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雛鳥
夕食の時間も、私達は食堂で向かい合わせに座る。
朝と同じように、私が毒草を食べ、メリッサがその私を『食べ』る。
魔女モルガナがこの温室に収容されてから始まった芝居めいた習慣を、私と少女は律儀に演じる。
トリカブト。
ダチュラ。
ベラドンナ。
黙々と毒草を食み、血を毒薬に変え、唾液を秘薬に精製していく。
「アイリス、早くぅ……」
山盛りの毒草を咀嚼し終えた私に、少女が焦れた声を出す。
「そんなに焦らなくても、逃げないわよ」
そう。
自分を魔女に食べられる餌だとは思うから気が滅入るのだ。
お腹が空いたと騒ぐ雛鳥に餌をやる親鳥なのだと思えば、気持ちは幾分楽になる。
私がこの雛鳥の命を握っているのだと思えば、きっと----とても優しく抱き締めてやれるのだ。
たとえ心の底から憎んでいても、私の雛鳥は、私がいなければ生きていけないのだ。
そういう身体なのだと思えば、笑顔で両手を広げ、迎える事ができる。
魔女とは、かくあるべきなのだと念じながら、私はメリッサに生気を与える----。




