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令嬢の戯れだった

 祝☆1万PV!!ありがとうございます!!


沢山の動物のぬいぐるみ。様々な貴金属が飾られた小物入れ。豪華絢爛な調度品。フリフリなレースがふんだんに使われた天蓋付のキングサイズのベッド。


そんなあべこべで、子供のような貴婦人のような趣味の部屋。そこには3人の人物がいた。


「はぁ…つまらないわ。そう思わない?ミリミア?」


「そうですねぇ、リカリール姉様。」


一人はプラチナブロンドの髪を放り出し、ベッドに仰向けで寝ている少女。


そしてそのベットの端にちょこんと座る黒髪の少女。


そして。


「………。」


部屋の隅に直立不動で立ち、目をつむっている中年の軍服姿の男性…中佐。


「ねぇ中佐!昼間の花火も面白くないし、赤祭りも失敗したなんて、何にもおもしろくないじゃない!!」


リカリールと呼ばれた少女は枕を中佐に投げつけるが、中佐は避けるようなことはせず、ただ頭を下げた。


「申し訳ございません、リカリールお嬢様。至急、次の催し物を検討しておりますのでしばしお待ちを。」


「ふんっ!次面白くなかったら分かってるわよね(・・・・・・・・)?」


「……はっ。」


「ねぇ中佐さん、もしかして手を抜いたりしてませんか?」


ミリミアと呼ばれた、大人しそうな黒髪の少女はそう静かに聞く。しかしその言葉にはチクチクと小さな棘が見え隠れしていた。


「え!?まさか手を抜いていたの!?」


「姉様、ただの私の予想ですよ?それも私の勘違いと思っています、ですよね?中佐さん。」


「……はっ。誓って手を抜いているなどは御座いません。申し訳御座いません、私は次の準備がございますのでこれにて。」


一礼し部屋を辞する中佐。その表情に変わりはないが、その革手袋がはめられた手がギリギリと音を立てながら握り締められていた。






「ねぇミリミア。」


「なんですか?姉様。」


「私、良いこと思い付いちゃった!」


「あら!それは素敵!お聞かせ願えますか?」


「いいわよ~。次はねぇ、陣取りゲーム(・・・・・)をしましょうか。」


「…へぇ、陣取りゲームですかいいですわね。場所はどこで?」


「ほら彼処はどう?西の地区!無くなっても困らない駒だらけでしょ?」


「うーん、そうですねぇ…なら東の一部も巻き込みましょうか?同じ駒ばかりでもつまらないでしょうし。」


「いいわね!じゃあさっそく…」


「「遊びの準備を(・・・・・・)しましょうか(・・・・・・)?」」





硬質な足音を響かせながら長い渡り廊下を一人で歩く中佐。その表情はなにを考えていのか誰にも読み取れないだろう。


「(人形遊びに隠れんぼ…おままごとに積み木崩し、チェスにリバーシ……次は何をする気なんだ、あの悪魔たちは。)」


そう誰にも読み取ることは出来ない。








「うぉっ!?…また買い込んだなぁ…これどうやって村まで持って帰るつもりなんだよ。」


日も傾き宿へと戻ってきたタクミまず、自分の部屋の前に積み上げられた大小さまざまな荷物をみて驚きの声を上げた。

そこにあったのは恐らくエリシアに頼んでいた村へのお土産なのだろうが、些か過剰のようなきもする。


「あ、タクミさん!おかえりなさい。お土産、これで足りますかねぇ?」


足りすぎである。


「いや、俺としてはこれを持って帰る手段の方が心配なんだけど…多分馬車を借りなきゃ無理だぞ?」


「そうですねぇ…多分6台位借りないと無理かもしれません。明日には追加の荷物(・・・・・)も到着しますし。」


「だよなぁ…ん?待てエリシア…追加の荷物?」


「はい!村のみなさん…あ!私達のいる方の村と衛星村の皆さんのお土産を全員分買ったらこんな量になっちゃいました!」


「………。」


タクミは絶句する。


タクミの感覚としては、お土産は親類やいつもエリシアの手伝いをしてるロイ達の分さえあれば十分と思っていたし、タクミとしてもそのつもりで言葉をかけたつもりだったのだが…。


いや、反対に考えてエリシアの優しさ…と言い変えれば納得はいく。お金は沢山あるのだから確かに遊ばせておくよりはケチケチせずに使った方が有意義である。


「ふぅ、そっか。みんな喜ぶだろうな。」


「はい!」


まぁ悪いお金の使い方ではないしいいか…とタクミは考え…そしてまずはこの荷物の保管場所を探さねばと女将さんに相談することにした。


「あのー、女将さん。」


「あら?調子は戻ったのかい?」


女将さんは一階のカウンターで帳簿類の整理をしており、タクミに気付くと顔を上げて苦笑した。


どうやら随分と心配をかけてしまったようだと反省すると、申し訳無さそうに言い出す。


「挨拶もなし崩し的にすみません。ここに到着する前にちょっと気が滅入ることがありまして…ところで女将さん、部屋は余ってますか?」


「それは別に構わないよ…っと部屋かい?余ってるには余ってるけど、どうしたんだい?」


タクミは申し訳無さそうにことの次第を女将さんに説明する。エリシアがまだ滞在期間があるのに大量のお土産を買ってきてしまったこと、それを保管する場所がなくて廊下だけではなく部屋までいっぱいなこと、もしよかったら部屋を二室追加で借りて保管したいことを。


「成る程ねぇ…昼間、エリシアの嬢ちゃんが部屋を何往復もしてたのはそれだったのかい。っと、空き部屋だったね。料金をキチンと払ってくれるなら別に構いやしないけど、随分ともったいない気はするねぇ。」


この宿は中堅所の宿屋なので値段自体はそこまで高額ではない。しかしそれでも部屋を物置として使うために部屋代を払うのも勿体ないと思えるくらいにはいい値段がする。


「まぁ仕方ありませんよ。どれくらいの量を誰に買ってきてほしいって言ってなかった俺も悪いので…それに明日追加で荷物がくるので遅かれ早かれです。」


「呆れたねぇ…まぁあの子も女、買い物自体が途中から楽しくなっちゃったんだろうねぇ。」


「ははは…そうかもしれません。じゃあ取り敢えず二部屋を2日間お願いします。」


「はいよ!」


料金を払い終え、部屋の鍵をもらうとタクミは二階に上がりエリシア部屋へと向かう。


「エリシア~。」


「あ、はーい!ちょっと待っててく…きゃぁ!?…たたた…すみませんお待たせしました。」


タクミがドアをノックすると部屋から反応が返ってきたが、その直後雪崩のような音が響き…その数十秒後、漸くドアが開いた。


「うわぁ…こっちの部屋もいっぱいいっぱいだな。」


エリシアの後ろに見えたのは山積みにされた荷物の数々。それこそ高いものは天井まで届いている。


「えへへへ、今になって買いすぎちゃったかなぁ…って後悔してます。」


まぁ買ってしまったのは仕方がないので、タクミは解決策をエリシアに提示する。


「ほら、空き部屋を2つ借りてきたからそこに移ろう。今の部屋は荷物置き場して使えばいいからさ。」


鍵もチャリっと一つエリシアに渡す。


「何から何まですみません、タクミさん。次からは気をつけます…」


「はは、そうしてくれると助かる。」


タクミも今日はもう部屋でゆっくりしようかと足を動かそうとした瞬間、鐘を突く甲高い音が耳に入ってきた。それは一定のリズムで連続して叩かれる鐘の音。


「何の音だ?」


「これは…!?」


タクミは何のための鐘の音なのかわからず首を傾げていたが、エリシアは何の音なのかを知っていたのか顔を青ざめさせていた。それと同時に階段を急いで駆け上がってくる音も聞こえてきた為振り返るとそこには女将さんが息を切らしてタクミ達を見ている。


「あんた達早く逃げな!!魔物が街に侵入してるんだ!」


「…魔物が?」


「タ、タクミさん!これ、魔物の侵入を知らせる警鐘です!しかもこのたたき方はかなり大規模な!」




タクミ、大規模な魔物との邂逅は二度目であった…。




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