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気配

「ねぇ……今回私達がここに来たのって、確か、屋外活動における身体的・精神的データの収集のため……だったわよね……?」

「そうだ」


 浜辺に来てからのアンソニーは、腕組みしてメリッサを目で追っているだけだ。

 ホテルに入るまで一緒だったカーラβは、今は部屋で待機中。


 静かだった。


 穏やかな波音と微かな風の音の他には、何も聞こえない。


(でも……視えないけど、色んな気配がする……)


 地下空間での沈黙とはまた違う無数の微かな音で構成された沈黙に、少しだけ何かを思い出して、背筋がぞわりとした。


(それに、多分、衛星も……私達を監視してる)


 ここは単なる観光地ではない。

 世俗に塗れた島にしては、法王庁の庭と同じような聖遺物の気配がある----残滓ではあるけれど。


「あとは何だっけ……学習によるメリッサの各種能力の向上とか、人格形成がどうのってやつ」

「ああ」


 今回の『外出』の概要については、私もメリッサもカーラから出発前に聞かされていた。


 だからだろう。

 司祭枢機卿は軽く苛立った声になる。


「何か気になるのか? そんなに気になるんだったら来る途中で聞いとけ」

「……いや、そんな事言われても……私達、ここに来るまでの間グルグル巻きの棺桶に入れられてたし……」


 棺桶というにはやや人権に配慮した(?)細長い装置に寝かされて、飛行機に積み込まれて、私達はこの島まで運ばれたのだ。


 単なる屋外でのデータを採りたいにしては、費用も手間もかかり過ぎている感がある。


「……本当に、目的はそれだけなの?」

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