34/400
fragment2
森の中は真っ暗で、ランタンの灯すら闇に吸い込まれてしまう。
灯だけじゃない。
言葉も、息も、それから、思考も心も、身体中の血液すらも----。
この森の闇に一片残らず吸われていくような、そんな心持に僕はなっていた。
「姉上……僕はずっとここにいるから……」
血を吐くような思いで僕は声を絞り出す。
「二人でいれば、きっと助かるから……」
そう言ったのは、もう何度目だろう。
気休めに過ぎない、明らかな嘘を繰り返し続けて、僕は僕は恐る恐る隣に手を伸ばす。
姉上の、腕に、触れる。
柔らかくて冷たい、僕の姉上の腕をさする。
「マヌエル……私はもう、駄目だから……だから、早く……貴方だけでもこの森から……出なさい……」
姉上の腕は、さっきよりもずっと冷たくなっていて、僕は返事を失う。




