61/381
呪詛
モルガナと私。
魔女の女王と、その餌----。
この、在るはずのない私達の関係が始まったのは、私がまだ人間でいた時からだった----。
『■■■地方■■■領の領主の娘■■■は、■■■年■■■月に領内の森に棲む魔女モルガナと契約し、■■■教区内■■■人目の魔女となる』
記録にはそのように残っている。
だが、これは私自身の証言ではない。
審問官に残した証言はこんなに簡潔ではなく、混乱と、そして怒りで支離滅裂なものだったはずだ。
ほとんど失くしてしまった■■■としての記憶の最後を、斑に染めているのは、呪詛だ。
魔女の、魔女への呪詛----。
それこそが、この私、魔女アイリスの、唯一の存在理由だ。




