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ユニークスキル《釣り》が面白そうだったので、今日も俺は釣りをする  作者: メラ
第一エリア《シーモンクシヴェリオン》
2/24

2.レベリング

桜に聞いてみると、《盾王》というユニークスキルは特別中の特別スキル《王》シリーズの中の一つらしい。それを聞いて俺が血を吐きそうなほど嫉妬の念を抱いたのは言うまでもない。《盾王》のスキル効果は、《盾》系スキルの獲得熟練度50倍。加えて、《シールドバッシュ》、《バリアブレイク》といった《盾》系攻撃スキルの威力大幅アップ、盾の装備時に受けるダメージの大幅軽減や盾による防御時のHP自動回復など、これはチート以外の何でもないだろ!というようなスキルだった。



「はいよ!『蒼十字の盾』だ!お買い上げ、ありがとよ!」



店主から盾を受け取ってうれしそうな顔をする桜。ちょうどゲーム開始時に配布される金ほどの値段だったのだが、桜は特に損をしたとは思っていないらしい。俺は【狂戦士】なので、大剣と胸当て、それと回復アイテムを買っておいた。あまり防御面は気にしていられない。じゃなければ、防御の代わりに攻撃力を強化する【狂戦士】の強みがなくなるからな。



「ふふふ……お兄ちゃんは、わたしが守ってあげるからね!」

「ああ、よろしく頼むよ」



まあ、いざとなったらこいつがいるし大丈夫だろ。



◇ ◇ ◇



「ギャッ!」



俺が大剣を一振りすると、レベル一の初期モンスター【スモールラビット】が悲鳴を上げて一刀両断される。光の粒子を散らしながら【スモールラビット】は消滅し、後にはドロップアイテムだけが残った。それを拾い、アイテム欄を確認する。



ふむ……結構集まったな。アイテム欄の右上には198/300と描かれている。俺は《所持アイテム上限解放LV1》のスキルを持っているため、多少はアイテムに余裕がある。



ここは第一エリア≪シーモンクシヴェリオン≫の序盤。≪スプリーグ平原≫だ。主なモンスターは先ほど真っ二つにした【スモールラビット】や、大きいネズミの【ラージマウス】、そしてRPGで定番のモンスターをモチーフとした【ゴブリンチャイルド】なんてものもいる。



さすがは序盤エリアと言うべきか、比較的防御力に劣っている【狂戦士】でもそうそう死ぬことはない程度の強さに設定されており、安定して狩りを続けることができた。この3時間でレベルも7ほど上がって、攻撃力も格段に上がっている。



また、【狂戦士】のスキルを二つ手に入れることができた。《バーサークLv1》と《筋力増加Lv2》だ。



《バーサーク》は使用者の防御力を下げる代わりに攻撃力を一定時間上げるスキルだが、ただでさえ低い【狂戦士】の防御力をさらに下げることになるので、使用場面は限られるだろう。



《筋力増加Lv2》については、本来手に入るスキルは《筋力増加Lv1》だったのだろうが、俺が既に持っていたため上乗せされた形になったのだと思う。



さて、俺の成果はこれだが、妹の桜はと言うと……。



「うえええええん!たしゅけてよぉお兄ちゃん!」



必死に盾で体を庇い、涙目になりながら、ナイフでチクチクと【ラージマウス】を刺していた。ちなみに、レベルは3ほどしか上がっていない。《盾王》という強力かつ特別なスキルを持っている桜だが、今回はそれを過信しすぎていた、いや舞い上がりすぎていたというべきか。



桜は配布された金のほとんどをあの【蒼十字の盾】につぎ込んでいた。《盾王》のダメージ増加も、攻撃スキルを持っていないがゆえにそもそも効果を発揮できず、桜の選んだ初期スキルも《俊敏上昇》や《HP上昇》など、攻撃的ではない。《光属性魔法》も、Lv1では初級の回復魔法しか使えないらしい。武器としては最低ランクに位置するナイフで戦っているので、モンスターに与えられるダメージも1程度だ。



ただし、モンスターも桜にはほとんどダメージを与えられていないが。



つまり、桜は毎回のモンスターとの戦いを千日手に近い状況下でしていたのだ。当然、レベリングは捗らない。俺がパーティーであることで多少は経験値が分配されているが、効率が悪すぎる。



「あー。ちょっと待ってろ。今行く」



大剣を構え、桜を襲っている【ラージマウス】に狙いを定める。だが突然桜は俺を静止した。



「ちょっと待って!」

「どうした?」

「なんか、スキルを習得したみたい」



スキルを習得……?レベルも上がってないのにか?いや熟練度か。《盾王》のスキルの効果に盾の獲得熟練度が1000倍になる効果があったはずだ。たぶん、盾で攻撃を受け続けたからこうなったのだろう。



「《シールドインパクト》……?」



桜の発したスキル名に、俺は何か嫌な予感がした。インパクトってまさか……。しかし、桜はすっかり意気込んで、【ラージマウス】に盾を向けていた。



「《シールドインパクト》ッ!」



瞬間、周囲の空気ごと地面が捲れ上がる。盾から発せられた空気振動が【ラージマウス】の全身を砕いた。それどころか、飛ばされた衝撃波はそのまま空気に伝播していき、射線上のモンスターたちを殲滅していく。小規模とはいえ、地形を変化させるほどの爆発……!



「……!すごい!すごい!」



桜はしばらくポカン、とした後ピョンピョンと飛び跳ねた。続いて、再び盾を構える。



その後、《シールドインパクト》によるモンスターの殲滅はしばらく続いた。

読んでいただきありがとうございます。

面白かったらブックマークなど宜しくお願いします!モチベにつながります!

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