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法王の剣

 私達魔女の仕事----。


 それは法王庁に歯向かう全ての存在を滅する事である。

 いわば同族狩りであり、完全なる自己矛盾でもあるその仕事は、しかしカトリック世界の安泰を継続させるためには不可欠な仕事であった。


 それがいつから始まったのかは知らない。


 だが、私がこの温室に収監された時に与られたのは一振りの巨大な剣だった。


 それが『法王の剣』だ。

 法王庁においても特に秘されてきた、最上級の聖具。


 見た目は、俗にツヴァイヘンダーと呼ばれるような両手剣である。

 その全長は平均的な成人男性の身長よりもあり、真紅と金色に輝く柄が目を引くが、最も特徴的なのは、七色に輝くダイヤモンドのような厚みのある刀身だろう。


 法王の剣は、オリハルコン製だという。

 いつ作成されたか知る者は、誰もいない。


 ローマ皇帝コンスタンティヌス1世が命じて作らせたとも、エジプトの神官達が秘匿していたものを東方教会が譲り受けた、とも聞かされた記憶があるが、私には正直どうでもいい話だ。


 法王庁にとって予想外だったのは、その法王の剣を振るえるのが、唯一この私のみだという事実だった。


 法王の剣。

 なりそこないの魔女である私にしか、その剣は扱えない。


 魔法を使えない私が唯一使えるもの。

 人間でも魔女でもない曖昧な存在の私が、唯一与えられたモノ。


 それが、法王の剣だったのだ----。

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