38/381
司祭枢機卿曰く
しばらくの間、私と司祭枢機卿の間には沈黙が流れた。
正確には、私とノートパソコンの間、と言うべきなのだろうか。
「魔女とは何だと思う?」
「は……?」
突然の問いに、私は困惑する。
「お前も魔女なんだからそのくらいは答えられるだろうが」
「いや、そんな事言われても……そもそも、私は魔女なんかじゃないって言ってるでしょう」
まぁそれはいい、と返して、男は続ける。
「我々法王庁としては、魔女とは強力な脳波を持つ者、と定義している」
「脳波……?」
聞いた事のない言葉に眉を顰めても、男にはもちろん見えてなどいない。お構いなしに話し続ける。
「そうだ、脳波……それも右半球の、だ」
説明などさらさらする気はないらしい。
しかし、私にはなんとなく、心当たりがあった。




