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挑発
「わ……っ!? ちょっと、何……!?」
湯船の中立ち上がった少女の身体が、内側から光を放っているかのように仄白く輝いていて、私は言葉を失った。
「ほら、これが私……モルガナの、血と肉よ」
ばさりと解かれた髪が、まるで生きているかのように薄い腰に纏わり付く。
「嬉しい? それとも……」
上気した頬に、メリッサは笑みを浮かべる。
挑発なのだろうか、それともただじゃれているのだろうか?
少女の笑みの真意が掴めないまま、私は馬鹿みたいに突っ立っていた。
ただ、綺麗だという感想しかなかった。
どこか人形めいていると感じていた長い睫毛も、鼻先も、唇も、細い手首も、凹凸の乏しい身体も、濡れそぼっている今は、命の輝きに溢れている。
(だけど……これは、昔の、子供の頃の私の姿なんだ……)
それは不思議な感覚だった。
昔の自分の姿を前にしながら、その向こうからの視線を感じるのは、安堵と拒絶をない交ぜにした倒錯した感覚だ。
「アイリス……私のこの身体、気に入った?」




