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ユニークスキル《釣り》が面白そうだったので、今日も俺は釣りをする  作者: メラ
第一エリア《シーモンクシヴェリオン》
16/24

16.一時的加入

「何か言い残すことは?」

「どうか命だけはご勘弁を、にゃ」



【ストライクボア】の群れを倒した後、のこのこと出てきたにゃん助を俺たちは正座させていた。どうやって姿を消していたのかはわからないが、こうやってのこのこと姿を現したという事はにゃん助も逃げるつもりはなかったという事だろう。それより……。



「どうして俺たちにモンスターをけしかけた?」

「……いくらで買うにゃ?」



大剣を振り上げる。



「にゃにゃにゃにゃ!?分かったにゃ教えるにゃ特別価格ただでいいにゃ!」

「それでいい」



大剣を下す。……今はにゃん助の『にゃ』語尾がものすごくイラッとするな。商魂逞しいことだ。頭をかき、にゃん助はバツが悪そうに話し始める。



「実は、おみゃーたちの情報を知りたいっていうプレイヤーがいるにゃ」

「へえ、それは誰だ?」

「それは教えられないにゃ。知りたいなら金払うにゃ」



まあ、そりゃそうか。プライバシーのうんぬんかんぬん。俺も別に知りたいことじゃない。でも、一介のプレイヤーである俺たちのことを知りたい奴なんて……いるのか?



「?知らないにゃん?おみゃーたち結構有名にゃ」

「えっ、そうなのか?」



そういえば、ロキもそんなこと言ってたな。にゃん助は俺を指さす。



「おみゃー、ロリコンにゃん?」

「誰がロリコンだ!?」



そういえばロキのパーティメンバーもそんなこと言ってた気がするな!何?俺そんなことで有名になったの!?



「まあ、それは関係ないにゃん」

「関係ないのかよ!?」



じゃあ言わなくてもいいじゃん……。これからどう町で過ごそう……?俺はロリコンじゃない!とでも言って疑いを晴らすか……?いや、でもそこまで過剰反応したらむしろ怪しまれそうな。……もういいか。



「まあ、おみゃーたちにモンスターをけしかけたのは依頼された情報を手に入れるためにゃん。この程度のモンスターにおみゃーたちが負けるとは思ってなかったにゃん」

「なんでだ?」

「そこの、桜……かにゃん?おみゃーは《王》スキルの持ち主だと聞いているにゃん。戦い方から見るに、《盾王》ってところにゃん?」



にゃん助は桜を見やる。ロキと言いこいつと言い、桜が《盾王》であることはかなり知れ渡ってるようだな。



「プレイヤーの情報を知りたがる奴は多くいるにゃん。特に……強力なスキルを持つプレイヤーの情報は。……とまあ、にゃーの弁明はここまでにゃん。キルしたいならしてくれても構わないにゃん」



要するに、こいつは【情報屋】としての仕事を全うしたという事だろうか。そうか……じゃあ。



「えいっ」



大剣を振り下ろす。



「にゃにゃ!?」



にゃん助は転がってそれを避けた。あれ?別にいいんじゃないのか?



「ここは普通『そうか。じゃあ見逃してやるよ』の流れじゃないの!?」



にゃん助は驚愕の表情で叫んだ。素が出てる素が出てる。



「いや、進んで経験値になってくれるならそれに越したことはないし……」

「ご主人様、さすがにそれは……」

「お兄ちゃん……」



ティアと桜がどこか非難するような眼差しで見つめてくる。いや、だってモンスターをけしかけてきたんだぜ?もしかしたら死んでたかもしれないし……これでおあいこだろ?



「はあ、ならいいにゃ。提案をするにゃ」

「提案?」

「一回だけ。一回だけにゃーもおみゃー達に同行するにゃ」



そういいながらにゃん助はパーティの加入申請をしてくる。



【にゃん助 さんからパーティへの加入申請が来ました 受託しますか? YES NO】



「ちょっと待てそれが俺たちの何の得になるんだ?」



もしかしたらまた碌でもないことになりそうだし。すると、にゃん助はまたも無言でウィンドウを動かし、俺に簡易ステータスを押し付けてくる。



=============

にゃん助

【探索者】Lv16 HP1230

所持スキル《採取Lv2》《短剣術Lv2》《罠探知Lv1》《俊敏上昇Lv3》《光学迷彩Lv3》《瞬撃Lv2》《加速Lv2》

=============



Lv16か。結構俺とレベルが近いな。これくらい高くないと【情報屋】もやっていけないのかもしれない。《採取》……そういえば俺も《採集》スキルを持ってたな。全く使ってなかったけど。にしても……《罠探知》といい《短剣術》といい、何とも【探索者】なスキルだ。《光学迷彩》か。これで姿を消したんだな。……ん?《加速》……?



「それから分かる通り、にゃーのレベルはたぶんおみゃー達にも引けを取ってないにゃ。加えて、おみゃー達が今から攻略するあのダンジョンの情報もある程度教えてやるにゃん」

「それはつまり、モンスターやゲットできるアイテムも含めてってことか?」

「そうにゃん」



ふむ……それは結構便利だな。その場に行って確認すればいいじゃんと言えばそれまでだが、俺たちの手に負えない敵が現れた場合、対応も難しい。って······あれ?



「お前、場所と入り方しか知らないって言ってなかったか?」

「にゃっ」



にゃん助が、あっやべ、というような表情になる。こんにゃろ。



「……一応言っておくにゃんが、にゃーがデスした場合、情報も集めにくくなるにゃん。にゃーとしても、できればそれは避けたいにゃん」

「……じゃあ、行くか」



こうやって考える時間ももったいない。俺たちが受けているクエストは早めにクリアしたほうが良いからな。踵を返し、俺とティアは池に向き直った。



そんなこんなで、俺たちのパーティににゃん助が加入したのである。

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