのようにしているものの全く目を醒ます気配がなかった。あそこまで幾多にも及ぶ布石を打っていたダンクのことだ、何処までが本当で何処までが嘘かは不明だが、いま現状打てる手はない。


「…なら先ずは。」


タクミは懐から4つの棒手裏剣を取り出すと、ノーモーションから4方向に投擲した。


それと同時に聞こえるのは4つのくぐもった声と地に倒れる音。そして魔人を縛る魔法が瓦解した音だった。


「…どういう風の吹き回しでしょうか?」


魔人たちの疑問を代表して聞いてきたのは青髪のメイド。


「俺らの目的は戦争を裏側から終戦に導くこと…だが、現時点において其れは既に不可能と判断した。お前たちを開放したのは交渉を持ちかけるためだ。」


「交渉…悪魔に交渉とは酔狂ですね?いいでしょう、内容によっては考えましょうか。」


「お前たちは強者との闘いを求めている。そして俺たちはお前たちと現時点で戦うメリットは皆無…ならば、俺がお前たちに提示できるのは"機会"だ。」


「…ほう?」


そこで青髪メイドの反応が変わった。どうやらタクミの言わんとすることが分かったようだ。


「そうだ。この件が片付いたらそこの三人と再び戦う機会を設けよう。邪魔も入らずただ純粋に殺し合える機会をな。」


「確かにそれは大変心揺れる提案です…が、私達としては今ここで仕掛けても問題ないのですが?」


そう青髪メイドはカマを掛けてみた。素直に提案を受けてもいいが、悪魔としての性格が少し顔をだした。


「まぁ俺としてはどちらでもいいが……後悔するなよ?」


「「「「!?」」」」


仮面を外したタクミの表情は穏やかなままだ。しかし辺りを一瞬で覆い包んだ殺気は、血染姉妹とまで呼ばれる魔人を持ってしても一瞬身構える程の濃さだった。


「…ふふっ、いいでしょう。この件が片付くまでは手を出しません。但し、条件として貴方にも戦ってもらいます。それで手を打ちましょう。」


「ああ、それでも構わない。じゃこの村で少し大人しくしていてくれ。村人と建物には手を出すなよ?」


「ええ、いいでしょう。貴女達も構いませんね?」


「ま、そっちのほうが面白そうじゃしのぉ。」

「いいんじゃね?」

「右に同じく。」


各メイドは口々にそう言う。どうやら話は纏まったようだ。


「話は付いたようじゃの。してタクミよ、どうするつもりじゃ?」


ジュウゲンが同じく仮面を外して今後のプランを聞いてきた。戦争はもはやその前提自体が崩壊している状況で、純粋な戦力数差で言えば王国側のほうが多い状況である。


かなりの帝国魔獣兵、人工天使をキメラとして創り変えたダンクという巨大な個はいまだ脅威としてあるが、ここからは戦争なんて有象無象の乱闘ではない。言うなればラスボス戦なのである。


「ダンクは俺らに切れる切り札を自分から捨てた。ならあとは場を整えて俺がやる。」


それは中佐に対するリアンヌであり、タクミに対するエリシアのことだ。優位に事を進める為の有用なカードを、ダンクは自ら溝に捨てたのだ。


らい…え、タクミにぃ?どうして仮面を?」


そこにタイミングよくヒスイとマフユも駆けつける。タクミが予めジュウゲン達と同じ方法で呼び寄せていた。もうしばらくすれば他の面々も戻ってくるだろう。


「溶鬼、雪鬼…いやもはや建前は必要ないか。ヒスイ、マフユ、これから戦場に残った王国兵を王都に飛ばす・・・。各個人の座標軸は俺の脳波リンクの魔法で、転送を二人に頼みたい。できるな?」


「え…う、うん。」


「大丈夫だよ。」


その返事を聞くやいなやタクミは【最適解】による補助を用いて戦場に残る王国兵を補足、そしてそのデータをヒスイとマフユの二人に即座に脳波リンクで送った。


更にマフユが【完全記憶】にて全ての情報をイメージ記憶化しヒスイに流す。タクミ自身も簡易的な転移魔法を使うことが出来るが、何万人規模の転移魔法となると【最適解】でも難しい。そこは本家本元のヒスイの【量子演算】を使用した転移魔法が必要だった。


「準備できたよ、タクミにぃ!」


「分かった。じゃあ…」


「タクミや。」


ジュウゲンが棒のようなものを投げ渡してきた。それを危なげなく受け取ると、それは鞘に収められた刀だった。


「お主の仕様に合わせた刀じゃ。もはやワシ等の任務は失敗、ならばせめてもその尻拭いは綺麗に、の。」


「ああ…ヒスイやってくれ。」


「【遠隔送還テレポート】!」


「【最適解せんせい】、頼んだ。」


【了。【座標転移テレポート】発動します】


その場からタクミの姿は消え、舞台は最後の祭場へ変わった。



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