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決意
(考えたくないけど、可能性としては十分ありうるわよね……)
なにせ、中世生まれの私がAIと話しているのだ。
風を読む魔女が、電流に乗って他人の意識に入り込むようになる事だって、一種の適応なのかもしれない。
「……つまり、もう昔のアネモネじゃないって事なのね」
ベッドから抜け出し、私はくしゃくしゃになった髪を手櫛で大雑把に整える。
どうやら昔の仲間も、この地下室で安穏と暮らす事を許してはくれないらしい。
それならば、こちらも策を立てるだけだ。
「カーラに聞けばすぐ分かるんだけどな……でも、言わないって決めちゃったからなぁ」
アネモネが敵かもしれないという確信は、時間が経つにつれて深まってきていたが、それでも私はカーラやアンソニーにそれを伝える気はなかった。
(敵を欺くにはまずは味方から、っていうけど……うん、やってみるしかない)