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ユニークスキル《釣り》が面白そうだったので、今日も俺は釣りをする  作者: メラ
第一エリア《シーモンクシヴェリオン》
1/24

1.ユニークスキル

取り敢えず初日は書けるだけ書こうかと。

その後の更新速度はブクマとか評価によって変わってきます。

「では、ユニークスキルを選定します」



真っ白な空間で、女神のようなキャラクターが杖を振る。すると、部屋全体に幾多の星が浮かび、頭上で回転した。ユニークスキルの選定イベント。このVRMMOオンリースタイルオンラインの人気の一因となった要素の一つ、それがこのユニークスキルだ。ユニークスキルには一切被っているものがなく、武器や人型のユニークスキルなんてものもあるらしい。



『シュン』。それがこの世界での俺のプレイヤー名だ。【初期職業(ビギニングジョブ)】は防御力を犠牲に攻撃力に長けた【狂戦士】。選んだ初期スキルは《筋力増加Lv1》、《所持アイテム上限解放Lv1》、《採集Lv1》、《一定時間ダメージカットLv1》。



星々の回転が早まっていく。やがて、女神が腕を振り、星が俺の目の前で止まった。それに俺は手を伸ばし、スキル獲得イベントを成功させる。聞く限りでは、ユニークスキルには特別なものがあるらしい。このゲームは何の技術なのか他のハードを買っても別データを作ることができず、リセマラ不可能なゲームとして知られていた。しかし、いや、だからこそ特別なユニークスキルと言うものに、俺は憧れていた。



さあ……!こい!



手に収まった星の光を、手元に持ってくる。光が俺を包み、ユニークスキルのアナウンスが告げられた。



【ユニークスキル《釣りLv1》を手に入れました】



それを見て肩を落とす。なんだ?魚がよく釣れるようになるとかそういうスキルかな?



「……露骨に弱そうだな……どうせ碌なものじゃないんだろ」



正直、かなりがっかりしながらスキルの説明欄を開く。



=============

釣りLv1


釣った魚の合計数によって、スキルを獲得できる。


1匹《???》

3匹《???》

5匹《???》

10匹《???》

30匹《???》

etc……

=============



うーん。なんか隠されたスキルみたいな、そんな感じかな……でも、釣りでスキルが手に入るのは楽そうで嬉しい。



「では、あなたを始まりの街『アンドセル』へ飛ばします」



女神の声に従って、目の前が青く染まった。



◇ ◇ ◇



『アンドセル』。始まりの街と言うだけあって、そこはまさに王道な風景だった。ところどころに立ち並ぶ煉瓦の家、NPCと思しきキャラクターが客寄せをしている武器屋や防具屋、そして薬屋。そして最も目を引くのは、奥にそびえている城。



このゲーム、《オンリースタイルオンライン》の趣旨は極めて簡単だ。



レベルを上げ、スキルを取得し、段階的に解放されていくエリアを通って、最終的には魔王を倒す。それだけだ。



かなりの頻度で定期的にイベントも開催されるらしく、全エリアを攻略して退屈になる……なんてことも起こらないらしい。現在、進行可能なエリアは2つ。ゲーム開始初日という事もあって、かなり多くのプレイヤーがこの町に集っていた。



……今頃、初期エリアでレベリングでもしてるんだろうなあ……。



そわそわするが、生憎今日は待ち人がいる。初期地点に一番近い武器屋で落ち合うことになっていたので、適当に腰を下ろしてそこで待った。



「兄ちゃん、そこで何してるんだい?」

「はい?」



すると、突然話しかけられる。顔を上げると、そこにいたのは待ち人ではなく普通のおじさんだった。おじさんの頭に浮かぶ矢印のようなカーソルをみると、緑。プレイヤーなどではなく、このおじさんはNPCだ。



「まあ、人を待ってるんです」

「へえ、兄ちゃん意外と隅に置けないねえ」

「妹ですよ」

「あ、そうかい!」



おどけるような仕草と言い、おじさんの動作は従来のNPCらしさからは程遠い。まるで本物のプレイヤーのような動作である。もちろん、これにも理由がある。いわく、このゲームでのNPCはすべてAIで、特殊なNPC以外は自由な思考能力を持っているのだとか。



「じゃ、俺はここで失礼するぜ。じゃな!」



散々言っておじさんは店に帰っていった。見ると、店の中で女房に怒られてヘコヘコしている。あんなお父さんにはなりたくない。



「あのー……もしかして、お兄ちゃん?」

「ん?」



と、また話しかけられる。顔を向けてみると、そこには再びおじさん……ではなく、眼鏡をかけた幼い少女が立っていた。



「ああ、美咲か」

「もう!お兄ちゃん、本名は言っちゃだめでしょ!?」

「すまんすまん」



手を合わせて平謝りする。美咲は頬を膨らませつつも、俺の隣に腰を下ろした。こいつは美咲。俺が中学生の時、親が再婚し、新しい家族となった俺の妹だ。俺が美咲と会った時は美咲は小学生。今となっては中学生になる。結構ゲーム好きで、このゲームも兄妹揃って買ったものだ。こいつのアバターは結構リアルとは変わってるみたい。



リアルじゃ眼鏡なんてかけてなかったはずだからな。両目の視力Aだったはずだ。



「お兄ちゃんは何て名前にしたの?」

「シュンだ」

「なんか落ち込んでるみたいだね!」

「ネーミングセンスには自信がない」



美咲がくすくすと笑う。



「だったら、お前は何にしたんだ?」

「『桜』だよ」

「スタンダードだな」

「うるさい」



また頬が膨らんだ。女と言うのは扱いが本当に難しい。これから武器や防具を揃え、レベリングをしようと言う話だったので、お互いのことを把握するためにもお互いに簡易ステータスを開示した。俺のステータス画面を見た桜が、何とも微妙そうな反応をする。



「……お兄ちゃん。釣りって……」

「いや、そうなる気持ちはよくわかる。でも、結構いいスキルなんだぞ?」

「どういう?」

「魚を釣るごとに、スキルが獲得できる」

「へぇ!すごいね!」



桜が笑顔になる。にぱー。可愛い。っと、違う違う。しかし、俺が正気に戻るころには桜はまた微妙そうな顔を浮かべていた。



「あれ……でも、釣りで手に入るスキルなんて、そんなに使えるものなの?」

「あー……そういう考え方もあるのか」



都合のいいことばかり考えていて、あまりそういうことを考えていなかったな。ちょっと現実に引き戻された気がする。まあ、いいか。次に、桜の簡易ステータスを開いた。



=============


【剣士】Lv1 HP330


所持スキル《俊敏上昇Lv1》《光属性魔法Lv1》《盾術Lv1》《HP上昇Lv1》《盾王》

=============



へー。これが桜のスキルか。俊敏上昇とかHP上昇とかは普通だな……。光属性魔法って、あいつ魔法剣士でも目指すつもりなのだろうか。《盾王》とか名前すら聞いたことないスキルもある……へえ、面白いな……。



…………………は?



俺がそれを理解するのに、数秒を有した。



「チートスキルもらってんじゃねえか桜ぁぁぁぁああ!」



【悲報】身内にチートがいました。

読んでいただきありがとうございます。

面白かったらブックマークなど宜しくお願いします!モチベにつながります!

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