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午前二時のホットライン

「アンソニー、お願いがあるの」

「……何だ? 魔女ごときにくれてやるような魂なら、生憎だが持ち合わせがないぞ」


 私は聞こえないように溜息を吐く。

 司祭枢機卿という職業は、たとえ寝起きでも何か一つ嫌味を言わなければならない、という勤めでも課されているのだろうか。


 まぁ、こんな夜更けに叩き起こされてニコニコしている方が却って不気味ではあるけれど----。


 メリッサのラボに駆け込んだ私は、すぐさまノートパソコンの電源を入れていた。


 見よう見まねで支援システムの赤く光る表示を連打していたら、思ったよりも早く繋がったらしい。いつにも増して機嫌の悪い声だが、構っている場合ではない。


「ちょっと教えて欲しいの……このラボって、データセンターに準じた構造にしてるんでしょ?」

「一応はそうだ……ただ、地下全体は無理だからいわゆるコンテナ型データセンターに近いが……」


 喋っているうちに目が覚めて来たのだろう、庭園管理局局長は怪訝そうな声になる。


「しかし、そんな事を聞いてどうしたいんだ? 起業でもするのか?」

「そんなんじゃないけど……ネットセキュリティーに関心が出て来たのよ」


 とても真面目な声で私はそう答えた。


「データセンターに準じた構造って事は、電磁遮断シールドもされてる?」

「……あ、あぁ……もちろんされてるが……あとの詳しい事はカーラに聞きゃすぐ分かるぞ……?」


 私の質問の意図が分からないのだろう。

 明らかに戸惑っている。


(って事は、アネモネのあの感じだと、少なくともこのラボまでは入り込めないと考えていいわね……)


 私はひとり頷いた。


「それなら良かった……これからは、大事な話はこの中だけでした方がいいと思うの」

「……どういう事だ?」


 さすがに何か勘付いたのか、男は語気を強める。

「大事なミサがあるっていうのにわざわざホットラインで叩き起こすわ、訳の分からん事は聞いてくるわ……お前、何か企んでるのか?」

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