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懐刀 翡翠&懐刀 真冬

※『それは杞憂だった(後)』のヒスイとマフユにスポットを当てた話です。


物理とアニメの申し子。


懐刀 だとう 翡翠ひすいとは私の事だ!!


ごめん調子に乗りすぎました…


だから匠にぃ、その握り固めた拳をどうか降ろしてはいただけないでしょうか?


いえ、はい…分かってるよ?


この国の王子様とひいおじいちゃんが大事な話をするんでしょ?


で、私たちはそれに伴う周辺警戒と外敵排除と。


地球みたいに銃やロケットランチャーを持ち出さないだけ楽なんじゃ…


あ、魔法があると。


確かに…でもそれなら辺り一帯吹き飛ばせば早いんじゃない?


え?自重?


何それ美味し……いだだだだだだっっっっ!?


ギブッ!ギブッ!可愛い従兄妹の顔面掴んでアイアンクローとかマジで…ごめんなさい!生意気言いましたぁぁ!!


「絶対に頭の何処かが凹んだ…」


第1その王子様達を最終的に脅したの、タクミにぃだよね?


護衛の武器を全部へし折って、山を吹き飛ばして脅したし。


いやまぁ、魔法で吹き飛ばしたのは私だけど、提案したの匠にぃだよね?

調子に乗って山のほぼ根元から吹き飛ばしたのはやり過ぎたかもしれないけどね…。


「で、私は周囲の警戒して捕縛すればいいの?」


え?サーチ&デストロイ?いいの?


どうせこのタイミングで来る襲撃者がまともに口を割るとは思えないと、確かに。


え?マフユと一緒に?


いいけど、敵の人数とかわかるの?あ、菊花おばあちゃんの【予測】ね。


と言うかアレ、最早【予知】だと思うほどの的中率なんだけど。




そんなこんなで待ち伏せしてたらノコノコやってきたお客様。


所詮小娘2人だと油断したのか、何人かが茂みから姿を現した。


まぁほぼ全員の位置はわかってるんだけどね?


そしてその目線の向かう先は私の胸…あーキモい。


学校の男子でもそんな直接的に視線を向けることはないけど、こいつらはもうあれだね…悪い意味で堂々としてる。


嫌悪感以外の何者でもないよ。


と、言うわけで…吹き飛ばしまーす!!


「…『睡蓮花』」


おー、見事に周りが吹き飛んだけど真冬に怒られた…一応謝っとこう。


ん?あー…威力抑えすぎたかな?結構残ってるね。


真冬が背後から襲ってきた敵を教えてくれた。


気付いてるのは気付いてたんだけど、面倒なので近づいてくるのを待って…はい、首に一突で終了。


返り血がバシャバシャ出てくる。あー、血管太いとこ貫いたからなぁ…。それにしても…


「うへぇ〜、結構撃ち漏らしが多いなぁ…マフユ背後から3ね。」


難なく真冬は敵を斬り捨てる。


うん、相変わらずの技のキレ。さすがは真冬。



懐刀だとう 真冬まふゆです。


…と、なんか言わなきゃいけないような気がした。


そして少し離れたところから阿鼻叫喚の悲鳴が聞こえる。


あっちは確かサオリ叔母さんとコウイチさんかな?


蛇一郎と狼一郎の鳴き声も聞こえるし多分間違い無いと思う。


村の中にある(一応)来賓用の小屋では、ひいおじいちゃん達が何やら大事な話をしてるっぽい。


で、私とヒスイは東西南北の一角の警備を担っている。


ヒスイが相変わらず変な事を口走ってるけど、こういう時はスルーに限る。


周りでは戦闘…蹂躙が始まってるみたいだけど、私たちの方は膠着状態。


いや、別に苦戦してるわけではないよ?


なんか向こうの兵士らしき男達が私たちをこの後どうするとか気持ち悪い笑顔で話し込んでる。


正直、キモい。


いや、本当にキモい。これは女性特有の感性だと思うんだけど、男の人と対峙した時、その目線が何処に向かっているのかとかは一瞬でもわかる。


それを踏まえて見るとその気持ち悪い目線を隠す気もないのか舐め回すように私たちを見る…もうゴミ屑でいっか、ゴミ屑達。


だけど私には納得いかない事が1つある。


目線が向けられているのは私とヒスイだけど、その対比が8:2と明らかにヒスイの方が多い。


その原因はあの年不相応な大きな胸だと思う…


これだから男って生き物は…あ、タクミにぃは別だけど。


私だって後1年もすれば…1年も…もげればいいと思う。どっちのがとは言わないけど。


あ、漸く敵がこっちに来た。


その気持ち悪さもさる事ながらもうなんか生理的に無理。


触れたくはないので触れる前に斬り捨てよう。


私はタクミにぃに作ってもらった無骨な刀(素材は最上級)を横に構える。


いわゆる居合斬りの型。


でも鉄打ちの刀じゃないから若干強度に不安が残るから魔法を上書きしよう。


「向かってくるのは3人、か。」


随分と舐められたものだ…と少しムッとした。背後から忍び寄るのはいいけど気配の断ち方が三流以下。


私はヒスイみたいに多くの演算を必要とする現象は魔法で再現する事ができない。


その代わりにヒスイでも手を焼く緻密で難解な術式システムでも、一度その構成を見たししまえば、イメージ記憶としてなんの苦労もなく行使する事が可能だ。


なので今回使用する付与は『超微細高速振動付与』。魔法ではなく付与と呼ぶ理由は、コレ単体では効果を生み出せないから。

何かに付与することによって初めて真価を発揮するものだから魔法ではなく付与なのだ。


その付与を施した刀で目の前のゴミ屑共を…


と思ってたらいきなり真横の林が吹き飛んだ。


…ヒスイの『睡蓮花』だ。


中身は水素爆弾だが、環境汚染や味方への誤爆を防ぐために、放射線や熱線、爆風などは防護フィルターと呼ばれる別の魔法で防いでいるらしいけど、どうやってるのかはわからない。


私、理科全般苦手だし…いや、別にできない訳ではないけど、ヒスイと比べられるとやっぱり劣っちゃうのは事実だから…


「ヒスイ!予告もなしで“睡蓮花”をやらないでよ!危うく構成中の魔法を定義破綻でキャンセルするところだったじゃない!あ、後ろに1人。」


いきなり隣で予期せぬ爆発が起こったら誰でも焦るからね?


ついでにとばかりヒスイの後ろから忍び寄る1人の兵士がいたので教えてあげた…まぁ気付いてたんだろうけど。


ヒスイの細くて白い手…手刀が男の首を貫通した。真っ赤な返り血を顔面から浴びるヒスイだが、その顔は…うん、怖い。

私たちの家の人間が言えることじゃないんだけど、人を1人殺してその笑顔は流石にないと思う。


振り返った私は眼前に捉えた3人を斬り捨てる…うん、やっぱりこれでなぜ笑顔になるのかわからない。


ヒスイは徒手格闘主体の戦闘術に秀でてる。が、それは戦闘というよりも暗殺寄りの技術だ。

前世では内気功という中国の技法で内部から身体の身体機能を向上させて屠ってきたヒスイだけど、今は魔法がある。


この世界の魔法構造に若干落胆してたヒスイだけど、今はいい笑顔だ…怖いけど。


辺りを見渡せば未だ減らない敵の気配。


どうやら私たちの実力を見て考えを改めたようだ。


3分の1も出してないけど…正直この世界の兵士の練度が心配になるレベルだ。


翡翠に纏めて吹き飛ばしてもらった方が楽な気がしてきた。


ちょっと翡翠に相談しよう。



「翡翠、相談なんだけど。」


「ん?なになに?」


粗方周りの敵を処理してから真冬と翡翠は背中合わせで会話をしていた。


「粗方こっちは片付いたし、翡翠の魔法で吹き飛ばしていいんじゃない?」


「うーん、それはそうなんだけどあまり広範囲の『睡蓮花』を使うとタクミにぃに怒られるんだよね。しかも気配から察するになぜか敵は線上に潜んでるみたい。円状が有効範囲の『睡蓮花』じゃ無理かな?」


翡翠に魔法を使わせて楽をしようとした真冬だが、それが原因でタクミに怒られては本末転倒だと別の手を考える。


「何か直線距離で使える兵器とかないの?」


「直線かぁ。現代兵器って基本的、効率的に満遍なく広範囲に攻撃を及ぼす事を前提としてるからそんな限定的な奴は…あ。」


何やら心当たりがあったようで、翡翠はその顔をニンマリと歪ませた。


「その顔…女の子としてどうかと思うけど。」


「あるよ!あったよ丁度いいやつが!現代兵器で無理なら、浪漫ロマン兵器でやればいいんだ!」


そう言うや否や、翡翠は5秒ほどたっぷりと考え込む仕草をすると、いきなり煌びやかな笑顔でこう言った。




「よし!これでイケるはず!…では聞いてくださいOn○y ○y rail○un!」




その後敵は綺麗に殲滅されたとだけ追記しておく。



ちなみに曲は翡翠の脳内再生です。

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