とある手記より。
1944年11月20日 狼の巣より入電。
『総統閣下はベルリンへ向けて出立。これに伴い作戦名■■■■の内容を一部変更、最終決戦用兵器《狼の娘》の収容施設は爆破処理のうえ《娘》と研究員及び装備一式もベルリンへと移管される。帝国の勝利のためには何を犠牲にしても《娘》を死守せよ』
1945年1月16日 総統地下壕より入電。
『総統閣下は総統地下壕へ無事入られた。国防軍最高司令部と陸軍総司令部、及び空軍総司令部の移動も全て完了。本日よりここを総統大本営と定める』
1945年1月19日 総統地下壕より入電。
『本日総統地下壕に《娘》と研究員及び装備一式が到着。地下最深部の収容施設に収容完了。収容時の事故によりSS隊員5名が負傷するが詳細は不明。これにより施設が一部破損、復旧までの期間は■■■■作戦の臨時本部を国防軍最高司令部内に設営。よって総統閣下により関係者以外は立入り厳禁の命あり。部外者は空襲時の避難のみ立入り可とし、それ以外はいかなる理由があっても立入りは厳禁。違反者を発見した場合はそれが誰であってもその場にて発見者による射殺を許可する』
1945年3月14日 総統地下壕より入電。
『本日付にて■■■■作戦の最終段階に入る。《娘》の状況に異常はなし。赤軍による欺瞞作戦と思われる情報が入るも、作戦は続行。完遂を総統閣下は強く望まれている』
1945年4月28日 総統地下壕より入電。
『ベルリンは現在赤軍により包囲されている。状況打破のため、《娘》の発動命令が下された。これにより人類は我ら帝国のもとにて新しい秩序に支配され、新しい世界として生まれ変わる。破壊と再生こそが我らが使命であり総統閣下の悲願であられる。帝国に栄光あれ』
1945年4月30日 総統地下壕より入電。
----しかしその内容は意味をなさない単語の羅列のみであり、解読は不能だった。無線機の破壊もしくは故障によるものと推測されるが、ここツィゴイナーにて解読中、担当者に異常行動が見られたため文書は封印のうえ破棄された。
なお当該担当者は即時隔離されたが回復の兆しはなく、明日の撤収時に文書類と共に■■処分する事が予定されている。
《娘》についての言及は一切禁止との通達あり。
ベルリンで何が起きているのか我々は知らぬまま、ただ朝日が昇るのを待つしかない----。




