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わたしのおとうと
だからこそ、弟が生まれた時は心から嬉しかった。
それは、弟だけではなく、同時に、『少女』としての自分も生まれたような気持ちになったからだった。
だから、私は少女の姿をした別の何かとして生きていた。
だからこそ、弟が生まれた時は心から嬉しかった。
それは、弟だけではなく、同時に、『少女』としての自分も生まれたような気持ちになったからだった。
弟のマヌエルは、私の全てだった。
マヌエルのために私が生まれてきたのだと幼い確信を抱くほどに、
マヌエルは私を必要とし、私もマヌエルを必要とした。
母に似た容姿の私と、父に似た容姿のマヌエルは、見た目も性格も正反対だからこそ、互いに上手くいった。
どこへ行くにも一緒だった。
好奇心が旺盛なマヌエルは、私のやる事を何でも真似したがった。
だから私は『少女』を封じた。
でも二回目は自分の意志だから辛くもなんともなかった。
男の子の好きそうな遊びをやり、
英雄の本を読み聞かせ、木の枝の剣で遊んだ。