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補遺録より

 モルガナが再生した日のラボでの出来事を証言できる研究員は、誰一人として残っていないそうだ。


 その時の様子は映像の記録として残され、音声も残っていたが、事故調査のため集められた庭師のメンバーは、初め何が起こったのか全く理解できなかったという。

 いや、理解する以前の話だった。


 記録を再生し始めた途端、庭師達の間で、ラボで起きた『それ』と同じ現象が再び起きたのだ。


 記録は数分足らずの短いものだ。

 機械の信号音の合間に交わされていた研究員達の短い会話が突然止まり、そして恐慌状態となる。

 駆け出す足音に混じり、作業の中止を指示する声と呻くような祈りの声が聞こえ、

 そして----突如、子供じみたけたたましい笑い声があちこちで弾ける。


 笑い声。

 歓声。


 鼓膜が破けそうな程に高く、長く響く歓喜の叫び。


 そして、沈黙----。


 ラボでの研究員達と同じように、庭師達は次々と耳を抑えながら床に転げ落ち、狂笑を続けた。


 ある庭師は叫び続けていた。

 宙を指し、口からは涎を垂らしながら、満面の笑みで。


「見て! 花弁が……あんなに……!!」

 

 この翌日、百二十人いた司祭枢機卿のうち数名が、緊急入院と同時にアンソニーを通じて司教叙階の免除を許可されているが、そのニュースは報道される事はなかった。

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